周辺住民は建設中のマンションをどう思っている？

投稿の会社が「ヴァンハウス上星川」に似たマンションを建築できる可能性を感じたのだろうか

　
近くの会社の従業員に伺うと「工事を始めたのは10年以上前で、周囲の壁と山際の奥の整備が行われた後、土止め（斜面の土が崩れないようにする工事）の段階で止まっています。たまに人が来て、周囲の白い柵を直している時があります」とのこと。

また自宅の庭木を剪定していた男性は「建設会社が資金難で中止したそうですが、土地は何度も転売され、どこの会社が引き受けているか分からないようです」

「土木事務所が土止めなどの応急処置をしています。Ｈ鋼の間の板が腐って抜けている場所もあり、危ないです。山の上の家の杭がどのくらいの深さまであるか分かりませんが、浅い場合はふもとのマンション建設により弱くなった岩盤のせいで影響を受けて、崩れる可能性もあります」とコメントしてくれた。
　

Ｈ鋼の間の板が抜けている場所もあるという

　
外壁のすぐ近くに長年住む男性は「工事が始まる時は業者がパンフレットを持ってきて説明をし、入口が山の上にもある高いマンションになる予定でした。地元住民は反対などしませんでした。今の状態でも特に問題はありません」とのこと。

次に通りがかりの女性が「例のマンションは山の上から工事しようとして、構造上の理由で失敗したそうです」とのコメントをくれた。
　

山の上からも工事しようとして失敗したという

　
さらに地主のIさんに伺うと「途中で計画がとん挫してやめたのです。あのまま放置されているのは、どこかの業者が継続して工事をする、と主張しているからなのではないでしょうか？　崖の状態の危険性が不明で、上に住む人たちが心配ですよ」とのこと。

そこで山の上の住民に話を伺った。

山の上の住民はふもとに建つ擁壁をどう思っている？

投稿の場所の山の上は住宅地になっている

　
外壁のほぼ真上に住む住人は「私たちが引っ越してきたときにはあの壁はありました。傾斜地ですし私は反対したのですが、息子が気に入ったため、この家を買ったのです」
　

崖沿いにも家が建っている

　
「建設会社が倒産したと聞きました。地下階と地上2～3階のあるマンションになる予定だったそうです。この場所は傾斜地に建っているため、大雨が降ると山の外壁の上にあたるこのあたり数軒に避難勧告が出されます。しかし山頂の崖っぷちに立つ欅（けやき）の木が目安のひとつにもなり、この木は動くことはないため、意外と付近の地盤が固いのかもしれません」とのこと。

山の上に長年住む男性は「10年以上前の話ですが、下から工事をするのが大変なので、山の上から行おうとしたところ、上に住む人たちの反対にあったそうです」と答えてくれた。
　

この山の上から工事しようとして周辺住民の反対にあったという

　
最後に元横浜市議会議員の手塚勇夫（てづか・いさお）さんによると「私は、数年前に、この外壁が放置されている問題を解決しようとしました。20年ほど前に建設が始まり、業者が倒産したために、その後10数年間放置する結果になったのです」

「市に撤去を訴えましたが、民間同士の問題なので関与しない、との回答でした。大雨注意報が出る時などは崖の上の家は危険です。建築許可を下した市にも責任があるのではないでしょうか？」とのことだった。

崖の際にある土止めと思われる鉄骨

投稿のマンションはふもとだけではなく山の上の住人にも影響する問題のようだ。

取材を終えて