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火事で焼失した戸塚の重要文化財、住友家俣野(またの)別邸、その後はどうなった?

ココがキニナル!

2009年に放火とみられる火災で焼失した横浜市戸塚区の国の重要文化財旧住友家俣野(またの)別邸跡地はどうなってるの?キニナルので取材してください。(にゃんさんのキニナル)

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ライター:ほしば あずみ

俣野(またの)別邸の今



旧住友家俣野別邸(以下俣野別邸)は、1939(昭和14)年に住友財閥の第16代住友吉左衛門友成の別邸として戸塚区東俣野町に建設された。

国内の建築作品に与えられる大きな賞の一つ、BCS(Building Contractors Society)賞を受賞した日光プリンスホテル(栃木県日光市)や、長野県山ノ内町指定有形文化財である山荘、志賀アルペンローゼ(長野県下高井郡)の設計をした佐藤秀三の設計による「和洋折衷建築」が俣野別邸の大きな特長だ。

梁(はり)や柱、筋交いを外に見せてモルタルや瓦で埋めるハーフティンバースタイルを基調とし、昭和前期のモダニズムの雰囲気を伝える洗練された建物だったという。当時の郊外邸宅の有り様を物語る歴史的価値の高さから、2004(平成16)年に国の重要文化財に指定された。


焼失前の別邸。瓦屋根から柱が出ている折衷建築様式
 

使用人の居住区も備えていたほどの大規模建築物


重要文化財に指定されたことにより、管理団体の横浜市が一般公開を目指して一部の老朽化した箇所の復元工事を進めていたところ、2009(平成21)年3月15日午前5時ごろに出火。母屋約659㎡を全焼、隣接する工事用事務所などのプレハブ2棟も全焼した。幸い、けが人はいなかった。

火事は復元工事を進めている最中の出来事。周囲は高さ約3mのフェンスが張り巡らせてあり、侵入防止用赤外線センサーも設置されていたが、火災発生時にはフェンスが施錠されたままで、センサーも作動していなかったという。

当時、県下では同年1月に旧モーガン邸(神奈川県藤沢)が、また同年3月には旧吉田茂邸(神奈川県大磯)といった歴史的文化財が、俣野別邸同様、火の気のないところから出火し全焼する火事が相次いだ。
いずれも放火と見られているが、今日まで犯行に結びつく有力な手がかりは得られていない。
 


googleマップの航空写真には、まだありし日の俣野別邸の姿があった


その後、俣野別邸はどうなったのか。
横浜市環境創造局、公園緑地整備課の松本さんに話を伺った。
 


公園緑地整備課の松本さん


「俣野別邸は一般公開に向けて建物の復元工事を進めている最中に火災に遭いました。
建物のある内苑部分は今後も整備を進めていくのですが、先に約4haの外苑部分を『俣野別邸公園』として2013年3月27日に公開する運びとなりました」
 


未公開エリアの青部分が建物のあった場所(画像提供:横浜市環境創造局)


火災後も公園としての整備は続けられていたのだ。
では、建物があった「未公開エリア」の内苑とは? 「未」ということは、いずれは公開する予定があるのだろうか?
 


現在、敷地内の建物は園内の管理棟のみ


「建物も含めた内苑部分も、ゆくゆくは公開できるよう今後も整備を進めていきます。実は、建物は復元工事のために建具や建材の一部は解体していたので、別の場所に保管していたものもあるんです。現場は全焼でしたが、焼けずに残っている建築当時の雰囲気を伝える建材で今後復元をすすめ、一般公開を目指します」

復元される建物はどのような活用方法を想定しているのかも伺ってみた。

火災に遭い、全焼した建物は重要文化財としての価値を失ったため、2011(平成23)年4月にその指定を解除されている。

では、復元された後は、文化財ではない、「ただの建物」という扱いになってしまうのだろうか?

「国指定の重要文化財ではなくなりましたが、文化的な価値は焼失前の建物だけにあるものではありません。建材、建具の一部も残っているので、今後なにかしらかの文化財として指定を受ける可能性はあるかもしれません。
活用方法として、たとえば山手の西洋館のように無料で開放し、カフェを併設したりギャラリーとして利用できるようにしたりといった事ができればとも考えています」
 


1937(昭和12)年に英国総領事公邸として建てられた「
横浜市イギリス館


今回の外苑部分の一般公開に先駆け、近隣住民や関係者向けの内覧会が催されるというので取材を申し込み、当日、俣野別邸庭園へ向かった。