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電気自動車のカーシェアリング実験“チョイモビ”に1台だけ“青”がある! レアな「ラッキーモビちゃん」を探せ!

ココがキニナル!

チョイモビのサービスは現在1台だけ青いチョイモビが稼働し、レアなため見つけたり乗れたりしたらラッキーということで「ラッキーモビちゃん」と呼ばれているよう。狙って利用する術は?(ノダヒロさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

「ラッキーモビちゃん」の予約は、車体のナンバーから可能。ただし、実験の目的であるカーシェアリングという文化を、いま一度考えてみよう

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ライター:河野 哲弥

1周年を迎えたチョイモビ ヨコハマ



チョイモビとは、2013(平成25)年の10月から横浜市と日産が中心となって開始した、超小型電気自動車によるカーシェアリング実験のこと。

同社発表によれば、当初1年間の予定であった実証実験期間を改めて「第1期」と位置づけ、この11月から来年9月末まで「第2期」とする約11ヶ月のサービス延長が決定されたようである。
 


横浜市内のあちこちで見かけるようになったチョイモビ


さて、投稿の件について「チョイモビ ヨコハマ運営事務局」に問い合わせてみたところ、「日産の担当者をご紹介しますよ」とのうれしい回答。
1周年を迎えた今、これまでの振り返りや今後の展開なども伺ってみたいところ。秋特有の穏やかな日差しが照らすなか、日産本社を訪れてみた。



チョイモビの誕生秘話に迫る



「車以外のものを『創る』という意味では、日産として初めての試みだったんですよ」

そう話すのは、同社経営戦略本部プロジェクト企画部の押野直美(おしの・なおみ)さん。
チョイモビには、カーシェアリングをはじめとして、公道を走らせることに対する行政の理解、「みんなで一緒に利用する」というシェアシステムを受け入れてくれる地域活動など、今までにない要素が含まれる。まさに、「ゼロから創る」必要があったのだろう。
 


「ラッキーモビちゃん」と並ぶ押野さん
 

この画像を見ている段階で、すでにラッキー!?


それにしても、チョイモビそのもののきっかけは、どこにあったのか。
押野さんによれば、日本ではこの超小型モビリティに対する法的なカテゴリーが整っていないものの、パリやローマ、ベルリンなどのヨーロッパの大都市ではすでに販売され、公道を走っているという。

その背景にあるのは、「ヨーロッパ都市部の駐車場問題」と「地球に優しい乗り物への理解」。超小型モビリティなら、通常の駐車スペースに複数台を止める「スペースの有効活用」もできるし、地球温暖化の解消にも役立つ。そして、そうした息吹が、市民レベルで根付いていることに驚かされる。
一方の日本国内では、導入のための法整備が、これから本格化する予定。
 


日産の新たなチャレンジが始まった


そこで同社は2010(平成22)年、ルノーの既存製品をベースにした日産ニューモビリティコンセプトを、元町と横浜赤レンガ倉庫の2ヶ所で試験的に走らせた。そのねらいは、国とともに法整備を進めていく上での実績づくりと、国内の各自治体へ向けた導入のアピールにあった。

こうした動きに対し国交省は、2013(平成25)年より、「超小型モビリティの公道走行を可能とする認定制度」を創設。地方自治体や観光業などの事業者が主体となり、今まで国内18ヶ所で、日産ニューモビリティコンセプトが走り出したのだ。
 


一例として、神戸市の「六甲山ウリボーライド」(画像提供・六甲産業株式会社)


また、横浜市は2013(平成25)年、二酸化炭素の排出を抑える「低炭素交通プロモーション」を推進すべく、参加企業を募集。日産は、「電気自動車のカーシェアリング」を掲げて、この事業の共同主催者となった。これが、昨年から行われてきた実証実験というわけ。

したがってチョイモビは現在、この目的のためだけに利用することが可能。つまり、横浜市内に限定されるということだ。

こう書くと、いかにも淡々と事が進んでいるように思えるが、その裏には「国の仕組みを変えていく」並々ならぬ苦労があったに違いない。

「人の命に関わることですから、法整備にはどうしても時間がかかります」と、押野さんは今までの経緯を振り返る。では、具体的にどのような点が難しかったのか、引き続き話を伺うことにしよう。



車に乗ったら、同じ場所に戻るのが当たり前!?



チョイモビの運用台数は、第2期となる2014(平成26)年11月からは約50台。これに対し市内約60ヶ所(約110台分)の乗降スペース(ステーション)が利用できる。乗った場所と違ったスペースに返却できる「ワンウェイ方式」が、大きな特徴となっている。
 


四角で囲まれた部分が乗降スペース


しかし、この「ワンウェイ方式」そのものが、法整備の難しさを象徴するネックになったという。
「自動車の所有には車庫証明書が必要なように、『1台に1つの駐車場所』というのが既存の考え方でした。レンタカーのなかには『乗り捨て自由』というサービスもありますが、あれはレンタカー会社の方が戻しているから成り立っているのです」と、押野さん。

しかし、国側にも「何とかしたい」という想いがあったのだろう。同社の働きかけに応じるかのように、ついにこの夏、レンタカー業務の規制緩和が行われた。これにより、実験という枠組みによらず、「ワンウェイ方式」を提供することが可能になったのである。
 


当たり前と感じるサービスの裏には、知られざる苦労がある


「ほかにも、ドアに鍵がないとか窓やバックミラーがないとか、今までにはなかった壁を1つ1つ乗り越えていく必要がありました」とのこと。規制の中に収まる「製品」を造り続けてきた同社にとって、まさに逆を行くチャレンジが、このチョイモビだったわけだ。

では、利用者の反応はどうだったのか。
厳しい意見としては、「何で窓がないんだ、こんなの車とはいえない」など。逆にうれしかったのは、「チョイモビのために免許を取った」という声。これには、自動車メーカーの社員として感無量を覚えたという。ほか、「横浜は坂道が多いのでスポット巡りが大変。チョイモビがあれば、いつもよりプラス1ヶ所が可能」など、好意的な反応が大半を占めた。
 


日産には、次々と「現場からの声」が届いてきた


また、約60ヶ所もの乗降スペース(ステーション)の導入には、協力企業、団体の存在も欠かせない。
押野さんは、「1年間で会員数1万人」という目標がクリアできた理由について、以下の3点が大きいという。

・横浜市をはじめとした行政が積極的だったこと
・市内の各企業が関心と理解を示したこと
・屋外の駐車にもかかわらず、市民によるイタズラもなく、好意的に受け止めてくれたこと

まさに、産官民が三位一体になった成果といえるだろう。
 


市民も一役参加、横浜が誇らしく感じられる話だ


「まだヨチヨチ歩きのサービスですが、ここまでのご理解と成果をムダにはできないという思いから、1年延長することにしました。地元横浜の方なら『絶対この良さがわかってもらえる』と信じています」と、押野さんは続ける。