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20年ぶりに横浜芸者が復活!? 横浜ならではの芸者ってなに?

20年ぶりに横浜芸者が復活!? 横浜ならではの芸者ってなに?

ココがキニナル!

横浜に芸者さんが復活したそうです。横浜最古の料亭田中家さんが芸者さんを持ちはじめたそうで、とても気になります。昔は横浜も京都みたいな街だったとか!花柳界の歴史も知りたい!(花柳界が好きさん)

はまれぽ調査結果!

当初は田中家専属だったが、現在は横浜芸妓組合として3人の芸者さんが活躍。かつて横浜の花街を彩った、横浜ならではの芸者を目指し日々進化!

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ライター:関口 美由紀

これからの横浜芸者とは



加藤さんは「時代に合わせて変わらなければ横浜芸者はまた廃れてしまう。三味線にギターやベースを足してみようとか。お座敷が無いなら、ステージに立てばいいとか。考えればいくらでも表現の場所はあると思っています。源流さえ見失わなければ、どんどん進化していっていいですよね。邪道と言われていたものがハイカラとして受け入れられる。時代ってそんなもんじゃないですか」

「特に横浜は、あの文明開化を受け入れた街なんですから。きっと当時の横浜芸者も、西洋の文化を取り入れて発展したんだと想像しています。だから、平成の横浜芸者も、とにかく新しいことにもチャレンジしてみる」と熱い意気込みを語ってくれた。

 

サンマリノ共和国にあるヨーロッパ唯一の神社、サンマリノ神社の式典に参加(提供:横浜芸妓組合)
 

当時の横浜特有の芸者とは、どんな風に横浜らしさを出していたのだろうか?
加藤さんによると「古くは開港当時に栄えた港崎遊郭(みよざきゆうかく)から、横浜橋、ハマの日本橋と広がったようで、『メリケンさんと横浜拳をやった』と『はまことば』という本にも記載されています」とのこと。

横浜では、野球拳の由来ともいわれる横浜拳など、横浜ならではの遊びも行われていたそうだ。横浜拳とは、三味線に合わせてじゃんけんで勝敗を決め、負けるとお酒を飲み干さなくてはいけないというお座敷遊びのひとつ。

昭和30年代当時は、芸者衆が一堂に会して踊りを披露する「浜をどり」も開催され、遠方からもわざわざ足を運ぶほどに、横浜花柳界はにぎわっていたそうだ。

 

歴史を語り出すと止まらない加藤さんと、お酒を語り出すと止まらない香太郎さん
 

文明開化の横浜。1990年代のバブル期以上の盛り上がりだったことだろう。
「何もないところから一気に西洋文化が流れて来た横浜で、外国人からも『芸者』というビジュアルは受けたんだと思います。帯の結び方や着物の着方、小物使いなんかも横浜独特の西洋が入り混じったハイカラな感じだったんじゃないでしょうか」

「東京や京都の芸者さんとはまた違った『これが横浜芸者だ!』というような芸者衆が波止場を闊歩していたでしょうね。街角にはバイオリンで漫談をする芸人さんなんかもいたようですから、そんな方々と一緒に三味線を弾きながら歌ったり踊ったりしていたんじゃないかな」と、想像を馳せる加藤さん。

 

こちらは「とらとら」というお座敷遊び(提供:横浜芸妓組合)
 

昔は見番(けんばん:料亭と置屋の芸者の取り次ぎを行う場所)で三味線を教えていたこともあり、実際に習っていたという方もいらっしゃると聞く。しかし今では、皆、お年を召されているので直接お話を聞くことは難しくなっているとのこと。

「横浜花柳界全盛期のことを知る方々に直接お話を聞けるというのは幸せなことですから、可能な限り出向いて伺うようにしています。戦中、戦後の混乱の中、どうにかして日本を立ち直らせたい、自分が生まれ育った町を元通りに、またそれ以上に繁栄させたいと奮闘した方々なのです。その生きた証言をもらえる最後の世代が我々だと思っています。横浜の芸者文化というのもそうですが、なんとかして横浜を盛り上げたいと、暗い時代を生き抜いた先達の思いも伝えられたらなぁと思っています」と加藤さんはいう。

 

辛いラーメンとビールと横浜を愛する加藤さん(提供:横浜芸妓組合)
 

「里神楽加藤」の家元でもあり、「特定非営利活動法人 里神楽・神代神楽研究会」の設立代表者でもある加藤さんは、幼少期から郷土芸能に親しんでいたという。能や歌舞伎も、もちろん素晴らしい文化だが、そういったきらびやかなものではなく、農作業の帰りに観るような気軽な芸能に愛着を感じるのだそう。そういった郷土に根付いた芸能というのを呼び戻したかったのだとお話してくれた。

「まだ『横浜に芸者が復活した』という話を知らない人が多いので、まずは知っていただくところから始めないといけないんですよね。イベントスペースで踊りを見てもらったり、三味線の音色を聞いてもらったり。料亭のお座敷でないと見られないというのだと、もったいないじゃないですか。通りすがりの人が『お、やってるね』と寄って下さって、みんなで歌ったり、踊ったりするものが郷土芸能かなと思います。『横浜芸者』は、そうでありたいですね」と加藤さん。

 

綱島温泉の「湯けむりの庄」にて。香太郎さんは老若男女に大人気!(提供:横浜芸妓組合)
 



お座敷遊びは「大人の遊び」?



芸者というと、どうしても「大人の遊び」と格式が高いイメージがある。もちろん、それも本来の姿ではあるが、横浜芸者衆が目指しているのはそこではない。例えば子どもたちが「芸者」を見て、三味線っていい音だなとか、着物ってきれいだな、踊りってダンスだけじゃないんだ、と思ってくれること。芸者をとおして、日本文化に触れるきっかけになればと、富久丸さんは考える。

「横浜芸者って特別なものではなく、近くにあって当たり前の文化なんです。だから、お座敷じゃなくていいんです。呼ばれれば、どこでも行きます!」と、香太郎さんも話してくれた。

 

残すべき日本文化。「横浜芸者」の未来は明るい!(提供:横浜芸妓組合)
 

馴染みの東京から横浜へ舞台を移し、ゼロからスタートした富久丸さん。胸を張って「横浜芸者」と名乗れるように、道具を揃え、稽古を積み、ようやくここまで辿り着いたという。

「楽しい席でご一緒出来れば『横浜芸者』の良さが分かってもらえると自負しているのですが、呼んでみたいけど場所が無いからと、よく言われてしまいます。お誕生日のお祝いにと、ご自宅に伺ったこともあるので、料亭に限らずお座敷遊びは体験できるんです」と富久丸さんが笑顔を見せる。

 

芸者になりたい方も、お稽古だけでも、対応は可能とのこと
 

地域に根付いた活動を目指す「横浜芸妓組合」は、2018(平成30)年春より本格的な活動を見込んでいる。芸者衆の数もまだまだ足りないというので、興味のある方はぜひお稽古から始めてみてはいかがだろうか。平成の「浜をどり」の復活も夢ではないかもしれない。



取材を終えて



年末の忙しい中、予定時間をオーバーしてお付き合いいただいた横浜芸妓組合のみなさま、本当にありがとうございました。艶やかに流れる三味線の音や華やかな着物の美しさに触れ、改めて、残さなければいけない文化なのだと感じました。

ちなみに、筆者のざっくり調べによると、若手芸人を宴会に呼ぶと10~20万円が相場のようだ。比べて横浜芸者は1時間1万2500円。そう考えるとリーズナブルさにちょっと驚いた。
ありきたりな宴会に飽きたら横浜芸者とお座敷遊びというのも、オトナな選択かもしれない。

横浜の花柳界については、現在調査中のため、後日改めて記事にてお伝えします。


―終わり―


取材協力
横浜芸妓組合 
http://geigi.yokohama/
加藤俊彦のウェブサイト 
http://satokagura.net/

参考文献
文化情報誌『マイウェイ』 
http://www.yokohama-viamare.or.jp/myway.html
今回ご紹介した『マイウェイ No.69』、2017年12月末現在、若干の在庫があるそう。
興味ある方は、はまぎん産業文化振興財団事務局へお問い合わせ下さい。

三溪園
http://www.sankeien.or.jp/
 
 

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