「あかいくつ」220円に

交通局の観光バス再編は横濱ベイサイドラインの廃止とラッピングバスの新設だけでない。観光スポット周遊バス「あかいくつ」も大きく生まれ変わる。
　

どうなる、あかいくつ？
　

現在、あかいくつの乗車料金は大人100円だが、2016年10月から通常の路線バスと同額の大人現金220円・同IC216円に引き上げる。

一方、現状は特に週末など、横浜赤レンガ倉庫や中華街方向の「Cルート」を中心に混雑している。始発にもかかわらず、乗客が多すぎて桜木町駅から乗車できないケースもあることなどを考慮し、バスを1台増車して、計8台で運行。土日祝日の運行間隔も現在の15分間隔から10分間隔に短縮するという。
　

始発にもかかわらず「次のバスをご利用ください」というのも、しばしば
　

値上げの理由については、バスの増車と2005（平成17）年に運行を開始した当時から使用しているバス5台の車両更新が大きな割合を占める。

「5台のうち4台の購入価格約1億4000万円は日本宝くじ協会の補助金で購入したため、運行コストを抑えることができた。今回の増車や車両更新に関しては、補助金はなく、すべて市の予算で行う」と入江担当課長は言う。
　

意外にあった、宝くじの恩恵
　

入江担当課長は「あかいくつは、横浜観光の“顔”になってきたと考えている。これからも残していきたい気持ちが強いし、維持していかなければならないと思っている」と話す。

そのために、「あかいくつと親和性が高い」というベイサイドエリアの横浜市営バス・地下鉄の1日乗車券「みなとぶらりチケット」を今まで以上にアピールしていく。
　

500円で乗り放題！　横浜～新横浜の乗車も可能な550円の「ワイド」も！
　

「みなとぶらりチケット」は1日500円で乗り降りが自由なので、バス・地下鉄ともに計3回乗車すると「元が取れる」計算になる。
　

みなとぶらりチケットが利用できるエリア。10月から三渓園も追加（クリックして拡大）
　

また、乗車当日のみ、提携店で提示すると、横浜ランドマークタワー展望フロア「スカイガーデン」入場料300円引きなど、さまざまな特典が受けられる。
　

割引だけでも運賃以上にお得！
　

入江担当課長は「増便や新路線、みなとぶらりチケットの特典を増やすだけでなく、多元的にサービスを展開し、トータルでみなとみらい地区をお得に観光してもらえる取り組みを展開していきたい」とした。

「あかいくつ」利用者は？

値上げについて利用者はどう感じるのか聞いた。

Cルートを利用しようとしていた市内の30代女性は「ほか（のスポット）は駅が近いし、乗るのは、天気が悪かったり、疲れているときで、赤レンガ倉庫や大さん橋に用事があるときぐらい。値上げは特に問題ない」という意見。
　

駅から遠いスポットに降りられるのもバスの魅力
　

愛知県から春休みを利用してきたという20代のカップルは「事前に調べて100円でいろんなところを回れるというから乗った。220円だと、微妙。1日乗車券はお得だと思うけど、計画していたスポットに特典がなければ、無理して行き先を変更しない」という意見もあった。

取材を終えて

あかいくつに関して言えば、入江担当課長の言葉にもあるように、もはや横浜観光の顔と言っても過言ではない。

単に「値上げ」と聞けば、違和感を覚える人も多いだろう。しかし、快適かつ迅速、さらに老朽化した車両を更新することで、利用客を安全・安心に目的地に運ぶための施策ということをも考慮しなければならない。
　

いつまでも横浜観光の「顔」であるための値上げ
　

ラッピングバスや横濱ベイサイドラインの今後の動きについては随時報告していきたい。


―終わり―