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横浜と青森は縄文時代から関係アリ!? 長津田の遺跡群「なすな原遺跡」って一体何?

ココがキニナル!

東急田園都市線、長津田検車区のある場所は「なすな原遺跡」という埋蔵文化財のある土地。発掘調査は事前に行われ、出土品は何?また調査で分かったことは?(ねこぼくさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

縄文時代を中心に、東北地方とのつながりや農耕が行われていた形跡を、土器などを手かがりに発見。祖先の暮らしがより具体的に把握できるようになった

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ライター:河野 哲弥

行政の枠を超えた、巨大なプロジェクト

今回の投稿にあった長津田付近に展開する「なすな原遺跡」。インターネットで調べてみると、どうやら町田市の教育委員会が関係しているようだ。
問い合わせてみると、取材も可能だという。こうして後日、「町田市考古資料室」で、担当者と待ち合わせることになった。
 


町田市下小山田町にある、同資料室


説明してくださったのは、町田市教育委員会の後藤貴之(ごとうたかゆき)さん。
それにしても、なぜ町田市が管理しているのだろう。専門のプロジェクトチームが組まれたという「なすな原遺跡の内容」とともに、その意義などについても伺ってみよう。



かつては、お屋敷の跡地と間違われていた?

まずは、「なすな原遺跡」のロケーションを確認しておこう。
所在地は、町田市南成瀬と横浜市長津田町にかけた、広さ約6万5000㎡の一帯となる。

 

赤く囲った場所が、東急電鉄の長津田車両基地(Google Mapより)


ほぼ中央に架かる橋から見た、同基地西側の様子
 

「なすな原遺跡」の見取り図(網掛けの部分が同基地に該当)


この見取り図を見ると、遺跡は都県境をまたぎ、大きく3つの地区に分かれているようだ。
「広さや出土品の数でも、町田市の占める割合が大きいので、こちらで管理することになったのです」と、後藤さん。

聞くところによると、この近辺ではかなり以前から、陶器のようなものが頻繁に発見されていたそうだ。「当時は、誰も土器だと考えず、屋根の瓦だと思われていたそうです。この辺はナズナ(ナスナ)が群生していたので、誰からともなく『なすな長者の屋敷跡』と呼ばれていたみたいですね」とのこと。
 


東京ドームより広いお屋敷、なすなさんって何者?


この都市伝説に「待った」をかけたのが、考古学者の故・八幡一郎(やわたいちろう)氏。氏は、昭和初期に綿密なフィールドワークを行い、貴重な文化財が埋蔵されている可能性を示唆した。

しかし、現場が余りに広大であるため、費用面も含めてなかなか調査の手が伸びなかったようである。そんな状況の中で計画されたのが、東急電鉄(当時、東京急行電鉄)の長津田車両基地。同社が費用を負担することで、1975(昭和50)年から、「なすな長者の屋敷跡」の本格的な調査が始まった。
 


どう見ても瓦屋根とは思えない、発掘品の数々


また、町田市・横浜市の両方にまたがっているため、行政が主導するのではなく、専門家を交えた「なすな原遺跡調査会(31人)・調査団(19人)」が結成されることになった。もちろん、調査団の顧問に就任したのは前述の八幡氏。こうして約5年間の歳月を費やし、「なすな原遺跡」の真相が明かされることになったのである。