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「横浜みどり税」で、横浜市の緑は本当に増えているの?

ココがキニナル!

横浜みどり税ってほんとに緑がふえているのでしょうか?身近ではまったく増えてないので気になります。(Ichiさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

平成21年度からの5ヶ年で、総額96億円の横浜みどり税を導入。樹林地の保全や幼稚園の芝生化、商業施設の緑化まで、さまざまな場所で緑は増えている

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ライター:伊藤 健志

「横浜みどり税」と聞いて、ピンと来る人は、はたしてどれだけいるだろうか?

はまれぽでは以前、「横浜市の住民税って高いの?」の記事でも「横浜みどり税」について触れている。だが、少なくとも著者の周辺では、行きつけの飲み屋の店主も友人らも「知っている」という人間は1人もいなかったのが現状だ。

早速、横浜市に問い合わせてみた。



いまある緑を守り、次世代に残すため



話をしていただいたのは、横浜市環境創造局みどりアップ推進部みどりアップ推進課の槇(まき)課長。
 


横浜市環境創造局みどりアップ推進課・槇(まき)課長


横浜市の緑被率(緑でおおわれた面積の占める割合)は、1975(昭和50)年には約45%あったものが、2004(平成16)年には約31%、さらに2009(平成21)年の調査では約29.8%まで減少している。
 


横浜市の緑の減少推移(提供:横浜市環境創造局)

<クリックで拡大>


そこで市では「緑の減少に歯止めをかけて、今ある緑を次世代の子どもたちに継承していく」ため、樹林地や農地の保全、市街地の緑化活動支援などの取り組みを柱とし、従来の取り組みを強化した「横浜みどりアップ計画」(新規・拡充施策)を2009(平成21)年度からスタート。

従来の事業規模よりも+αの事業を推進するため「横浜みどり税」を事業費用の一部に活用、平成21年度から25年度までの5ヶ年計画で取り組みを進めている。
 


「横浜みどりアップ計画」5ヶ年の目標(提供:横浜市環境創造局)


「横浜みどり税」の課税方法は、個人は市民税の均等割に年間900円を上乗せ。法人も市民税の年間均等割の9%相当額を上乗せ(欠損法人は免除)している。また、具体的な使い方や年度間の財源調整を図るため、みどり税の税収相当額は「横浜市みどり基金」に積み立て、活用、管理している。

では、この「年間900円」という税額の根拠はなにか?

当初、横浜市税制研究会が試算した数字は「個人年間1300円、法人13%負担」というものだった。しかし、新たに税金を徴収することに対しては、「ほかの事業費を削れ」「行政の無駄を省いてから」など、市議会でも実にさまざまな意見が出された。そうして慎重に審議を続けた中で現在の数字になったようだ。横浜みどり税の年度あたりの平均税収は、約20億円となっている。



樹林地や農地の減少傾向に一定の効果



「横浜みどりアップ計画」は、実に42事業にも上るが、その柱は「樹林地を守る」「農地を守る」「緑をつくる」の3本に大別できる。
 


本計画は「樹林地を守る」「農地を守る」「緑をつくる」の3本柱(提供:横浜市環境創造局)


それぞれの事業費だが、まず「樹林地を守る」施策は、平成21~25年度予算までの累積見込額で435億1400万円。このうちの65億6800万円を、横浜みどり税でまかなっている。

また「農地を守る」施策では、49億7800万円のうちの11億2600万円を、さらに「緑をつくる」施策では、37億2700万円のうちの18億9400万円を、横浜みどり税でまかなっている。

この結果「横浜みどりアップ計画」全体の事業費は、5ヶ年で総額522億2000万円。そのうち、横浜みどり税は約96億円が使われることになる。

税収に対して樹林地の買い取り等の事業費が少ない計画前半に基金を積み立て、事業費が税収を上回る計画後半に積み立てた基金を活用することで、年度間の財源調整を図り、平成25年度の予算では基金残高がほぼなくなる見込みである。

下の円グラフは平成21~24年度まで4ヶ年の累計ではあるが、横浜みどり税の使途内訳のイメージである。
 


みどり税の使い方の内訳(提供:横浜市環境創造局)




横浜公園65個分の樹林地を指定



まず、最も多くの予算を割いている「樹林地を守る」取り組みについては「緑地保全制度による樹林地の指定に注力してきた」という。この指定とは、土地の所有権は地権者に残したまま、樹林地を保全する区域を都市計画で定めたり、10年以上、樹林地の保全を契約してもらう取り組みのこと。

指定するとその土地の樹林を伐採したり、家やマンションなどを建てたりすることはできなくなる。その代わり、固定資産税の減免や、樹林地を維持管理する作業費用の一部を市が助成する制度が適用されるメリットがある。

この樹林地の指定面積は、平成21〜24年度までの4年間で417.5ha(横浜公園約65個分)を達成。これは計画策定前の5年間の指定量(約20ha/年)に対し、年平均5倍以上のスピードで指定が進んだことになる。
 


みどりアップ計画後、このような推移になっている(提供:横浜市環境創造局)

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