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東急バスのバス停「しばられ松」、不思議な名前の由来は?

ココがキニナル!

東急バスのバス路線図マップを見ていて気になるバス停の名が!川崎市宮前区?にある「しばられ松」。その名の由来が非常にキニナル。調査を!(ポスポスさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

バス停近くに残る、縄を縛って病気の回復を祈る風習のあった「しばられ松」と呼ばれる地域のシンボル的な松にちなんだ名前だった!

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ライター:田中 大輔

お坊さんと関係が?

対応してくれたのは竹下研(たけした・けん)係長で、たくさんの資料を用意して迎えてくれた。まず、文化財課が取材に対応してくれたが、「しばられ松は、文化財保護制度上の指定文化財ではありません」とのこと。

しかし、地元では大切にされている松だそうで、「地域の歴史や文化を伝える資料であり、各区や町の魅力としてこの機会にアピールさせていただきたい」との思いで取材を引き受けてくれたのだそうだ。
 


資料をずらりと並べてくれた竹下係長

 
さて、キニナルのはしばられ松に関するエピソードだ。
この松については、江戸時代後期に編さんされた『新編武蔵風土記稿』にも“聖松”という名前で登場している。

その内容を噛み砕くと、「昔から、村の人はお願い事があると縄で幹をしばり、願いが叶ったらその縄をほどいてお礼にお参りする。だから、しばり松とも呼ばれる」と書かれている。ただ、その風習が始まった理由については、「いかなるゆえにや(どういうわけだか)」とハッキリしない。
 


今でも幹は細い縄で縛られていた

 
しかし、竹下係長が用意してくれた別の郷土資料を紐解くと、その理由にも触れられているものが多い。登場するのは遊行僧、つまり各地を回って布教や修行をするお坊さんだ。

言い伝えでは、遊行僧がこの地で百日咳により亡くなったとか、穴の中に入って鉦(しょう)を叩きながら念仏を唱え亡くなったとか、その二説が合体した話とか、いずれにしても遊行僧が亡くなって、それを供養するために松を植えた、という話になっている。

ちなみに、遊行僧のことを聖(ひじり)とも呼ぶので、風土記稿にある聖松の名前はここから来ているのかもしれない。
 


鳥居には「聖社」の文字。遊行僧との関係が!?

 
それ以降、子どもが百日咳にかかると、松に縄を縛って回復を祈る願掛けをしたことから「しばられ松」になったというのが由来として伝えられている。
縛り方として多く伝えられているのは、左にあざなった縄を縛ってお願いをし、病が治ったら右に編んだ縄を縛り直すというものだ。



ほかにはこんなお話も

実は、この伝説はしばられ松の由来として、現地に建てられた石碑にも刻まれている。
松自体は、1887(明治20)年ごろに落雷に遭って枯れてしまったそうで、現在残っている松はもう生きていないし、完全な姿ではない。

それでも地元の人には今でも大切にされているようで、立派な鳥居とお社が建てられている。お社は2000(平成12)年に造られたそうだから、今なお信仰を集めているようだ。
 


簡素な造りのお社だが、地元の多くの人が寄進をしたようだ

 
さて、ここで終わってしまってもいいのだが、この松にはもうひとつ別の伝説が伝えられている。少年時代をこの辺りで過ごしたという竹下係長も、子どものころに聞いたという昔話。

それは、松がひとりぼっちでさびしがっていた、というところから始まる。
遠くに見える仲間の樹々のところへ遊びに行きたい、と願った松は、村人の寝ている夜中のうちならバレはしまいと考え、大変な勢いで遊びに出掛けた。

しかし、そのときに強い風が起こり、その風に吹かれた子どもたちが風邪をひいて熱を出してしまった。やがて風邪の原因は松だと気付かれ、村人から勝手に動かないように縛られてしまった、というストーリーだ。
 


最も損傷の激しい部分。今となっては遊びにも行けなさそう

 
お坊さんの話に比べればファンタジックな言い伝えで、由来というよりは民話のような内容だ。でも、「しばられ」という受動的なネーミングにはこちらの方がしっくりくるから面白かったりもする。

なんの根拠もないが、親が子どもに「早く布団に入らないと松に風邪ひかされちゃうよ!」とか、「悪さをすると松みたいに縛っちゃうよ!」なんて具合に言うためにできた話なのかな、ともふと思った。



取材を終えて



鳥居には「聖社」と書かれ、松の別名が「聖松」。
この辺りからは、聖とも呼ばれた遊行僧との関係を想像させるにおいがする。
いずれにしても、バス停の名前がこの松から取られたことは明らかで、いかに地元でシンボリックに扱われているかがうかがえるわけだ。
 


屋根や支柱がしつらえられ、いかに大切にされているかが分かる

 
多くが地名から付けられる鉄道駅に比べ、地域密着型で地元の人にしか分からない由来を持つことも少なくないバス停。
今回の「しばられ松」もまさにその典型。長い間、手厚く守られ停留所の名前にまでなった松は、枯れてしまった今でも地域にしっかりと根を張り続けているようだ。


―終わりー
 

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  • 今は川崎区に住んでいますが、先祖はすぐ近くの上作延の百姓でした。近所に墓がありますが、江戸初期の元禄のころの年号が刻まれた祖先墓があります!伝え聞いたところでは、村の信仰として厄除けのために松に縄をかけ、祈願したと言います。つまり病気にかかっては治癒願いのために松に縄をかけ、願いが成就すると、縄をはずしたようです!願いのために縛られる松ということで縛られの松という名前がついたようですね。

  • 取材、ありがとうございます。確かに見にいけば謎は解氷!でした。でも竹下さんのような方からのお話もとても興味深く面白かったです。私自身、「しばられ松」の由来は≪罪人が縛られた松≫なのかと思っていました。

  • 結婚前、馬絹に住んでいた95歳になるおばあちゃんが、子供の時百日咳にかかってしまった時に親がお参りしてくれたと教えてくれた事があります.ちなみに、ここの敷地内に陸軍と書かれた軍標が残ってます。

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