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横浜市内の大手コンビニエンスストアで「横浜の地酒」が買えるところがあるってホント?

ココがキニナル!

保土ケ谷公園の近くのサンクスに保土谷の地酒や保土ヶ谷ワインなど地酒コーナーが。(ヤングさん)、神奈川区三枚町のセブンイレブンでしか売ってない「清酒三枚町」を調べて。(信(しん)さん)

はまれぽ調査結果!

保土ケ谷公園近くのコンビニでは「保土ヶ谷ワイン」「ほどじゃが焼酎」、三枚町では「清酒三枚町」という地域にちなんだお酒を販売

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ライター:大和田 敏子

旅行に行った時などは、その土地のお酒を飲みたくなる。そこでしか味わえない特別感がいい!もちろん、その地元の酒店などで地酒を買うこともある。
 
でも、横浜で地酒・・・?
地ビールの横浜ビールは見かけるが、ワインや清酒があるとは思っていなかった。しかも、コンビニで販売しているとは・・・。すごくキニナル。
 
早速、地酒を置いているというコンビニに向かうことにした。



ほどじゃが焼酎は新ラベルデザイン募集中! 保土ケ谷産のワインがある?



初めに向かったのは、神奈川県立保土ケ谷公園。相鉄線星川駅や和田町駅から徒歩15分、JR保土ヶ谷駅からならバスで10分ほどのところにある。
 



保土ケ谷・神奈川新聞スタジアム。この先にサッカー場やラグビー場などもある
 

取材時は梅が満開。梅園の向こうにテニスコート、プールも見える
 

ここが投稿にあった「サンクス初音ヶ丘店」。公園のすぐ近くだ
 

店の横に「ほどじゃが焼酎」の黄色いのぼりを見つけた!


店に入り、早速、オーナーさんに話を伺うことに。
 


オーナーの光野司朗(みつの・しろう)さん


実は、サンクス初音ヶ丘店はもともと、創業60年になる「花見堂酒店」。コンビニとして営業を始めたのは15年ほど前からだそう。
 


もともと酒屋さんだけに、酒類の品ぞろえは豊富
 

「保土ヶ谷地酒コーナー」があった!


「ほどじゃが焼酎」は、保土ケ谷産のジャガイモの(甘みがあり香りのよいキタアカリという種類のもの)を原料に用いた焼酎だ。過去にはまれぽで記事にしているので、詳しくはそちらをご覧いただければと思う。
 


昨年は2600本、今年は3100本生産予定だそう


今は720mlの瓶のみだが、より購入しやすいよう300mlの小瓶も生産予定だという。また、現在、発売10周年を記念して「ほどじゃが焼酎」に替わる新たな名称とラベルデザインを募集中(新ラベルの中に「ほどじゃが焼酎」の名前は残す)。応募締切は5月31日(火)消印有効。

「ヨコハマをイメージでき、若者や女性にも受け入れられるものを求めている。賞品も用意しているので、ぜひ応募してほしい!」と光野さん。

つづいて、キニナったのは「ほどじゃが焼酎」の隣に並ぶ3本の焼酎。
 


ほかでは見たことのないラベルの焼酎が並ぶ


これらは花見堂酒店限定で販売している焼酎。5年ほど前「ほどじゃが焼酎」の売れ行きが良くなる中、花見堂酒店でも保土ケ谷の魅力をアピールできるようなお酒をと考えて発売したそう。

「新町橋(芋焼酎)」は保土ケ谷宿にあった新町橋をイメージしたラベル。「さくら小町(麦焼酎)」は保土ケ谷公園の桜。そして「御台所の井戸(米焼酎)」は保土ケ谷駅税務署近くにある北条政子ゆかりの井戸をイメージしたラベルを使用した。

現在は、3種類合わせて年間200本くらいの販売。「常連のお客さまの購入が多く、まだPR途中というところです」と光野さん。

最後に、キニナルにあった保土ヶ谷ワインについて伺う。
 


名前に“保土ヶ谷”とつくワインがあった!


明治から昭和にかけて、保土ケ谷にはブドウ畑があり、ワインの産地だったのだそう。その歴史にちなんで地元保土ケ谷の問屋と酒屋が共同開発したのが、横浜保土ヶ谷ワイン、横浜保土ヶ谷熟(宿)ワイン、横浜保土ヶ谷樽熟(宿)ワインだという。2012年から販売されており、生産数は3種類、それぞれ赤・白、合わせて300~500本程度。地方へのギフト用として購入される方やリピーターも多く花見堂酒店だけで200本程度を販売しているという。
 


保土ケ谷がワインの産地だったなんて、知らなかった!


現在は、保土ケ谷でブドウの生産はしておらず、製造元も山梨県の盛田甲州ワイナリーなので地酒とは言い難いかも知れないが、保土ケ谷のワインの歴史は、かなりキニナル。



戦時中、保土ケ谷に皇室御用達のワインを製造したメーカーがあった!



1902(明治35)年、アメリカでブドウ栽培とブドウ酒の製造法を学んだ中垣秀雄(小田原藩士の子)が、保土ケ谷に皇国葡萄酒の醸造所(現・峯小学校付近)と帷子葡萄園(現・横浜国大と常盤園の間)を開設した。ほかに西谷の中田葡萄園や現在の桜丘高校近くに保土ヶ谷葡萄園があったという。

ブドウの品種の選択や栽培法について試行錯誤しながら、大正の始めごろには、帷子葡萄園のブドウの生産は軌道にのり、ブドウの品種は、赤ワインがアジロンダック、白ワインがデラウエアになったようだ。
1917(大正6)年、帷子葡萄園は『横浜貿易新報』に「例年通り開園したのでご来園ください」といった内容でデザイン入りの広告を出している。


1923(大正12年)の関東大震災では、皇国葡萄酒の醸造兼貯蔵庫が全壊し、大きな打撃を受け再建は困難を極めたが、短期間で回復した。
 


広告に掲載された皇国葡萄酒醸造所の写真(横浜開港資料館所蔵)


帷子葡萄園は行楽の人でにぎわい、横浜駅から葡萄園まで特別バスが出たり、隣接する「程ヶ谷カントリー」に来た外国人や新聞記者などが訪れたりするなど、文化人のサロンになっていたようだ。
 


昭和初期、帷子葡萄園からカントリークラブをのぞむ(横浜開港資料館所蔵)


帷子葡萄園では、本格的なワインを醸造していたが、当時、国産ワインは「赤玉ポートワイン」など甘いジュースのように加工したものが一般的だったため、日本人の味覚にはワインの渋みや苦みが合わず、販売に苦労した。
「マズクともキキメは一番」と効力が第一だとアピールする広告を『横浜貿易新報』に出したり、チラシを制作したりして、自社の本格的なワインの良さを消費者に訴えていたようだ。
 


大正末から昭和初期の帷子葡萄園の広告(横浜開港資料館所蔵)


1928(昭和3)年の国産振興東京博覧会で、皇国赤葡萄酒、皇国ポートワイン、皇国規那鉄葡萄酒が受賞した。国内だけでなく海外にまで販売を広げたため、帷子葡萄園だけでは需要を賄いきれず、近県からもブドウを仕入れたが、遂に、1934(昭和9)年にはブドウ園を現在の相模原市南台に移転。 戦争中には輸入が途絶えたため、皇国葡萄酒は皇室御用達のワインを生産した。1942(昭和17)年には1300石(234500リットル)の生産があったという。
 


広告に掲載された皇国葡萄酒の瓶のイラスト(横浜開港資料館所蔵)


相模原のブドウ園は戦争中に接収され、現在は、近くの交差点にぶどう園前というバス停が残っているのみだ。
皇国葡萄酒株式会社の醸造所は戦災に遭ったが戦後復活。当時の主流であった甘味果実酒にも力を入れるようになったが、競争の激化により経営状態は落ち込んでいき、昭和20年代後半から昭和30年代前半には廃業したようだ。

現在、保土ケ谷では、ブドウ栽培、ワインの製造は行われていない。



横浜三枚町でしか販売していない日本酒!? その真相は?



もうひとつ、投稿のあった「清酒三枚町」を求めて、セブンイレブン横浜三枚町店に向かう。「三枚町」バス停からすぐ、地下鉄片倉町駅からだと徒歩で20分ほど。
 


神奈川区三枚町交差点近く、大通り沿いにあるセブンイレブンだ
 

セブンイレブン横浜三枚町店。広い駐車場のある大きな店
 

お酒コーナーは充実の品ぞろえ。でも、清酒三枚町は見当たらない
 

冷蔵庫のお酒コーナーをみると・・・
 

ありました! 「山田錦」「八海山」と並んで右端に「三枚町」の文字が
 


オーナーの山本幾雄(やまもと・いくお)さんに話を伺う


セブンイレブン横浜三枚町店がオープンしたのは、20年ほど前。街道沿いにあるので、お客さまは、土木関係者やトラックの運転手さんなどが多いという。

「清酒 横浜三枚町」は、酒の売れ行きが思わしくなかった7~8年前、問屋さんから勧められて販売するようになったのだそう。イベントの時や田舎へのお土産にと予約注文される常連のお客さまが多く、年間100本ほど販売しているという。
 


涼しげなブルーの瓶に「三枚町」の文字が目立つ


詳しいことは、問屋さんである「株式会社神酒連に聞いてほしい」と紹介いただいたので、電話取材させていただいた。

横浜市旭区にある株式会社 神酒連によると、品質の良い日本酒を蔵元の名前を前面に出すのではなく、地域の名前をつけたプライベート商品として販売しようという考えから、10年ほど前から「横浜三枚町」のような日本酒を取り扱っているという。

地域名をつけることで愛着を持ってもらえ、売れ筋になっているようだ。今までに、神奈川県内で100種類近くを作っているが、現在も継続販売しているのは「妙蓮寺」「白幡向町」「新横浜」など20種類ほどではないかとのこと。

これらのお酒は、茨城県にある老舗の蔵元「吉久保酒造」で造られていると教えていただき、吉久保酒造にもお話を伺うことに。
 


ラベルには「吉久保酒造株式会社」と明記されていた


吉久保酒造は1790(寛政2)年から続く、茨城県水戸市にある老舗の蔵元。自社井戸から汲む仕込み水は、徳川時代から水戸偕楽園の茶の湯の水として用いられているほど良質な軟水だという。また、吉久保酒造の杜氏で、昨年末引退した佐々木勝雄氏は、南部杜氏の名人として知られる。
 


吉久保酒造の石蔵


「清酒 横浜三枚町」は、吉久保酒造のレギュラー商品である「クール一品」と同格のもの。精米歩合60パーセントの特別本醸造酒で、ほどよい吟醸の香りとすっきりした味わいが特徴だという。
 


吉久保酒造の蔵の中


一部、地域の酒店限定として出しているものもあるが「清酒 横浜三枚町」のようにコンビニで販売するものが多いので、相乗効果を狙い、コンビニで販売するおつまみや弁当に合う、特徴があり過ぎず飲み飽きないスタンダードなものをと考えたそうだ。