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福富町の陶芸家が営むバー六反の正体とは?

ココがキニナル!

陶芸家の店主が営む福富町のバー、Bar六反が気になる!!(taro_28さんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

摩訶不思議。その一言に尽きるバー六反。緊張と緩和、流れに身を任せて、「バー六反」の世界観だった。

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ライター:カメイアコ

陶芸家が開いたという“隠れた”バー「六反(ろくたん)」が福富町にあるという。場所は、JR関内駅から徒歩8分ほどのビルの3階。噂によると、常連さんの間では「六反難民」(六反が開いておらず、ほかの飲み屋さんで時間をつぶすこと)が増えているというのだ。

 

六反
 

怪しい階段を上ると
 

迎えてくれたのは、オーナーの六反征吾(ろくたん・せいご)さん。

 

六反さん
 

東京芸大の工芸科を2000(平成12)年に修了し、陶芸家として活動。2016年8月には日本橋三越で展示が行われる。

 

2015(平成27)年1月にオープン。午後8時から午前0時まで営業
 

おしゃれと一言で済ませてしまってはもったいない。“静寂”や“荘厳”という状態を体現したというべきか。空間全体が私たちにぐっと迫り、包み込むような感じ。教会や寺院に入った時のような崇高な気持ちを起こさせるような、そんな雰囲気なのだ。

だが、一方で20名ほど入る店内は「ヒグラシの鳴き声」のBGMが流れ、「夏休みのおばあちゃん家」のようなリラックス感もある。

 


店内の様子【動画】

 

「内装はすべて作り変えましたねぇ~」
 

もともとは会議室だったそうだが・・・

 

見る影
 

なし
 

個人的に天井が好みだった
 

たまたまいらしていた抽象画家、六反さんのお母様は天井を指さして「私の画材なの・・・」と一言。

「うち、ちゃんとした店じゃないですよね。メニュー表もないですし。オープン当時はザ・居酒屋みたいな店を目指していたんだけど・・・。なんか違うなーって」

 

確かにバーっぽくはない。全然ない
 

なぜ、この場所でバーを営むことになったのか、それとなく探ってみるも・・・

 

「うーん・・・なんとなくっすねぇ・・・」
 

あら。内装のこだわり具合は他店にはないと自他ともに認めるところだが、肝心のバーを開く理由は“流れ”だと六反さんはいう。
もともとは、アトリエとして自宅近くの野毛、福富町近辺で探していた場所だったようだ。

「若いころは何かになりたい、将来はこんな生活をしたい、と希望もありましたけどね。今は流れに任せたり、誰かの助言に耳を傾けたりすることも大事だと思って」

なるほど。では、どんな流れがバーにあったのか?

 

「実は・・・」
 

実は・・・?

「日銭がほしくて・・・」

 

え?
 

あまりにも意外すぎる答えに拍子抜けに加えて、親近感が一気に湧いた。

「陶芸はしばらくお休みしていて、技術を学びたく石屋さんで働いていたんですね。字を掘ったり、仏像掘ったり、絵を描いたりして生活していたんです」

 

ポートフォリオを拝見
 

すべて手彫りといい、その技術の高さ、仕上がりの美しさから「やめる」ことを伝えたとき、石屋さんには「やめないでくれ」と何度も頼まれたほど。

「石屋さんをやめたら、当たり前だけど収入がなくなって。どうしようと考えたときに、バーでもやるかって感じになったんですよ」

アトリエにするつもりで借りたスペースを、ふってわいたように「そうだ、バーをやろう」と思い付き、2ヶ月ほどで内装を作り上げオープンに至った。

 

店内には六反さんの作品が。アトリエ兼のお店のようだ
 

「まぁ、まだ内装は作り途中。半年後に来たら、すっかり変わっていると思いますよ」とのこと。内装がもはや六反さんの作品そのものなのだろう。

 

6名用の個室もある。和室もいいでしょ?
 

今のところ陶芸家であり、バーの店主であり、仏像も彫る仏師でもある。いくらミステリアスな六反さんでも、さすがにもう出てこないだろうと思っていると。

「たぶん音楽関係の仕事が一番有名だと思いますよ」

 

え、六反さん音楽関係の仕事もするんすか
 

「ブラジル音楽の演奏をしていた20代のころ、パンデイロ(ブラジル音楽には欠かせないタンバリンのような楽器)を自作して友人たちに売っていたんです」

すると。

「世界的なパンデイロ奏者のマルコス・スザーノが来日イベントをした際、友人の一人がぼくの作ったパンデイロを持ってサインを求めたらしいんですよ。そうしたらスザーノ氏が楽器を手に取って『こいつを呼んで来い』って。それで実際に会ったら、自分の楽器を褒めてくれましたね」

 

なんですかその映画みたいな話
 

と驚くと、「ぼくもさすがにひきましたね」とほほ笑む。

 

こちらがパンデイロ
 

SENSIVEL(センシヴェル)というブランドで販売
 

現在までに787個制作しており、1000個作ったらやめようと思っている、らしい。

話せば話すほど、探れば探るほど、六反さんの場合は人物像が遠くなっていく。なんでもかんでも答えや意味を求めちゃいけないんだよ、と諭されているような感じだ。

ちなみに。自己紹介するとき肩書きはなんと答えるのか伺うと・・・

 

しばしの間の後
 

「うん・・・。飲食店をやっていますと・・・答え・・・ますねぇ」とちょっと言葉を濁したのにはわけがあった。

「居酒屋ですか? と問われても『うーん。それが、分かんないんすよねー』って自分でもどう答えたらいいのか。だって店っぽくもないし」と六反さん。

 

本人も戸惑っちゃう