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酔客を撃退!? 中区吉田町が独自に開発したという「多店舗警戒システム」とは?

ココがキニナル!

吉田町が独自に開発したという「多店舗警戒システム」を取材してください。(羽後人さんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

吉田町のお店が緊急時に互いに助け合うためのシステムで、トラブルが起きた時に皆で対処することにより街の治安を維持することができる。

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ライター:福原 麻実

横浜市中区吉田町(よしだまち)。お店が立ち並ぶこの地域が「多店舗警戒システム」なるものを独自に開発したという。

多店舗を警戒するシステム? それとも、多店舗が何かを警戒している?
謎を解くべく、調査へ!



吉田町って?



まずは吉田町について。
吉田町は伊勢佐木町と野毛の間に位置する。江戸初期までは入り海だったが、1656(明暦2)年に材木商である吉田勘兵衛が幕府からの許可を得て埋め立てを開始。

苦難の末1667(寛文7)年に無事に完成したこの地は野毛新田と名付けられたが、1669(寛文9)年に4代将軍徳川家綱がこの功績を称え、野毛新田を吉田新田と改称した。
 


ここが現在のメインストリート

 
現在の吉田町はこの土地の一部で、66の店舗が軒を連ねている。飲食店だけでなく、画廊が複数存在する、アートの町でもある。



多店舗警戒システムとは



お話を聞かせてくださったのは、吉田町名店街会理事の佐久間衛(さくま・まもる)さん。多店舗警戒システムの発案者でもある。

佐久間さんの説明によると、吉田町は飲食店、特にアルコール類を提供する店が多く、多店舗警戒システムはそういった店で酔客が騒ぐなどの迷惑行為に対処する方法として2014(平成26)年に導入されたものだという。
 


これがその警報装置

 
警報装置には小さなディスプレイとボタンがついている。ボタンを押すと専用のサーバーを経由して、他店の警報システムのアラームが鳴り、ディスプレイには発信元の店の番号が表示されるのだ。それを見て周囲の店の人々が発信元に駆けつける。この時、発信元の店ではアラームは鳴らないそうだ。

ボタンを押してから他店に知らされるまでの技術的なタイムラグを質問したところ「1分くらい」とのこと。飲食店が集まる吉田町なら、他店の人が駆けつけてくれるまで、そこからさらに1分を要することはないはずだ。
 


通報から周知、到着までのタイムラグが短い(図は吉田町名店街会提供)

 
非常にシンプルで優れたシステムだが、なぜこのような独自のシステムを導入したのだろうか。
「警察を呼ぶほどじゃないトラブルが起きて、そんな時に警察に通報しても来てくれるか分からない。来てくれても時間がかかってしまう。でもお店をやってる方が一人で対処するのは難しい。警察への通報との間を埋めるようなシステムがあればと思った」と佐久間さん。
 


トラブルが起きるたびに毎回警察を呼ぶのは無理がある・・・(写真はフリー素材)

 
しかし、大手警備会社などでもそういったサービスはない。ならば自分たちで作るしかない、そう考えて作ったのがこの多店舗警戒システムだ。

警報装置の開発にかかった費用は1800万円ほど。中小企業庁の商店街町づくり事業の補助金を得るなどして完成したこの装置を、名店街会に加入している約60店舗に無料で設置している。



実際の効果は?



導入から1年、実際に導入前と比べて効果はあったのだろうか? そう尋ねた筆者に佐久間さんは「実際のところ通報なんてほとんどないんですよ」としたあと、「ですが皆で店をまもるという姿勢を示すことで、安心してもらえるし、その安心が吉田町に店を出すメリットと考えてもらえる。加入率が上がることにも繋がる」と続けた。

下手に警察に通報すると時間がかかるだけでなく、余計に騒がれてしまうかもしれない。小さなボタンをひとつ押すだけならさりげなくできるし、周囲の人がすぐに駆けつけてくれるなら、一人でお店を開いている女性でも安心だ。
 


安心して女性もお店を開ける地域に