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保土ケ谷区にある和菓子店「栗山」がつくる知る人ぞ知る「おじぞうさんもなか」とは?

ココがキニナル!

保土ヶ谷区の栗山というお菓子屋さんに「おじぞうさんもなか」という知る人ぞ知るもなかがあります。これはご当地にある境木地蔵からきているそう、何故、最中になったか調べて下さい。(Mhamaさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

お店の近くにある境木地蔵をモチーフにした和菓子を作ろうと考えた時、もなかの皮ならお地蔵様の絵を入れるのにちょうどよい、と考えたから。

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ライター:藤井 涼子

今回のキニナルは「境木(さかいぎ)地蔵がなぜもなかになったのか調べる」というもの。
まずは境木地蔵とはどんなお地蔵様なのか、その歴史から調べた。



戸塚区と保土ケ谷区の境にある「境木地蔵」の伝説



戸塚の歴史を記した『戸塚の歴史散歩』に、境木地蔵にまつわる伝説が書いてあった。

 

『戸塚の歴史散歩』発行者:戸塚区郷土史跡研究会 水島勝江
 

内容を簡単にまとめると以下の通り。
鎌倉腰越の海辺に打ち上げられたお地蔵様。
それを見つけた漁師たちが大切に祀ることになったが、ある夜、お地蔵様が一人の漁師の夢枕に立ち「江戸へ行きたいから牛車にのせて連れて行ってほしい。もし、その牛車が動かなくなったらそこへ置いて行って結構です。そうすれば、海が荒れないように守り、大漁を叶えます」と伝えた。
さっそく江戸へお地蔵様を運ぼうと、牛車を引き移動しはじめた漁師たち。
しかし、境木あたりで牛車が動かなくなった。そこでお告げ通りにお地蔵様を置いて漁師たちは帰っていく。
ふいにお地蔵様を置いて行かれた境木の農民たちは困惑したものの、すぐに堂を建て、雨露をしのぐようにした。
そうすると、旅人がここで休息するようになり、付近の商家が繁盛、茶屋も軒を並べるようになり、みるみるうちににぎやかになった。

 

『境木地蔵』本:とつか余情より
 

境木地蔵は保土ケ谷区に1659(万治2)年の建立と言われている。今から355年前になる。
「現在は2体の地蔵と石碑が建てられていて、今もなお地域の人々の信仰の対象となっています」と『とつか余情(発行者:木遊会&木版れい)』に記されていた。

 

2体のお地蔵様と石碑
 



境木地蔵を見に行く!



東戸塚駅からバス「境木中学校」行きのバスに乗ると、約7分で「境木地蔵尊」のバス停に到着。
バスを降りると、目の前に木の柱が立っていた。

 

「武相国境之木」と掘ってある
 

反対側には「境木の由来」
 

「ここは武蔵国と相模国の国境で、江戸時代にはそのしるしとして傍示杭(ぼうじぐい)、あるいは境杭(さかいぐい)と呼ばれる木柱が建てられたことから、地名が境木になったと伝えられている」と書いてあった。

この木の柱のすぐ後ろに、境木地蔵尊があるようだ。

 

猛暑のせいか、人は誰も歩いていない
 

階段を上がると、手洗い場がある。

 

吊るしてある手ぬぐいに「おじぞうさんもなか」の文字が!
 

お地蔵様の絵と「境木おじぞうさんもなか」の文字がうっすら見える
 

手洗い場の向かいにお地蔵様を発見。

 

お地蔵様と石碑
 

赤い帽子をかぶり、肩掛けをかけられているお地蔵様。お供えもしてあり、地域の人に大切にされていることがうかがえた。

 

お水やお花がきれいに取り換えられている
 

境内の様子
 



「おじぞうさんもなか」を販売している和菓子店の栗山へ



続いて、キニナル投稿にある「おじぞうさんもなか」を販売しているという和菓子店の栗山へ向かった。
和菓子店の栗山は、境木地蔵尊のバス停から徒歩約5分のところにある。

 

商店街を進む
 

境木中学校を通り過ぎ境木商店街を進むと、和菓子店の栗山が見えてきた。

 

看板には「境木おじぞうさんもなか」と書いてある
 

お話を伺ったのは、創作和菓子を製造販売する「菓匠 栗山」の栗山順夫(まさお)さん。

 

店頭には「おじぞうさんもなか」の大きな看板が!
 

「栗山」は今から36年前の1978(昭和53)年、この保土ケ谷区境木の地で順夫さんが開業した。
順夫さんは、15歳の時に和菓子の道に入り、日本橋にある京菓子のお店で修行を始める。その後もさまざまな和菓子店で修行を続け、40歳でついに独立する。

もともと店舗は借家でスタートする予定だったそう。しかし、たまたま良い物件に出会い思い切って土地を購入し「栗山」を開店。

親戚からは「こんな場所で商売するなんて、成功するはずがない」と言われたそうだか、結局オープンしてから10年後にはお店をきれいに建て替えられるほど、多くのお客さんに恵まれた。それを「おじぞうさんのご利益かな」と謙遜して笑う順夫さん。

 

取材中も、次々とお客さんがやってくる
 

「ここに並んでいるお菓子の賞味期限は“今日中”ね」とショーケースの右半分を指さす順夫さん。1日しか日持ちしない和菓子が数多く並ぶのは、毎日たくさんのお客さんが来店する、という証だ。

 

美味しそうな水ようかん
 

こちらも「本日中にお召し上がりください」の「ごんた餅」
 

手に持つと、ぽってりとお餅の柔らかさが手に伝わる。毎日つきたてのお餅に粒あんをつつんだ大福。これも今日食べなければ明日にはお餅が固くなってしまう。

 

お餅が柔らかい!
 

「お菓子なんて、昔はみんな今日中だったんだ。いろいろ添加物を使って長い日持ちにする方がおかしいんです」と順夫さん。「栗山」の商品は添加物は一切使っていない。もちろん日持ちする和菓子もあるが、それは添加物ではなく糖度の高さにより傷みにくくなっている。

 

夏を表現した上生菓子の数々。とてもきれい!
 

「ごんた餅」の名前の由来は、箱根駅伝でもお馴染みの保土ケ谷区にある「権太坂(ごんたざか)」に由来している。