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旧日東倉庫に保存されていた、戦後の日本を変えた「ララ物資」とは?

ココがキニナル!

横浜・新港埠頭にひっそりたっている「ララ物資記念」という石碑がキニナル。「ララ(LARA)」という語感も素敵だが、何か横浜にとって深い歴史的意義のあるもののよう。調査を!(アルミンさん)

はまれぽ調査結果!

第2次世界大戦直後、米国から支給された脱脂粉乳をはじめとする救援物資が「ララ物資」。横浜新港ふ頭にララ物資を積んだ船が着岸、ここから全国へと物資が配られた。

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ライター:ムラクシサヨコ

ララ物資って何? 横浜とのつながりは?



まずは新港埠頭にひっそりと建っているという「ララ物資記念」の石碑を探しに・・・。横浜赤レンガ倉庫のすぐ近く、海上保安庁横浜海上保安部の入り口付近に石碑がたっていた。
 


人の背丈の半分ほどの控えめな石碑

 
赤レンガ倉庫周辺は観光客でにぎわっているが、2~3分歩いたこの場所は、人影もなくひっそり。碑は二つに分かれていて、右側には和歌、左側には説明パネルがついている。
 


香淳皇后(昭和天皇の皇后)御歌が2首記されている

 
左側のパネルに「ララ」についての詳しい説明があった。
 


「第2次世界大戦後の多くの日本人を救った『ララ』物資」のパネル

 
碑に書かれていることは、以下の通り(原文ママ)。

「第2次世界大戦終戦直後の混乱期、日本は衣食住すべてに不自由していた。こうした中、全米の各宗教団体を中心とする海外事業運営篤志団アメリカ協議会は、特に日本をはじめアジア諸国の救済事業を行うために『アジア救援公認団体』を設置し、ミルク類、穀物、缶詰類、油類等の食料をはじめ、衣類、医薬品、石鹸、裁縫材料などの消費物質のほか、乳牛や山羊などを送り、多くの日本人を救った。この物資の送り出しにあたっては、当時の在米邦人組織の方々の多大なご尽力もあったと伝えられる(以下略)」

この碑は2001(平成13)年、地元横浜の有志によって建てられたものだという。
  


アメリカから生きた乳牛もが送られてきた(画像はイメージ・フリー画像より)

 
「この救済物資は、『アジア救援公認団体』の英語名“Licensed Agencies for Relief in Asia”の頭文字から『ララ』物資と呼ばれ、昭和21年11月30日に『ララ』物資を積んだ第1船ハワード・スタンズベリー号が、ここ横浜新港埠頭に着岸し、以後昭和27年6月まで送られ続けた。記念碑の香淳皇后御歌は、昭和24年10月19日に昭和天皇と香淳皇后が横浜の『ララ』倉庫に行幸啓になられた時に詠まれたものである。(以下略)」

1946(昭和21)年、戦災により何もかもが足りなかった時、横浜新港ふ頭に、ララ物資を積んだ米国船が到着。積み込まれた食品や衣類などの物資は横浜市内の倉庫、通称「ララ倉庫」にいったん移され、そこから政府へ引き渡された後、全国の施設等約1700ヶ所余りに配られた。

ララ倉庫と呼ばれていたのは、旧三井物産横浜支店倉庫。1910(明治43)年竣工のレンガ造りの倉庫で、横浜に現存する最も古い倉庫建築だった。2014(平成26)年取り壊しが決まり、貴重な歴史建築として保存運動がさかんに行われたが、今年解体され、現在は駐車場となっている。
 


2014(平成26)年8月中旬の旧日東倉庫
 

2015(平成27)年10月、倉庫が跡形もなくなってしまった
 

『ララ記念誌』(昭和27年発行)の1ページに掲載されたかつてのララ倉庫の写真

 


ララ物資は「LARA」物資



戦後の日本で子どもたちの給食に脱脂粉乳が出されていたことは、広く知られている。「子どものころに飲んだことがある」という話を親世代、祖父母世代から聞いた人も多いのでは?

脱脂粉乳についてはよく知られているが「ララ物資という言葉を聞いたことがないという人が多い」というのはJICA横浜海外移住資料館の小嶋茂(こじま・しげる)さん。

2014(平成26)年、横浜海外移住資料館では「終戦69年特別展示 ララってなあに? 日本を助けたおくりもの-ララ物資にみる海外日系人との絆」という企画展示が行われた。この展示を担当した小嶋さんに、話を伺った。

小嶋さんの専門は移民研究。日系人などの移民について研究されている。
 


横浜新港にあるJICA横浜海外移住資料館
 

JICA横浜海外移住資料館の小嶋茂さん

 
写真の後ろにあるのはオレゴン州に住む日系人が現地のお祭り用につくった山車の複製。