路上喫煙めぐる訴訟で横浜市が逆転勝訴!
ココがキニナル!
横浜市が路上喫煙をした男性に対して2000円の過料を科したことが違法だと争っていた問題。裁判の続きはどうなった?(はまれぽ編集部のキニナル)
はまれぽ調査結果!
東京高等裁判所は「横浜市の処分は違法」とした一審判決を破棄し、一転、市の主張を全面的に認めた。男性が上告するかは未定
ライター:はまれぽ編集部
横浜市が逆転勝訴!
はまれぽでは、過去に路上喫煙に関する問題を取り上げてきた。その路上喫煙をめぐる問題で、注目された控訴審の判決公判が26日(木)に東京高等裁判所で開かれた。
この問題は2012(平成24)年1月、「横浜市空き缶等及び吸い殻等の散乱の防止等に関する条例(以下、条例)」で禁止された横浜市西区の路上で喫煙した東京都の男性が、2000円の過料を科せられたことについて、横浜市に対して処分の取り消しを求めていたもの。
男性が路上喫煙したとされる場所(Googleマップより)
処分について男性は公判の中で「喫煙禁止地区を示す表示が小さくて見えない。ここが禁止地区だとは知らなかった」などと主張。
これに対し、横浜地方裁判所は2014(平成26)年1月22日、「条例の目的は『喫煙させないこと』であり、訪れる人に喫煙してはいけないことを認識させる必要がある。男性は喫煙禁止地区であったことを知らなかったと認められ、過失があるともいえない」などとし、市の処分は違法であると判断。ほぼ全面的に男性の主張を認めた。
一審は市が敗訴
市はこの判決を不服とし、2月4日に控訴。公判では、「現場が喫煙禁止地区と認識できたか」など、男性の過失が主な争点となっていた。
26日に東京高裁で開かれた判決公判で田村幸一裁判長は、「注意すれば現場は喫煙禁止地区であることを認識できた」などとし、一審判決を取り消した。さらに「全国的に路上喫煙の禁止は一般常識になりつつある。喫煙者は注意することが必要」と付け加えた。
判決を受け、横浜市資源循環局の葛西光春局長は「本市処分が適法であったことが認められたものと考えている」とのコメントを発表した。
「処分は適法」とした横浜市
市民の反応は? 市の対策は?
判決を受け、市民はどう感じているのか聞いた。
条例の存在を知っており、禁止地区がどこなのかも把握しているという喫煙者の40代男性は「公共の場で吸う人が気を付けるのは当たり前。妥当な判決」と話す。男性は「自分は決められた場所で吸っているが、誰かが近くを通るたび、申し訳ないなと思っている」と加えた。
禁止地区付近には市が設置する喫煙スペースもある
一方、「判決は(たばこを)吸わない人の感覚では」と疑問を投げかけたのは非喫煙の20代の男性。「路上喫煙を禁止するという世の中の流れは大切だと思う。ただ、『流れ』を法律が後押しして喫煙者を抑え込むというのは怖い気がする」という見解だった。
ただ、市の訴えが認められたからとはいえ、市も対策をしていないというわけではない。
同局地域連携推進課の宮川努・担当課長によると、市は見えにくくなった路上表示の改善を随時行っており、今後も整備していく方針という。
こういった路上表示を
このように整備していく
取材を終えて
男性が上告する可能性があるため、確定判決とは言えないが、司法が判断したことで、横浜市では「禁止地区での路上喫煙=即過料」という流れは一層強くなるだろう。
それに伴い、法律(=今回のケースは条例)による一定の抑止力によって路上喫煙は減るかもしれない。
だが、本来であれば、喫煙者一人ひとりのマナーが向上することで路上喫煙が減っていくということが望ましいのではないか。
横浜市や同様に過料を科す条例を持つ自治体には、司法によって喫煙者を規制するだけでなく、喫煙者と非喫煙者が心地よく住み分ける環境づくりも考慮してほしいと思う。
―終わり―
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うなぎさん
2014年06月30日 07時37分
ヨーロッパの国々に比べ、日本や米国は喫煙問題に関して姿勢が極端すぎる。0か100かみたいな議論が多すぎ。非喫煙者が絶対正義で、喫煙者が絶対悪という前提に立ちすぎていると感じる。少し穿った言い方をするなら、「日本独特のいじめ体質」がこの問題に対して表面化しているのではとすら感じる。何でもかんでも法律でガチガチにするという姿勢が本当に問題の根本を解決するのか?もっと「常識」とか「マナー」とかそういう個々人の部分に任せればいいと思う。振り返ってみれば10年20年前と比べて相当に喫煙マナーは向上してきているけどそれは法整備がされたからではないのでは?(自分は非喫煙者です)
FACPさん
2014年06月29日 08時12分
日本での大規模疫学研究の結果が示すところは、国内での死因の最大の危険因子が喫煙であり、原因として悪性腫瘍が最多であることは周知の事実である。ただし、国内の喫煙者の発がんリスクは非喫煙者の3〜4倍とされ、欧米に比較しての喫煙による発がんリスクは低いとの指摘もある。しかし、より重要な指摘は、日本では受動喫煙防止対策が不十分なために、非喫煙者における発がんリスクが受動喫煙により上昇してしまっている状況が持続している可能性が大きいということだ。したがって、受動喫煙防止対策は極めて重要であり、今回の控訴審の判決の意義は大きい。
ushinさん
2014年06月28日 16時47分
自分は非喫煙者だが、決まりを守っている限り喫煙者の権利は保証されるべきと思うので、SOKUさん、rerereさんの意見には同意。現場の詳細を知らないので断言できないが「注意すればわかる」という見方はおかしい。禁止事項は明確に周知されているべき。ちなみに横浜市内全域ポイ捨てが条例で禁止されているので、歩きタバコのほとんどはその予備犯罪者だがな。もっと厳密に摘発すべきは指定された喫煙所で境界からはみ出して吸ってるバカヤロウには万円単位で罰金課せよ。