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ココがキニナル!

海老名市の中央図書館が気になる。世間的には蔵書見直しの問題やカードの問題が取り上げられています。館内の雰囲気や市民以外でも気軽に入れる感じかなど、実際の使い勝手を調べて。(ハムエッグさん/たこさん)

はまれぽ調査結果!

海老名市立中央図書館はスターバックス併設やライフスタイル分類など従来にない個性を持った図書館。一度訪問して、自身で見聞されることをお勧めする

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2015年12月17日

ライター:松崎 辰彦

お目当ての本を捜す

お目当ての本は捜せるだろうか。今の図書館は検索用のパソコンが用意されているのがほぼ常識だが、海老名市立中央図書館にも独自の検索機が書架の脇についている。
 


検索器

 
タッチパネル式だが床に垂直なので指を当てづらく、操作しにくい。機械の上辺が床から138㎝の位置にあるが、これが身長177cmの記者にはあまり使いやすい高さではなく、せめて角度が変えられるならもっと便利なのに、というのが率直な感想。
 


身長177 cmから見るとこうなる

 
また入力画面も分かりにくく、戸惑いやすい。最初の画面が「本を借りる/本を買う」となっており、販売書籍の検索も兼ねている。画面の進行にしたがって捜したい本のタイトルや著者名を入れるが、そうして出てきた回答画面も最初は見方が分からず、首をひねる。慣れるまで、何回か使わなければなるまい。

 

 

慣れないうちは分かりづらい
 

こういう紙も出てくるが、これも分かりづらい


本を借りるときは、機械を相手に自分で手続きする仕組みである。カウンターに並ばなくてよいのはうれしい。カードを使って手早くできるし、案じるほど難しくない。
 


 

 

貸出手続きは簡単

 
返すのも簡単、返却口に入れればOKだ。このあたりは便利である。
 


ここに返せばOK

 
ほとんどの公立図書館は、貸出カードを作れるのは市内在住在勤、あるいは協定を結んでいる近隣の市の住民に限られている。しかし海老名市立中央図書館では、日本在住なら誰でも本を借りることができる。カードにも何種類かあるようだが、詳しくは現地で説明を受けられたい。
 


日本在住なら誰でも貸出カードが作れる

 
オープンは午前9時から午後9時まで。年中無休で、このあたりもサラリーマンやOLにはうれしい。



カフェがあるから友達を誘いやすい

この図書館を訪れた感想を利用者に聞いてみた。まず女子高校生グループ。
「地元から来ています。売っている本が試し読みできるし、食事しながら勉強ができるのもいいと思います。カフェがあるから、友達を誘いやすいです」高校生ならではの感想か。
 


話を伺った女子高校生グループ

 
それからお子さん連れのお母さん。
「この図書館はすごくいいです。子ども用の部屋もあるんで連れて来やすいです。ほかの図書館では静かにしないといけないですが、ここならばお互いさまということで」
 


お母さんにも聞く

 
おおむね好評のようである。



「来ていただいた方に喜ばれるように」──万人に開かれた図書館を目指して

話題の尽きない海老名市立中央図書館であるが、この図書館を海老名市から委嘱され管理している共同体の一社はCCC ──カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社である。この会社が書店「蔦屋書店」やDVDなどのレンタルショップ「TSUTAYA」(ツタヤ)を経営しているのはよく知られている。

海老名市立中央図書館の前にも佐賀県の武雄市図書館で指定管理業者として名乗りをあげ、同図書館の来館者数を飛躍的に増加させたことで話題となった。
 


販売用カウンター

 
しかし、その手法は賛否両論。館内にスターバックスを設け、独自の分類法で本を並べたことも注目されたが、一方で歴史的資料を独断で廃棄した疑いも報じられ、世の風当たりが強くなった。

公共図書館の意義は日本の法律「図書館法」によって規定されている。それによると公共図書館とは“図書、記録その他必要な資料を収集し、整理し、保存して、一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーション等に資することを目的とする施設”である。
 


開放的なテラス

 
この視点から考えた場合、営利事業である「ツタヤ」──“蔦屋”と“TSUTAYA”を運営するCCCの管理運営に一部で疑義が投げかけられたのだ。
そして海老名市立中央図書館は武雄市図書館に続く二つ目のいわゆる“ツタヤ図書館”なのである。

「とにかく来ていただいた方に喜んでいただくということを一歩ずつしっかりやっていけば、おのずといいものが出来上がると思っています。(さまざまな逆風に対しては)ご指摘やアドバイスを受けて日々改善を進め、どなたにも愛される図書館を実現していきたいと考えています」

こう語るのは海老名市立中央図書館館長の高橋聡(たかはし・さとる)さん。ご多忙中にお話を伺った。
 


館長の高橋聡さん

 
現在、必ずしも好意的とは言い難い状況下での図書館運営。いろいろ苦労もある中で、現場スタッフは世評とともに実際に足を運んでくれる来館者の声にこそ耳をそばだて、今後の展開を考えている。
 


地下1階から地上4階まで。とにかく大きい(画像提供:海老名市立中央図書館)

 
「開館後に実施した利用者アンケートでは80%以上の来館者が新しい図書館に『満足』と回答されています」

カフェの併設やキッズライブラリーの設置は特に好評を持って迎えられたようである。

話題のライフスタイル分類に対して聞いてみると、「たとえば料理ならば素材とともにそれを盛る器も、さらにテーブルマナーも同じところにおいて、食に関連するテーマをまとめて学べるようにしたということです」
 


食に関するテーマも豊富

 
決して常識からかけ離れたことをやっているわけではないとのこと。また検索機に関しても月に2回、講習会を開いて訪れる人に使い方をレクチャーしているという。



新しい発見のある図書館を目指したい

併設されたスターバックスに関しても伺った。
「あそこで図書館の本も読めますし、販売用の書籍も読めます。最近ようやく販売用の書籍も読める、というサービスが浸透してきました。販売用の書籍は、もちろん内容の書き写しや写真撮影は禁止です。おしゃべりは特に禁止していませんが、しゃべりたい人は外のテラスに出ているようです」
 


 

駐車場もある


コーヒーなどを飲むのはカフェのみならず館内全域でOKとのこと。
「武雄市図書館でも飲食で本を汚したりといったことは極めてまれでした。館内のルールに関しては、利用者の方々が自分たちでパブリックな概念でマナーを作っていく雰囲気作りをしたいですね」

1階と2階は本を中心にコミュニケーションをとれるようにBGMを流したりしているが、地階と3階は音楽を流さずに、おしゃべりの空間ではないことが自然に分かるようにしているという。
 


こうした休憩地も魅力

 
海老名市立中央図書館はCCCとTRCが協同管理者として運営に当たっている。一部ではCCCとTRCが運営方針を巡って対立し、決裂したというニュースも流れているが、高橋さんによるとそれは誤りであり、海老名市の図書館では両者がお互いに協力して図書館を運営していく方針を確認しているとのことである。

TRCに確認したところ、今回の取材はすべて海老名市より回答を受けられたしとのこと。そこで海老名市へ問い合わせたところ、高橋さんと同様にCCCとTRCの協力関係を強調された。

また、やはり報道でCCCが武雄市図書館で歴史的資料を一方的に廃棄したとして非難されたが、それはCCCが運営を担当する前の出来事だったのに、なぜかCCCの責任にされたと高橋さんは語る。

この件に関しては武雄市の小松政(こまつ・ただし)市長がみずからのブログ(11月9日付け)で「『郷土資料』として登録していた本を廃棄したという事実はございません」と弁明している。
 


キッズルームは大人も楽しい(画像提供:海老名市立中央図書館)

 
また高橋さんによると海老名市の郷土資料は有馬図書館が中心となって管理することがすでにスタートの時点から提案されており、それにもとづいて移動されたのであって、CCCに懸念して資料が移されたわけではないとのことである。

今回のCCCの図書館運営に関しては、メディアでも情報が混乱している感がある。先入観に左右されない正しい報道が望まれる。
 


分からないことはスタッフに

 
「特に何も考えずに入っても何か発見があるような、そんな図書館を目指しています。来ていただいた方には高い評価をいただいているのに、実際に足を運ばないままで誤解されている方もおられます。とにかく一度来ていただければと思います。今回のリニューアルで、来館者が昨年比で2.5倍になりました。これからイベントなどにも力を入れていきます」と高橋さんは述べる。
 


インド人スタッフ、キンジャルさん。英語関連のイベントで活躍(画像提供:海老名市立中央図書館)

 
海老名市教育委員会教育部参事兼教育指導課長の鷲野昭久(わしの・あきひさ)さんは「素晴しい図書館ができたと考えています。さまざまな問題は、こちらでは2社による共同事業体で運営するので心配ないと考えています」と語る。

「また、中央図書館ばかりメディアで取り上げられていますが、今回指定管理が入ったことで、市内に19校ある学校の図書室に司書を派遣して、図書室の環境整備や読書活動の推進といった活動など、なかなか公共ではできないサービスもしていただいています」
外部からは分かりづらい部分で民間の力が活かされていることを強調する。
 


海老名市区役所

 
さまざまな話題を投げかけている海老名市立中央図書館。今後の動向にますます注目したい。



取材を終えて

やはり個性的な図書館であった。カフェと書店と図書館が仕切りなく混在するのは、たしかに従来の図書館のイメージからかけ離れていた。

しかし、そのカフェでは高校生たちが真面目に勉強している。高橋さんも来館する高校生がよく勉強するので驚いたという。いたずらに内部でおしゃべりして周囲に迷惑を掛ける人もなく、自然にルールができつつあるようである。
 


とにかく斬新な図書館(画像提供:海老名市立中央図書館)

 
アンケートでは来館者の80%以上が新しい図書館に好意的とのことだが、一方で目当ての本を見つけにくいなど、不満を持つ人もいるようだ。

ツタヤ図書館の誕生は“図書館とは何か”というこれまであまり一般に顧みられることのなかった重要な問題を考える、またとない契機になったということもできよう。

図書館の在り方を定めた「図書館法」では「この法律において『図書館』とは、図書、記録その他必要な資料を収集し、整理し、保存して、一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーション等に資することを目的とする施設で、地方公共団体、日本赤十字社又は一般社団法人若しくは一般財団法人が設置するもの(学校に附属する図書館又は図書室を除く。)をいう」とある。

書物こそ文化の土台、図書館こそ人間精神のかけがえのない牙城という事実に多くの人が気づいたのだろうか。
 


古代最大の図書館と言われるアレクサンドリア図書館。かつて書物は貴重だった(フリー画像より)

 
この1ヶ月で相当、改善を重ねましたと高橋さん。まだまだ完成とはいかないようだ。今後、この図書館がどのような進化を遂げるかが注目される。

世評はかまびすしいが、気になる方は一度、実際に訪問されてはいかがだろう。そして「新しい図書館」をご自身で体験し、その是非を判断されることをお勧めしたい。
 


「新しい図書館の価値」を創造できるか

 

─終わり─


取材協力
海老名市立中央図書館
住所/海老名市上郷474-4
電話046-231-5152
https://ebina.city-library.jp/library/

海老名市教育委員会
http://www.city.ebina.kanagawa.jp/www/genre/0000000000000/1000000000498/

※本文中の『図説・占星術事典』は後日、「占い」の分野に移動したことが確認されました。
 
 

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  • 図書館分類とTSUTAYA独自の分類があって、検索機から打ち出されるのは図書館分類の番号だが、実際の配置はTSUTAYA独自の分類となっているから打ち出した番号が間違っている(そもそも別の分類なので違って当たり前)ことになり、非常に探しにくい。割りきってTSUTAYA独自の分類に統一して、図書館分類は参考程度にしたほうが探しやすくなる二つを並列させるやり方は明らかにおかしい

  • >とある図書館関係者さん行ってみたけれど、使い勝手が良くなかったですよ。ダラダラ読めるブックカフェだと思えば良いのかもしれない。

  • 図書館職員には不評。一般客には好評では?

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