八景の老舗和菓子と、新しい立ち飲みワイン店

昭和初めから駅の近く国道16号沿いにある「鳳月堂」。創業は東京・小石川
　

「“はまれぽ”ってラジオで名前聞いたな～」と三代目店長の竹内さん

そのお菓子がこの二つ。浮世絵金沢八景から名前をとった先代からの「晩鐘最中」と、ご主人創案の「八景焼」。八景焼は、北海道の大納言小豆を使った和風マドレーヌという感じで、地元の関東学院大学と横浜市立大学などと一緒になってパッケージデザインを一新したコラボ作品だ。

場所がら甘い物といえば白玉あんみつと練り切りで育った筆者吉岡の9歳男児。いろいろ買って食べた感想は…「どれも専門的な味がして、おいしい！」。
　

「八景焼」（170円）と「晩鐘最中」（140円）。最中はつぶし餡とゆず餡

面白いのは上生菓子の名前が「ひまわり」「金魚」とか、すごく見た目通り！　「気取った名前は、自分で言うのも恥ずかしいじゃない（笑）」。う～ん、店長もいい味。
が、この鳳月堂も土地区画整理事業で立ち退きを言われ、頭を痛めているそう…。

京急の駅に戻り、最後の目的地はワインのセレクトショップで1杯500円から立ち飲みができる「Caviste　Re:Vini（リヴィニ）」。
　

スペイン産の生ハムを切り分ける青木店長（一皿500円）。テイクアウトもOK

「販売目的なのに、立ち飲み屋になっちゃって（笑）」。ボトルに囲まれて飲める幸せを求めて、会社帰りに一人で立ち寄る人が多いそうだ。
「見かけないワインばかりだと思います。小さな生産者が作った“顔の見える”ワインを飲んでもらいたい」と、こだわるのはフランスと日本のワイン。

「甘くなく、軽すぎない白」と希望して、セレクトを待つ。ワクワク。
　

こんなお店が家の近くにあったら通っちゃいそう！

「八景に来たらこれを飲んでもらいたい、というワインです」と言って出されたのが、VOUVRAY（ヴーヴレイ）のヴァンサン・カレムさん自家醸造のワイン。この店が輸入元になってまだ数ヶ月のワインだそう！
　

良いワインにグラスから出会えるのは最高。これはグラスだと600円、ボトルは2980円

「区画整理事業で、鎌倉駅や逗子駅のロータリーみたいになるらしくて…」。ロータリーの外側に移ってしまっても、バスやシーサイドラインに乗り換える前にぜひ！

最後に駅前の気になっていたトンネルをくぐると…
　

京急電鉄では、駅のデザインも含めトンネルがどうなるか検討中だそうだ
　

駅の反対側とは全然違って、ホーム真横とは思えない静かさ…！

茅葺屋根の家は、むかしこの奥にあった東照宮の別当（神社の管理）だった円通寺の客殿。「木村家住宅」といって、市内に80数ヵ所ある市認定歴史的建造物の一つだ。
先祖の木村氏は明治の神仏分離令で円通寺を廃寺にしたが、景色も良く、昭和の初めは敷地内に休憩所を作って無料でお茶をサービスしていたらしい。

「備前焼　悠心窯」という看板があったけれど、金沢観光協会に聞いたところこの冬に当主が亡くなり窯は解散。今後どうなるのだろう…、ここでも八景の時の流れを感じた。


取材を終えて

金沢八景は時間がゆっくり過ぎる素敵な街だった。釣りに詳しくないのが悔しくなり、帰りに思わずマイ釣竿を購入！

わずか10年前の光景も、写真に記録しなければ忘れてしまうと、以前の横浜駅東横線ホームの取材時に痛感した。当たり前の今日の情景がいつの日か記録となりますように…。
　

ここがロータリーになり、シーサイドラインが横切る
　

月だけが変わらない今風の瀬戸の月？　夜を待って琵琶島からの月を撮影！

■今回のはま旅「金沢八景駅」周辺

（googleマップより）
・「Pâtisserie Aoki」横浜市金沢区瀬戸17-10
・「鳳月堂」横浜市金沢区瀬戸16-2
・「Caviste Re:Vini」横浜市金沢区瀬戸17-10　2F
・「瀬戸神社」横浜市金沢区瀬戸18-14
・「旧・横浜備前焼悠心窯」横浜市金沢区瀬戸20-2


― 終わり ―