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【横浜の名建築】重要文化財 外交官の家・旧内田定槌邸

ココがキニナル!

横浜にある数多くの名建築を詳しくレポートするこのシリーズ。第11回は、イタリア山庭園にある『外交官の家・旧内田定槌邸』 。華やかで重厚なイメージと、繊細でやさしい気持ちのこもった建物でした。

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ライター:吉澤 由美子

山手のJR石川町駅寄りにあるイタリア山庭園の中に、『外交官の家』と呼ばれる洋館がある。
明治・大正時代に活躍した外交官、内田定槌(うちださだつち)の邸だったことからその名がついた。
 


今にも物語がはじまりそうな圧倒的な存在感


実はこの外交官の家・旧内田邸は、1910(明治43)年、渋谷区南平台に創建された。

最近まで住まれていた内田定槌のお孫さんにあたる宮入氏より横浜市に寄贈され、1997(平成9)年にこの地へ移築・復原された。(創建時と寸分たがわぬ状態に戻したという意味で「復元」ではなく「復原」とのこと)
 


山手本通り方面から見た玄関部分


案内してくださったのは、外交官の家館長の奈良文江さん。
 


建物の歴史や復原について教えてくださった




才気あふれた外交官・内田定槌と親日家ガーディナー



建築主の内田定槌は、ニューヨーク総領事やトルコ特命全権大使などを歴任した外交官。1906(明治39)年にはいくつかの新聞に「横浜市長に適任」と書かれたこともあり、その手腕は一般にも高い評価を得ていた。
 


2階にある内田定槌の資料を集めたギャラリー。歴史的価値の高いものがそろっている


海外暮らしが長かった内田定槌は、徹底的な洋風建築をジェームズ・マクドナルド・ガーディナーに依頼。
ガーディナーは、アメリカ人宣教師であり、立教大学の校長をつとめた異色の経歴を持つ建築家。
 


大客間の暖炉脇にあるステンドグラス。灯具は移築時に設計図などから復原したもの


ガーディナーは、娘の名前に「ハスノハナ(蓮の花)」とつけるほどの親日家。
途中何度か本国に戻ったものの、40年以上に渡り死ぬまで日本に暮らした。
 


ホールにあるバラをモチーフにしたステンドグラス


ガーディナーは日本各地に教会や、各国大使館などを設計したが、この外交官の家・旧内田邸は完全に復原された貴重なもの。

建築仕様書といった文書が残っていたこともあり、明治時代に建てられ、震災や空襲をくぐりぬけてきた洋風建築として、移築完成と同時に国の重要文化財の指定を受けた。



重厚で華麗な内装にひそむ繊細なディティール



この建物は、木造2階建て(一部3階建て)のアメリカン・ヴィクトリア様式。

変化に富んだ外観で、屋根は寄棟造りの天然スレート葺き、ベランダ、八角形の塔屋、下見板張り(横に木を渡したもの)といった、華やかな意匠が特徴だ。

玄関扉は、すりガラスに内田家の家紋 「丸に剣三つ柏(まるにけんみつかしわ)」。
 


風格や威厳を感じさせる


内扉には優しい色使いのステンドグラスがあり、邸内に招き入れた客人に対する暖かな気持ちが伝わってくる。
 


重厚なホールには上品な色使いのステンドグラス


この玄関扉と内扉の間に、小さな入口がある。
中は供待(ともまち)部屋、来客のお供が待つための部屋だ。
 


こちらは現在、設計者ガーディナーの資料を集めた展示室