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石川町の裏通りに美味しい和食の名店があるって本当?

ココがキニナル!

石川町の裏通りに、道場六三郎のサインが入った暖簾を出している「かわかみ」という店はどんな店でどんな料理が出るのかが気になります。/石川町にあるSHIMOMURAがキニナル(bjさん/619さん)

はまれぽ調査結果!

石川町にあるおいしい和食の店、2軒。どちらも高級そうで入りづらく感じるが、実際に行ってみると思っていたよりリーズナブル。

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ライター:吉澤 由美子

2013(平成25)年12月4日に「和食:日本人の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録された。ところが横浜の食といえば、まずは中華街の中国料理、次いで洋食のイメージが強く、和食の印象はイマイチ薄い。

そんな中、JR石川町駅近くに「すごい」と最近話題の和食屋さんが2軒あるらしい。それは、キニナルでいただいた「石川町かわかみ(以下かわかみ)」ともう1店舗、編集部の食いしん坊たちが「全然予約が取れない」と嘆いていた「隠れ家 心和食(しんわしょく) SHIMOMURA(シモムラ)(以下SHIMOMURA)」。

どちらも無理をお願いして定休日にお話をうかがうことができたので、さっそく「かわかみ」からご紹介。



「常に料理のことばかり考えている」師匠の影響



JR石川町駅を降りて、元町方面に向かう通りと並行したリセンヌ小路を少し歩くと、右に白い暖簾がかかった店がある。

 

さりげない佇まい。暖簾には「石川町かわかみ」と屋号がある
 

暖簾に小さく「道場六三郎」という名前が添えられている
 

「かわかみ」は『料理の鉄人』で全国にその卓抜したアイデアや腕を知られるようになった道場六三郎(みちば・ろくさぶろう)のもとで修行を積んだ料理人が出した店。

店内には、カウンター席とテーブル席があり、入口の横に6人ほどが入れる個室がある。

 

 

テーブルは10席。赤い壁が印象的な個室は6~7人で利用できる
 

「かわかみ」ご主人の名前は、河上良友(かわかみ・ながとも)さん。高校を卒業してすぐ料理の世界に入った。

「高校は進学校だったのですが、サラリーマンになるより手に職をつけたい、料理人になりたいと思っていました。それを父に相談したら、父が当時、社用で使っていた店に息子を預かってくれないかと頼んでくれた。それが道場の店でした」と河上さん。

 

「ホワイトカラーより腕1本で世の中を渡っていく職人に憧れました」と河上さん
 

『料理の鉄人』の放映がはじまったのは1993(平成5)年だが、河上さんがお店に入ったのはそれより20年も前。とはいえ食通の間で道場六三郎の名前はすでに知られている存在だった。
「店に入ってからは道場独特の料理感覚や発想に、とにかく驚きの連続でした。和食の概念を大きく凌駕しながら、できあがるものはあくまでも和食。それまで持っていた和食のイメージが大きく変わりました」

修行時代について伺うと「料理は厳しい世界だと父からくどいほど聞いていたので、働き始めてからもそれほど大変だとは思いませんでした。人手が足りない時代だったこともあり、早くからいろいろ任せてもらえたので、やりがいの方が大きかったんです」と懐かしそうな顔になる。

 

入口の色紙に「僕の料理は 遊びと反逆 道場六三郎」とあり「かわかみ」の開店日が入っている
 

若いうちから任せてもらえるなんてすごいですねと言うと「根性だけはあったので、それを認めてもらったんだと思います」と謙虚に笑顔を見せる。

他店へ料理長として派遣された時期もあったが道場六三郎の店「銀座ろくさん亭」で18年修行し、その後も道場六三郎の命を受け商品開発などにも携わってきた。

「バブルの時期や『料理の鉄人』がスタートしてからは、それはそれは忙しい毎日でした。そんな時も、道場は常に料理のことばかり考えていました」

 

「料理のことばかり考えてしまうということが、道場から一番影響を受けているかもしれません」と河上さん
 

河上さんの料理人歴は42年。いつかは自分の店を出したいと思っていた。生まれは渋谷だが、育ったのは横浜。知り合いも横浜に多かったことから、念願の店を出すにあたって横浜で店舗を探し、縁あってこの場所をみつけた。「かわかみ」の開店は2011(平成23)年8月26日。暖簾の屋号は道場六三郎が書いてくれた。

 

書道は和食の料理人にとってたしなみのひとつ。カウンターのお品書きは毎日自分で書いている
 

そして道場六三郎といえば、かつおぶしをたっぷり使った「命の出汁」。河上さんはその基本を引き継ぎつつ、「自分の料理には少し昆布を利かせた出汁が合う」とオリジナルの出汁を使っているそう。

たっぷりお話を伺ったところで、次はお待ちかねの料理紹介!



繊細な心配りと技が光る「かわかみ」の料理

メニューには旬の1品料理が並ぶ。一番高いもので2600円、中心は千円台で、一番安いものは500円。意外とリーズナブルな価格帯だ。

作っていただいたのは、キンメ鯛煮つけ(2600円)、カサゴ唐揚げ(1600円)、牛すじ煮込み(1200円)、八種野菜のサラダ(800円・ハーフポーションあり)。

 

皿に盛った時、美しい姿になるよう尾の角度まで計算して鍋に入れる
 

艶のあるキンメ。尾の角度や綻(ほころ)びのない皮の美しさに目を奪われる
 

新鮮で大ぶりのキンメ半身を、しっかりしていながら上品な煮汁でさっと煮付けてある。2枚におろされた半身は2つに切られているが、骨のある方とない方を組み合わせて出しているそう。

キンメのフレッシュなおいしさが活かされた一皿だ。

 

立体的に盛られた姿が食欲をそそる、カサゴ唐揚げ
 

プルプルした牛すじと澄んだスープに大根が入った牛すじ煮込みは、塩味
 

糸のような野菜の千切りは、八種野菜のサラダ
 

このサラダは、河上さんの包丁技を思い切り楽しめる1品だ。よく研がれた包丁を使い、押しつぶさない、なめらかな包丁技の技術を駆使して切られているので余計な水気が出てしまわず、シャキシャキとみずみずしい。そんな中、太さの違う水菜や紫蘇(しそ)が楽しいアクセントになっている。

 

カウンターから調理を見ることができるのも魅力のひとつ
 

料理はメインの食材だけでなく、それに合わせて調味料もさまざまな産地のものを使い分ける。たとえば、八種野菜のサラダにかけるドレッシングには甘みのある九州の醤油。尖っていないまろやかな塩気が野菜自体の香りや味を引き立てていた。

「ふらっと寄って、気楽に1品楽しんでいただけたらと思っていますが、混み合っていることも多いので予約も承っています」と河上さん。これからの季節でおすすめをうかがうと「鹿児島から徐々に産地が北上していくタケノコですね。あとは春といえばやはり鯛でしょうか」との答え。

一流の料理人がいい素材を使い、丹念に仕上げた「これぞ和食」を食べたいと思うなら、このお店はぴったりだ。