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横浜で路上観察、ハマソン vol.1

ココがキニナル!

横浜を歩くとまだそこかしこにトマソンを見つけることができる。日本の街並みの新陳代謝はとても早いので、消えてしまう前に情報求む

はまれぽ調査結果!

今回は読者投稿物件を4件と取材中発見物件を4件紹介。トマソンではなかったりもするが、でも大丈夫。馬車道十番館別館建物を記録できてよかった

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ライター:永田 ミナミ

あれから1年



「トマソン」とは、1970年代から80年代にかけて、赤瀬川原平(あかせがわげんぺい)氏を中心に起こった「無用となった建築遺物」の観察と記録活動であり、現在も「トマソン観測センター」による報告会が定期的におこなわれている。
 


最初に発見されたトマソンである、四谷の「無用階段」をイラスト化(永田画)

 
原点である赤瀬川氏の言葉に求めるなら、トマソンの定義とは次のようなものである。
 


トマソンは作品をつくるという「芸術」の表現行為を超えた「超芸術」とされた
*画像をクリックで拡大

 
形而(けいじ)上学的な要素を差っ引いてもう少し分かりやすく言えば「かつては建築物の一部として役割を持っていたが、周辺部分の改築によって取り残され、もともと持っていた役割を失ってしまったものの趣が感じられるもの」ということになるだろうか。

以下に、ここ1年で見つけたものをいくつか例として挙げてみる。
 


東京都世田谷区で見つけた、門柱を残しつつ間を塀で塞いだ「無用門」
 

ベネチアで見つけた、レンガでしっかりと丁寧に塞がれた「無用窓」
 

京都で見つけた壁に残る隣家の痕跡。これもトマソンとされている

 
「トマソン」の名前は鳴り物入りで読売ジャイアンツに入団したものの、三振の山を築いて無用の長物となり「人間扇風機」の異名をとった野球選手ゲーリー・トマソンに由来する。この建築の「無用の長物」トマソンは、戦後につくられた混沌とした街並みが再開発されるたびに多く生まれた。

今日も、1970年代ほどではないが、ふとした街の片隅にトマソンは潜んでいる。このトマソンを横浜で探しながら、赤瀬川原平氏とその仲間たちが1980年代に発展拡大させた「路上観察」、つまりトマソンだけでなく街のさまざまなキニナル風景を楽しもうというのが「ハマソン」である。

前回「序章」として紹介したハマソンは以下の4つである。
 


京急線金沢八景駅ホームに隣接するかつての変電所跡の「高所ドア」
 

そして戦後、駅が高架化するときに塞がれた「無用シャッター」
 

こちらは中区「キリン園公園」の正門が花壇にアレンジされた「無用門」
 

それから南区永田北の衛生湯の「無用煙突」。植物に覆われ、独特の魅力を放つ

 
編集部に応募フォームを設けてもらうように頼んだこともあったが、そのほかのより注目度の高い企画や記事に先を越され、いまだ実現に至っていない。まあそれものんびりしたハマソンらしくて悪くはない。

そんななか「序章」のあと、投稿やコメントのかたちで「物件(トマソンでは対象をこう呼ぶ)」を寄せてくれた読者もいるので、感謝を込めつつ紹介していくことに。