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金曜日の夜、野毛に現れる「流しのトランペット吹き」の正体は?

ココがキニナル!

金曜日の夜、野毛で飲んでいたら流し? でトランペットを吹いている男性がいました。トークも軽妙でレパートリーが2万曲以上あるとか? どういう人かキニナります

はまれぽ調査結果!

金曜の夜、野毛に現れるのは武藤コウスケさん。トランペット歴20年以上でレパートリーは、自称2万3000曲! 2階の窓から洗剤をかけられたことも。

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ライター:はまれぽ編集部

さっそくインタビュー

トランペット男の名前は、武藤コウスケさん。磯子区出身の38歳。中学校1年生で吹奏楽部に入ったのがきっかけで、演奏歴はかれこれ25年以上という。本当はクラリネットなどの木管楽器をやりたかったのだが、「女子40人に対して男子6人」の吹奏楽部では意見が通らず、最終的にトランペットに落ち着いたのだとか。ただし、流しで使うのはトランペットとホルンの中間の音域をもつ「フリューゲルホルン」。夜の街で音が響きすぎないようにと考えた結果という。

音楽もクラシックが好きだったというわけでなく、部室では「ラジカセでヘヴィメタルを流しながらワーグナーを練習していた」というハチャメチャぶり。そのせい? か、学生時代の受賞歴は一切ないらしい。ちなみに「とにかくふざけるのが大好きで、通信簿にはかならず『もう少し落ち着きましょう』と書かれていた」とのこと。
 


子どものころの武藤さん


転機は20歳を少し過ぎたころ。たまたま耳にした「インコグニート」や「ブランニュー・ヘヴィーズ」といった、イギリスを発祥とするアシッド・ジャズというジャンルに感銘を覚え、自分がこれまで演奏してきた楽器の良さを再発見したのだという。

その後、社会人になり、“横浜市民のソウルフード・崎陽軒”の営業マンとして働いていたこともあるのだとか。今は運送関係の仕事で生計を立てているという。

ただ、会社員で音楽を続けることは容易でなく「仕事と音楽活動の両立」の難しさに悩んだ。限られた時間・体力・気力のなかで、いかに1回1回の演奏に真摯に向き合うか自問自答の繰り返しだった。
転職もした。失意の中にあった時期もあった。それでも、節目節目で必ず救ってくれるのは音楽、そして音楽を通じて知り合った仲間たちだった。
 


音楽を語る表情は真剣そのもの


「流し」を始めたのも、そんな仲間たちとの会話がきっかけだった。そして、野毛という街を選んだのも「自分のわがままな部分を一番理解してくれている」高校時代の親友がやっている、この“拠点”があることが後押しになった。
 


親友のダイニングバー「Zoo」店主・橘さん(左)と武藤さん


流しの醍醐味は「いいことも悪いことも含めて、お客さんのリアクションがダイレクトに伝わること。でも、聴きたくない・興味のない人には、ただの騒音」と話す武藤さん。「うるさい」と言われることも日常茶飯事で、2階の窓から“ママレモン”(=台所用洗剤)を浴びせられたこともあったという。「おかげで全身がきれいになったけどね」と笑い飛ばすが、なぜそこまでされて流しを続けるのだろうか。

武藤さんの武器は、演奏そのものはもちろん、ジャズの代表曲からポップス、果ては「AKB48」や「きゃりーぱみゅぱみゅ」まで自称2万3000曲あるレパートリーから瞬時に音を引き出す記憶力と軽妙な語り口。自身は「テキトーな世渡り能力」というが、行く先々で客の懐に飛び込むトークは場の人すべてを和ませる。そして、野毛という街はそんな彼を笑って受け入れる懐の深さがある。
 


どこに行っても笑顔が絶えない武藤さんの周り




自分だけの演奏を



流し以外にも武藤さんは横浜を中心に気の合う仲間とバンド活動をしたり、毎月最終土曜日の夜に「Zoo」で“四畳半セッション”というお客さん参加型のイベントも開催している。
 


四畳半セッションの様子
 

武藤さんのバンド「NOSTARAMA(ノスタラマ)」


今後の夢を訪ねると「失礼かもしれないけど」と前置きしたうえで「トランペットの技術的な上達そのものには、余り興味がありません」という武藤さん。

「トランペッター界には、スゴイ人が沢山いる。ベテランはもちろん、僕よりはるかに若い人、身近にいる人、みんな本当にすごい。あり得ない高い音を平気で出す人。目の回るような速いフレーズをスラスラ吹いてしまう人。そして、『魂の一音』で周りの空気をガラリと変えてしまう人。とても憧れます。彼らとの距離を測って落胆してしまうこともあります」という武藤さん。

それでも「自分は自分。今の自分しかできないことがあるはず」と信じてやってきた。トランペッターとしてというより、「一人の“武藤コウスケ”という人間を知ってもらって、『こんな生き方してる奴がいるんだから自分も頑張ろう!』って思ってもらえる演奏がしたい」のだという。



取材を終えて



「自分の演奏が周りをほんの少しだけ幸せな気分にできて、自分は、そのおすそ分けを少しだけもらって。そして、それを愛する家族と一緒に分かち合いながら、末永く続けていけたら・・・。これ以上の幸せってないよね」と話す瞳には、夢を追い続ける力強い光が宿っていた。

そんな武藤さんは、来週も再来週も、その先もずっと、週末の野毛を流し続けるのだろうと思った。
 


「ほんの少しの幸せ」を届けに野毛を「流す」武藤さん



―終わり―
 

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  • 武藤さんの給食の写真、三角形の牛乳パックが懐かしいですね。記事と関係ない感想ですみません。

  • ワーグナー+メタル  最高ですね。その路線でも進んでいただきたかった、、、、

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