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シカが柵を飛び越えて乱入!? 海と住宅に挟まれた西湘バイパスに「動物注意」の標識があるのはなぜ?

ココがキニナル!

西湘バイパスにシカが飛び跳ねているシルエットの「動物注意」の標識がある。海と住宅に挟まれて柵もある道路に標識を立てて注意をするほど動物が侵入してくるの?(じゅんちゃんさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

侵入してくる実績はなし。ただ、西湘バイパス周辺にシカの目撃情報があり、危険と判断された場所だったため、標識が設置された。

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ライター:すがた もえ子

編集部・小島が「動物注意の道路標識について調査したいんです」という。
西湘バイパスは調査対称エリア外だが、どうやらキニナルを見て、自分もキニナって仕方なくなってしまったようだ。

「だってシカですよ、シカ。本当に出るんですかね~?」と小島。
キニナル投稿によると「海と住宅に挟まれていて、柵もある道路に標識がある」という。シカが住宅を突っ切って柵を乗り越え、道路に侵入したら確かに危険だ。シカは本当に現れるのだろうか。
 


神奈川県二級河川「酒匂川(さかわがわ)」


小田原市酒匂周辺のシカの出没状況について調べてみた。
すると、シカは酒匂川(さかわがわ)の河口に出没すると情報を発見。小田原市のHPにも、酒匂川河口付近に出没する「シカに注意」のページがあった。これはシカが出るのでは・・・?
 


酒匂川と西湘バイパスの位置関係


というわけで現地へ向かい、酒匂川の河口付近を歩いて調査してみることにした。この日は夏日、じりじりと照り付ける日差しがまぶしい。
しかも一番キニナっていた編集部・小島はスケジュールの調整ができず来ることができなかった。
 


ここが酒匂川の河口付近(海側)
 

反対側。さすがにシカはいない
 

海と接している河口付近には、見事な波が押し寄せていた
 

少し歩けば海! シカは海岸までは来ない・・・かな


海から酒匂川に架かる橋の手前まで戻ってみると、さきほどは見落としていた「動物注意」の道路標識が目に飛び込んできた。
 


シカの絵がかかれている!


ここは小田原市を走る国道1号線だが、西湘バイパスとは目と鼻の先のような場所だ。
 


動物注意の標識の反対側。右手に曲がると西湘バイパス


キニナルにあった通り、周囲は海側にはスーパーやファストフード店があり、国道1号線の反対側にはマンションや民家が近くに立ち並ぶ場所だ。

動物注意の道路標識だけでなく、その下には「シカに注意」と書かれた看板まで設置してある。
やっぱりシカが出るんだろうか・・・と思っていると、シカの動物注意の道路標識の目の前の会社の方と目が合った。
「酒匂川にシカってでますか?」と伺ってみると、シカを目撃したことがあるという方を連れてきてくれた。
 


1年前にシカを目撃したという星野さん


「シカ、1年くらい前に見ましたよ」と、眼下に見える酒匂川を指さして教えてくれた。シカの絵の描かれた動物注意の道路標識のそばに、シカはいた!
 


こんもりと丘のようになっているところに、親子のシカが3頭いたのだという


星野さんはそれ以降はシカを見ていないとのことだ。
せっかくなので、西湘バイパスのシカの絵の描かれた動物注意の道路標識を知っているか伺ってみた。
「ああ、標識ありますね。僕は(シカに)飛び出されたことはないですけど、出てきたっていう話を聞いたことはあります」
これは有力情報だ!

さらに聞き込みを進める。
酒匂川に架かる橋を歩いてくる女子高生2人を発見、声をかけてみた。
 


酒匂川のすぐそばの高校に通っているというAちゃんとIちゃん


「えっ、シカですか、見たことないです」
3年間毎日この橋を渡って学校に通っているが、今まで一度もシカを目撃したことはないという。「友達の間でもシカを見たっていう話は聞かない」とのことだった。

ウミドリはよく見かけても、シカはそう頻繁には出没するわけではないようだ。



西湘バイパスの動物注意の道路標識は?


 


西湘バイパス入り口付近。すぐ右手の道から海岸に降りることができる


今回キニナル投稿にあった西湘バイパスは無料区域と有料区域があり、動物注意の道路標識がある区間は有料区間になる。ここはネクスコ中日本の管轄になり、無料区間は別の管轄になるようだ。
お忙しい中、ネクスコ中日本に、取材のご協力をいただけることになった。
 


西湘バイパス上り線の「動物注意」(写真提供:ネクスコ中日本)
 

西湘バイパス下り線の「動物注意」(写真提供:ネクスコ中日本)


まずは、担当者さんに西湘バイパスにシカが飛び込んでくるのか伺ってみた。
「柵もありますし、西湘バイパスには入り込んでこないんですが、その近辺(酒匂川)にシカが出てくるので」という回答をいただいた。

シカが西湘バイパスに飛び込んできて走行中の車と接触したら大事故になりそうだが、周囲に出るので標識を設置したようだ。

ネクスコ西日本の担当者さんのお話では、シカが出てきて事故になったケースはなかったという。

「現地の方にお話を聞いてみましたが、あのあたりは昔狩猟場だったっていう話があるようです。それと、シカが出てくるのは塩を補給するためじゃないかっていう人もいます。本当かどうかはわかりませんが」と担当者さん。
 


左手が海、右手が西湘バイパス。その下を流れるのが酒匂川だ


塩の補給! たしかに酒匂川の河口付近は、川の水に海水が流れ込んでいそうな場所だった。

以前、神鹿(しんろく)のいる相州春日神社を取材させていただいた際も、宮司さんが「夏場には塩分補給のため岩塩の塊をシカに与える」と言っていたのを思い出した。
シカは岩塩をべろべろ舐めると言っていたし、塩分補給の説はありそうだ。そう考えると、この辺りにシカが現れる理由にも説明がつく。

後日、小田原市役所に問い合わせたところ、酒匂川には数年前まで年間に数件のシカの目撃情報が寄せられていたが、最近は見かけないという。シカは丹沢方面から酒匂川を下ってきているようだ、とのことだった。

それでは、動物注意の道路標識の設置基準はどうなっているのだろう?



動物注意の道路標識の設置基準とは?



公益社団法人日本道路協会(1987〈昭和62〉年1月)発行の『道路標識設置基準・同解説』によると「動物が飛び出す恐れがあり、道路利用者に注意を促す必要があると認められる場合」に、動物注意の道路標識を設置するものと定められている。

設置場所としては運転上で注意が必要と認められた箇所の手前30メートルから200メートルまでの地点における左側の路端と決められている。意外と見過ごしてしまいがちの動物注意の道路標識だが、やはりほかの地点よりも動物に遭遇しやすい場所だということだ。
 


動物が飛び出す危険性がある(フリー画像)


飛び出す恐れのある動物はシカ、サル、タヌキ、ウサギなどが主流のようだが、地域によってはほかの動物が描かれていることもある。
 


沖縄のイリオモテヤマネコの標識(sota Wikimedia Commonsより)


沖縄ではイリオモテヤマネコのほかにヤンバルクイナやヤドカリなどの標識もあり、貴重な野生動物の保護の注意喚起としても使われているようだ。

ちなみにこのひし形で黄色地の看板に動物が描かれている「動物注意の道路標識」は、国連標識(1968年国際連合道路交通安全会議にて条約として成立した道路標識及び信号に関する条約)が採用されているそうで、海外の標識と同じように表記されている。

実際にシカの目撃情報のあった西湘バイパスのシカの道路標識も、これらに当てはまる場所なのだ。なるほど、西湘バイパスでは注意喚起が必要な場所だったということになる。

ところで、横浜市内にも動物注意の道路標識はあるのだろうか。キニナルので調査することに。