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野毛山動物園がお金がないからホッキョクグマがいない「しろくまの家」を放置しているって本当?

ココがキニナル!

野毛山動物園のシロクマはさびしい感じがします。いずれまたシロクマを飼育するために残してあるの?それともお金がからそのままにしてあるの?(bausackさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

野毛山動物園でホッキョクグマ飼育を再開する予定はないが、放置はされていない。「しろくまの家」は改修され、教育的要素のある展示施設として活用中

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ライター:田中 大輔

ここ数年で、ライオンやトラの暮らす猛獣舎やカメたちの住む爬虫類館を改修し、つい先日は看板やパンフレットのリニューアル、屋内休憩所の新設など、積極的に園の整備・改修を行っている野毛山動物園。
 


ひだまり広場に建てられた屋内休憩所。軽食やビールの販売も
 

1951(昭和26)年の開園から64年を過ぎた老舗動物園だが、まだまだ健在。訪れた人に楽しんでもらうため、また動物にとっての環境を良くするため、さまざまな努力がなされている。

しかし、そんな中でなんとなくポツンと取り残されてしまったように見えるのが、今回の話題である「しろくまの家」だ。



野毛山とシロクマ



お察しの通り「しろくまの家」では、かつてシロクマ、つまりホッキョクグマが飼育されていた。しかし、現在は主を失い、住んでいるのは4頭のホッキョクグマのオブジェのみ。

お客さんは内部を自由に見学できるようになっていて、オブジェはちびっ子に人気の撮影スポットにもなっているが、その一方で「なんだ、いないのか」とガッカリするお客さんの姿も少なくない。
 


入口にある掲示。これを見て残念がる人も
 

現在の住人。お母さんと子どもが寄りそうように
 

野毛山動物園でホッキョクグマの飼育が始まったのは1960(昭和35)年。ただ、当時は現在の「しろくまの家」はなく、あれが建てられたのは1982(昭和57)年のことだ。

1999(平成11)年に最後の個体となった「ユキコ」が死亡するまで、17年に渡って3頭のホッキョクグマがあの施設で生活を送った(通算では6頭が飼育された)。生育せずに死亡してしまったものの「しろくまの家」での出産も1度あった。
 


17年間でいろいろな歴史を目撃してきた施設だ
 

ユキコの死後、獣舎と展示場だけが残った形になっているが、キニナルにあるように仕方なしに放置されているのか、あるいはいつかやって来る次の主人を迎えるために残されているのだろうか。



放置しているわけではない!



「しろくまの家」にまつわる話を聞くため、環境創造局公園緑地部の動物園課を訪れ、須永絵美(すなが・えみ)係長と中村浩隆(なかむら・ひろたか)さんに取材した。

おふたりによると、野毛山動物園最後のホッキョクグマ、ユキコが亡くなった1999年は「よこはま動物園ズーラシア」がオープンした年で、横浜市内の動物園事情が大きく動いた時期でもあったそうだ。

ズーラシアのオープンに伴い、野毛山動物園でも再整備が行われる運びとなり「(野毛山動物園から)大型肉食動物をズーラシアに移し、種数点数は減らして、1頭あたりの飼育面積を広げるという方向性が打ち出されていたんです」と須永さんは言う。
 


繁殖センターの所長としてもはまれぽに登場した須永さん
 

ユキコは麻酔事故で死んでしまったのだが、それはズーラシアへの引っ越しの際に起きた悲劇だった。ただ、この事故に関わらず、ユキコが園を去るのを最後に野毛山動物園でのホッキョクグマ飼育は終了することが決定していた。

すなわち、あの獣舎は空き家になることが決まっていたというわけだ。だから、新たにホッキョクグマが来ないことは決定済みだった。そして、ほかの動物を入れてしまっては種数点数減という話と逆行することになる。
 


野毛山で暮らしたホッキョクグマ。当時は園の人気者だったそうだ
(画像提供:野毛山動物園)
 

そんな中で、考えられた施設活用方法が「獣舎の中を見学できて、オブジェを置くことでホッキョクグマの大きさを体感できる施設を作る」というアイデアだったのだ。

つまり「しろくまの家」は、お金がないから放置されているわけではなく、目的をもって改修された施設なのである。