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ギャンブル依存を更生させる瀬谷の施設「ワンデーポート」から聞こえてくる騒ぎ声の正体は何?

ココがキニナル!

瀬谷区にあるギャンブル依存の更生施設、ワンデーポートが気になります。中で卓球をして、大声で騒いでいるようなので気になります。カリキュラムの1つなのでしょうか?(雄鳥屋さんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

ギャンブル依存から回復した施設長が個々に合ったプログラムを実施している更正施設。騒ぎ声は利用者が休憩中の交流で卓球をしている時の歓声だった!

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ライター:山口 愛愛

ギャンブル依存から、更正施設の設立へ

学生時代は、時給が高いとの理由だけで、横浜市内のパチンコ店でアルバイトをしていた筆者。「ボッタクリ! 2度と来るか!」と怒りを露わにする客に限って、翌日も開店前から並んでいた。

常連は会社役員もいれば、生活資金が底をつき、寮生活付きの社員として入社してくる若者もいた。消費者金融に手を出している人も少なくない。
なぜ、ギャンブルに依存してしまうのか、どのように更正するのか。昔からのそんな関心を持ちながら、相鉄線瀬谷駅近くの住宅街にある、認定NPO法人「ワンデーポート」を訪れた。
 


2階建てのアパート、「クボタハイツ」の中にある


「ワンデーポート」は意外にも、こじんまりしている。アパートの3室を使っている寮付きの更生施設であった。このほかに市内の2ヶ所に寮を借りているが、同じようなアパートタイプである。

まずは、施設長の中村努さんに、ワンデーポートの概要についてお話を伺った。
特筆すべきは、中村さん自身が過去にギャンブル依存の問題を抱えていたが更正し、このワンデーポートを設立したということ。スタッフは全員、ギャンブル依存からの回復者なのだ。
 


30代のときにワンデーポートを設立した中村さん


中村さんは國學院大学生のころにパチンコを始め、ハマっていったという。社会人となり、高校の非常勤講師をしながらも、競馬、競艇、ポーカーなどにのめり込み、生活が立ち行かなくなった。人間関係を築くことも苦手で、すべてから逃れるように5年間失踪・・・。
20代後半のとき、書店で目にした、アルコール依存症に関する本を読み、セミナーにも参加するようになった。

そのころはアルコールや薬物依存症とギャンブル依存症は同じような病気である(後に全く違うものと理解する)と考え、その回復プログラムを参考に、更正施設を作れないかと模索し始めたのだ。
 


中村さんの著書「ギャンブルとの向き合い方」も、明石書店から販売中

こうして2000(平成12)年にワンデーポートを設立。当初は相互援助グループのミーティングを中心とした活動の場だった。中には多重債務から逃れるように、地方からやってくる人もいて、債務整理のアドバイスや住まいの賃貸契約を行い、生活を補助していくうちに、寮生活のプログラムに至ったという。
 


瀬谷は2部屋を事務所と相談室で使い、1室が利用者の寮


最初の1年間の利用者はわずか6人。だんだん全国から利用者が集まるようになり、2003(平成15)年4月には「かながわボランタリー活動推進金21協働事業」に選出された。5年間で年間800万円程度の支援を受け、財政難を切り抜けることができたという。これまでの13年間で450人以上の入所者と関わってきた。

現在も財務状況に余裕はないが、パチンコ業界大手のマルハンやパチンコの組合より寄付をもらうなど、パチンコ業界、医療関係、個人からの寄付、入寮者の寮費(1ヶ月5万円 食費別)などでやり繰りをしている。

中村さんは利用者と接する中で、2004(平成16)年ごろからある重大なことに気付くようになる。

「当初は、『ギャンブル依存症』という病気だと考えていたのです。病気だから、治療すれば治る。ギャンブルをやめればすべて解決する。痛い目にあえば、反省して自分のように更正できると。しかし、ギャンブルは現象のひとつで、そこに至るまでの原因と背景がそれぞれにあることが問題だったのです。

家庭環境や金銭的な問題だけでなく、本人や家族が気付いていない発達障害や軽度の知的障害がある人も少なくありません。本人が納得すれば、障害手帳を交付してもらい様々な支援を受けてもらいます。そのようなアドバイスも含め、1人ひとりに寄り添った改善が必要です」と中村さん。
 


中村さんが施設の歩みをまとめた冊子「ギャンブル依存症なんて病気はない」


中村さんは医療関係者の協力の元、発達障害にまつわる講演会も開いている。
発達障害の例を上げると、ADHD(注意欠陥・多動性障害)は衝動性や多動性が強く、後先を考えず、思いついたことをすぐにやってしまう。同じ失敗を繰り返すのも特徴だ。
自閉症の同一性の場合、物事に過度に没頭し反復する。心地良い刺激がやめられなくなる症状がある。

「軽度の障害の場合、本人や家族に自覚がないことや、認めたくない人もいるので、見極めやケアも難しいのですが、お互い理解し合ってその人に合ったフォローをしていくことが大切です」と中村さん。
 


相談室で家族と面談を行うことも