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「旧日東倉庫」が年度内に解体へ! 所有者が工事着手! 行政や市民、専門家はどうみてる?

ココがキニナル!

所有者が解体工事に着手した日本大通の「旧日東倉庫」について、所有者や横浜市、市民はどう思っているの?(はまれぽ編集部のキニナル)

はまれぽ調査結果!

横浜市や市民団体が文化財指定へ向けた提案をしてきたが、所有者は解体に着手。市民団体からは落胆の声

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ライター:はまれぽ編集部

1910(明治43)年に竣工し、横浜の生糸貿易を支えてきた横浜市中区日本大通の「旧日東倉庫日本大通倉庫」。百余年の歴史を持ち、文化財的視点からも建築史的視点からも重要な建物であることは、はまれぽでも既報の通りだ。
 


解体が報じられている旧日東倉庫

 
守ろうとする側、現在の所有者、行政はどういった立場で倉庫を見ているのか。現状を追った。



市は「保存活用」が前提だが、所有者は解体に着手



旧日東倉庫の価値は、横浜市も認めている。
横浜市都市デザイン室は「(旧日東倉庫は)歴史的建造物の一つ」といい、市文化財課も「文化財としての価値がある建物」としており、双方とも「現物を保存活用してくことが望ましい」という認識だ。
 


市も建物の重要性を認めている

 
市では都市デザイン室と文化財課が中心となって交渉を進め、「解体予定を再考できないか」などと2013(平成25)年8月に所有者となった不動産会社「ケン・コーポレーション」(東京都)を相手に継続的に話し合いの場を設けてきた。
 


新所有者のケン・コーポレーション(同社HPより)

 
交渉において、市は歴史を生かしたまちづくりを前提に、現状のまま保存するのであれば「文化財保護条例」に基づいて補助金が活用できることなどを同社に説明してきた。

倉庫を解体し、跡地を駐車場として利用する計画もあるという。

今のままの状態を保とうとすれば、維持・補修費などが生じるが、駐車場にしてしまえば、さほどランニングコストはかからないというメリットがある。
また、旧日東倉庫は横浜スタジアムや中華街など、観光地にも近く、一定以上の需要が見込まれる。
 


赤い丸が旧日東倉庫。四角で囲った部分が中華街

 
これに対し市は、建物内部のにぎわいづくりや外観保全などの活用を両立することによって、より魅力的な横浜の都市景観づくりや活性化を目指す「特定景観形成歴史的建造物」制度の活用も提案したというが、いずれも合意には至らなかった。
 


倉庫(写真奥)と一体の本館は残すが・・・

 
2014(平成26)年8月に、はまれぽが同社工事部に行った取材では、「倉庫については解体予定だが、時期は未定」との回答だった。しかし、10月以降再度確認したところ、「時期は未定だが、早急に解体する」という回答に変化。同社は解体に向けて大きく舵を切った印象だった。

市は同社に対し、やむなく解体が避けられない場合であっても倉庫を調査し、記録を残させてもらうよう要請したという。
 


2014年7月に同社の許可のもと行われた日本建築学会関東支部歴史意匠専門研究委員会の見学会
(提供:大野敏・横浜国立大大学院准教授)

 
市文化財課は「景観と文化財の両面からケン・コーポレーションとは繰り返し話をしている」と話していた。