36年間、横浜のドヤ街・寿町で開催されてきた「寿町フリーコンサート」とは?
ココがキニナル!
1979年から毎年夏に開催されており、かつてジョニー大倉も出演した寿町フリーコンサート。今年も8月16日に開催が決定! 是非取材をお願いします!(ryoryoさん、ぜんちゃんさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
寿町フリーコンサートは1997年に寿町の夜間中学で喜納昌吉が歌ったことがきっかけで始まった。以来数多くのミュージシャンがノーギャラで参加
ライター:山崎 島
このコンサートの目的とは
街を主体とするコンサートだからこその、興味深い歴史をたどってきた寿町フリーコンサート。現在の、このコンサートの目的は何なのだろうか? 率直に伺ってみた。
お二人は「このコンサートによって、多くの人に寿町へ足を運んでくれ、この街とほかの街との間に築かれた見えない壁を取っ払うことが、第一の目的です。ほかの街の方々が持つ、寿町の明るくないイメージを、実際にここに来てもらうことによって変えられるのでは、と思っています」とおっしゃっていた。
段ボールに絵を描くおっちゃん(2009<平成21>年)
私自身、寿町を訪ねる時どうしても身構える。私の視点を通して見た寿町の印象もあるのだが、それ以上に、街の外に住む人たちから受けた情報で、寿町のイメージができているように思う。
いろいろな事情を持つ方々が住む寿町に来ると、振る舞い方が変わったり、雰囲気が違うと感じたりする。しかし実際に踏み込んでみることにより、必要以上に警戒している部分や、逆に甘く見ていた部分などを自分自身で知ることができれば、なんていうか、うーんと・・・グッドではないだろうか。
実際にこのコンサートに訪れ、寿町と金子さんや高沢さんたちの活動に興味を持つ人は少なくないのだそう。
おちびさんたちも聞きに来たよ、ちょっとうるさかったかな(2011<平成23>年)
「人と街と人の出会いの場であってほしい」と願いが込められたフリーコンサートは街の外からたくさんの方が訪れているのはよく分かったが、街に住んでいる方々の反応はいかがなものだろうか。
高沢さんいわく「このコンサートに来る観客のほとんどは、街の外からの方です。寿町の簡易宿泊所に住む方々は、およそ6500人います。コンサートや夏祭りに参加している方は、厳密に数えてはいませんが約300人ほどです。ほとんどの方々が部屋の中にいるのが現実です」
「中には、体の具合が悪い方もいて“大きな音が体に響く”と言われたこともあります。コンサートの数日前には、大きな音が出るというお便りを、近隣の建物に配るなどして、対処しています」
「一方、街で暮らす人の中に、お金を1年間こつこつ貯めて、毎年5万円を寄付してくれるような方もいます。いろいろなご意見をお持ちの方がいますが、私たちはこのコンサートを通して、この街に興味を持つ人がたくさんいるんだよ、ということを伝えられれば良いと思っています」とのこと。
いろんな事情を抱える人たちが、同じ音楽で一緒に踊れる場
街の外から注目が集まったとしても、実行委員会にとって一番考える対象となるのはこの街に住む方々。この夏祭りでは、寿町支援者交流会が、故郷になかなか帰られない人たちのために「ふるさと物産店」も開催しており、全国各地から物産を取り寄せ、懐かしんでもらおうという、真心詰まった催し物もある。
有志の方々から、物資を寄付してもらうことも多い
少しでも故郷の風を、運んで来ようと
それからコンサートを開催する上で大変なこと。金子さんのお話によると「お金のことはまったく問題にはなりません。PA(音響関係の技術者)はプロの方に頼んでいますが、そのほか当日のスタッフなど全て実行委員会でやりますから。一番大変なのは、ステージを組むことです。いくらやる気があっても、人数が足りないと組み立てられないので・・・」と、とにかく人手がほしいそう。
絶賛ボランティア募集だそうです。
大きなステージを組むのは(2014<平成26>年)
大変です(2014年)
37年間続く、寿町を主体とした「寿町フリーコンサート」、今回はその歴史をなぞっていったが、とても熱い、興味深いものだった。いろいろなご意見を持たれる方も多いと思うが、今年の夏は8月13日(木)に開催予定(舞台設置は8月12日(水)午前9時半から寿町職安前広場にて)。
引き続き当日の様子もレポートしていきます。
取材を終えて
とにもかくにも、当日が楽しみ。いい具合に晴れますように。
―終わり―
寿町夏祭り
住所/横浜市中区寿町3-12-2 4F(寿町夏祭り実行委員会事務局長:高沢)
電話/045-641-5599