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一般人が立ち入り禁止エリアにある瑞穂ふ頭の風車「ハマウィング」について教えて!

ココがキニナル!

横浜港の海上にそびえ立つ風力発電用の風車が気になります。(浅田真央子さんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

瑞穂ふ頭にある風車は通称「ハマウィング」。再生可能エネルギーのシンボル的な役割を担い、2007(平成19)年から稼働している。

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ライター:松崎 辰彦

横浜の再生可能エネルギーのシンボル・ハマウィング

かつてはまれぽでも「JR桜木町駅前に1つだけある風車って、一体なんなの?」の記事で、横浜の風力発電を取り上げた。横浜にある小さな風車や太陽光パネルに注目したが、今回は海に面するふ頭にそびえる巨大な風力発電に目を向けてみたい。
 


桜木町駅前にある太陽光パネルと風車


巨大な風車──通称「ハマウィング」があるのは横浜市神奈川区の瑞穂ふ頭。はまれぽ記事「瑞穂埠頭は絶対に撮影禁止なの?」にもあるように、アメリカ軍が近いこともあって、写真などは少々難しい場所である。
そうした中、ハマウィングは白い巨人のようにそびえ立っている。
 


臨港パークより望むハマウィング(ライブカメラより)


遠方からは白一色に見えるが、近づくと下半分には水色の水玉模様がペイントされていることが分かる。そして3枚のブレード(ローターの羽)は風に吹かれて、まるで命あるもののように、大空を背景に悠然と回転している。
 


下半分は水玉のペイントがなされている


地上からローターの中心である「ハブ」までの高さは78メートル。ローターの直径は80メートルで、ブレードが真上にきたとき、地上からの最高到達地点は118メートルになる。
そばには電力系統の装置があり、電気の制御をしている。
 


ハマウィングの大きさと仕組み (画像提供:横浜市環境創造局)


近くには啓発表示盤があり、現在の風力や発電量が分かる仕組みになっている。
 


啓発表示盤


取材当日はあいにくの雨だったが、風車は灰色の空を背に、はるか横浜の海と陸に視線を送っていた。

タワーとローターという全体の形がシンプルで、分かりやすい。下から見ると、ローターが折り鶴のようにも見えなくもない。
 


下から見ると折り鶴に見え・・・る?


横浜の再生可能エネルギーのシンボルであるハマウィング。その誕生と成長を見ていこう。



市職員の事業提案で誕生したハマウィング

「ハマウィングは2003(平成15)年に、横浜市職員からの事業提案を募集する『アントレプレナーシップ事業』によって構想されたのが始まりです。その後に準備が進められ、2006(平成18)年に建設され、運転が始まりました」

このようにハマウィングに関して説明してくださったのは横浜市環境創造局環境保全部環境エネルギー課担当係長の木村剛さん。環境保全部環境エネルギー課長の土田知彦さんとともに、取材に応じていただいた。
 


今回お伺いした環境エネルギー課 


土田さん(左)と木村さん


ハマウィングの正式名称は「横浜市風力発電所」。風の力でローターを回転させ、発電機を回して電気を作っている。定格出力は1980kW。年間平均220万kW時を発電している。これは一般家庭500世帯をまかなえる電力である。火力発電に置き換えると石油560キロリットル分で、一般的なドラム缶2800本に当たるとのこと。これだけの石油を燃やさないことは、地球温暖化の原因となる二酸化炭素を830トン削減したことにつながるという。
 


ハマウィングの環境効果(画像提供:横浜市環境創造局)


しかし、ここで作られた電気は一般家庭で消費されているわけではなく、ある特定企業に売られている。電気を売ることを「売電」(ばいでん)という。

「電気を買いたいという企業の皆さんに入札していただき、一番高く買っていただいたところに電気をお売りしています」
相手企業は1年ごとに変わるという。今年は「日本ロジテック協同組合」と売買契約を結んでいる。



再生可能エネルギーのシンボルとして建設されたハマウィング



2003(平成15)年のアントレプレナーシップによって構想され、その3年後に建設されたハマウィング。その役割は、実際的な発電というよりも、むしろ象徴的な役割を期待されてのことである。

「通常、発電用風車は山の上など、よく風の吹く場所を選んで設置されるものです。しかしハマウィングは平地の、人目につくところに立っています。もともとハマウィングは実際の発電施設としての役割より、再生可能エネルギーを推進する上でのシンボルとして建設されたもので、何よりもまず外見的に目立つことが重要なんです」
 


再生可能エネルギーのシンボルとして建設されたハマウィング
(画像提供:横浜市環境創造局)


木村さんは説明する。
「地球温暖化が懸念される現在、二酸化炭素(CO2)を排出しないで発電する再生可能エネルギーの横浜における象徴的な存在として、市内外の皆さんの目に見える場所に設置して、関心を持っていただければ」と、期待を述べる。

「ハマウィングは財政的には独立採算制をとっており、事業の枠内で考えれば黒字で、税金を投入することなく運営されています」

建設費は約5億円。半分を独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの補助金、残りの半分を市債(住民参加型市場公募債「ハマ債風車〈かざぐるま〉」)で充当した。市債の償還財源は、売電収入と、「Y(ヨコハマ)-グリーンパートナー」からの協賛金収入を当てている。
 


ハマウィングの財政的仕組み(画像提供:横浜市環境創造局)


「Y-グリーンパートナー」とは再生可能エネルギー事業に賛同し、経済的援助を行う企業のこと。現在は、キリンビールや日産自動車といった大手企業が名前を連ねている。

「Y-グリーンパートナー」になると、啓発表示盤やインターネットサイトなどで公表されるほか、環境に貢献したことを証明する「グリーン電力証書」が発行される。これは日本自然エネルギー株式会社が発行しているもので、これにより環境問題に積極的な企業であることを証明することができるというものである。
 


啓発表示盤にある「Y-グリーンパートナー」