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伝統の味を守る「日本味噌」とは!?

ココがキニナル!

横浜で味噌を作っている日本味噌さんと醤油を作っている横浜醤油さんを取材してください。気になります。(にゃんさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

日本味噌は、徹底した品質管理と代々引き継いだ杜氏の技によって江戸の町民に愛されてきた「毎日食べても飽きない」味噌を作り続けていた。

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ライター:吉澤 由美子

前回の「横浜醤油」に引き続き、今回は「日本味噌」を紹介。

味噌が日本に伝来したのは、7世紀頃の飛鳥時代と言われている。鎌倉時代になると、味噌汁が武家を中心に広まり、室町時代になるとそれが庶民の食卓にも欠かせないものになっていく。

この頃から農民は自家製の味噌を作るようになる。「手前味噌」という言葉は、それぞれの家庭が味噌を作って「うちの味噌はうまい」と自慢しあっていたことから生まれた言葉。味噌作りがいかに盛んだったかがこの言葉でもわかる。

明治・大正・昭和と時代が進むにつれ、味噌は作るものから買うものになっていく。全国で作られていた味噌は地域によってかなり変化があり、原料・発酵・熟成期間の違い、塩や麹の加減でさまざまな種類がある。

現在、東京や神奈川では塩分の濃い辛口味噌がポピュラーだが、昔は江戸甘味噌という甘めの味噌が主流だった。

その江戸甘味噌を作り続けているのが、今回うかがった「日本味噌株式会社」。
 


6代目社長の田中清孝さん。味噌汁の具は「旬の野菜」が一番とか




東京・神奈川で残った唯一の味噌メーカー



日本味噌株式会社は新横浜駅近くにある。「かねじょうみそ」という大きな看板が目立つ建物だ。
 
江戸時代から続く米穀商「上総屋」が、1885(明治18)年に東京の深川で味噌製造を開始したのが、日本味噌株式会社のはじまり。その上総屋の屋号を引き継いで、現在もトレードマークとして使っている。
 


社長が偶然みつけた葛飾北斎の浮世絵に「かねじょう」の屋号を発見。応接室に飾ってある


大正時代には、全国の味噌業界でも群を抜く生産量を誇っていた。1938(昭和13)年には横浜味噌株式会社と合併。一時は、東京や横浜市中区山下町などに3工場を持っていたが、1964(昭和39)年に現在の工場がある横浜市神奈川区三枚町に新しい発酵技術を取り入れた全行程機械化の近代工場を作って工場を一本化した。

この場所を選ぶにあたっては「横浜の水がいい」ことが大きな理由となった。
 


この工場は食品衛生優秀施設として、たびたび表彰を受けている


横浜が開港してから、海外の船乗りに「横浜の水は赤道を越しても腐らない」とその品質の高さ、おいしさを絶賛されていた横浜の水。味噌作りは大量の水を使うため、水質が出来上がりに大きく関係する。1964年にこの工場を作る時にも、横浜の水質の良さがかなり大事なポイントとなったそう。



江戸の伝統を引き継ぐ 江戸甘味噌



江戸甘味噌は、将軍家の出身地である三河の八丁味噌の旨味と、京都の白みその上品さを兼ね備えたものとして、江戸中期に開発された江戸特産の味噌。
 


味噌の風味を生かしながら、様々な料理に使える江戸甘味噌
※画像提供:日本味噌株式会社


大豆の香りと麹の甘味が調和し、とろりとした独特の風味は、江戸時代から受け継がれてきた杜氏たちの匠の技、「留め釜(とめがま/3日間かけて大豆を蒸し、糖分を褐変させ、風味と色を出す)」「熱仕込(あつじこみ/仕込み温度を高温に保ち、麹の糖化を促進。コクのあるまろやかな味を作る)」などの技術により生み出されている。

米の使用量が多いことから、戦時中には贅沢品として製造統制を受け、戦後は物資不足もあって製造する会社がなくなっていく中、日本味噌株式会社ではこの江戸甘味噌を作り続け伝統を守った。

味噌は味付けに使う場合、薄めると味噌の風味がなくなり、大量に入れると塩分がきつくなってしまうが、甘味噌は塩分が低いので風味を残しながら程よい塩分に調整できる。
 
そして、嫌な匂いを隠すマスキング効果が高い味噌の特長も生かしやすい。魚などを味噌漬けにすると、生臭さを消しながらちょうどいい塩分を加味できるのだ。

さらに、麹に多く含まれる酵素が蛋白質を分解して旨味を作るため、動物性蛋白質にもよく合う。

江戸甘味噌は味噌料理の幅を大きく広げてくれる調味料なのだ。

現在も老舗料亭などが、この江戸甘味噌を使って代々伝えられた味を保っている。また、そこから江戸甘味噌の認知度がじわじわと広がり、食にこだわりを持つ層に人気を集めている。