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歴史的景観のある北鎌倉「洞門山(どうもんやま)」幻の開発計画とは?

ココがキニナル!

鎌倉駅から見える歴史的景観、北鎌倉の洞門山で住宅開発計画があるそうです。開発されると景観が破壊されるため反対運動が起きています。キニナルので取材をお願いします。(にゃんさん)

はまれぽ調査結果!

洞門山の住宅開発計画は、住民の反対により2010(平成22)年12月で廃止された。現在、地層が見えるようネットを張り保全されている。

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ライター:橘 アリー

地図に載っていない山!?



北鎌倉の洞門山(どうもんやま)に住宅開発計画がある、という今回の投稿。
投稿が寄せられたのは2012(平成24)年のことで、今から4年前の投稿になる。

 

JR北鎌倉駅。豊な緑の背景と素朴な白い駅舎が美しい
 

まずは場所の確認のため、地図を開いてみるが“洞門山”という名前はどこにも載っていない。これはどういうことなのか?

続いてインターネットで検索してみると、「北鎌倉・洞門山を守る会」のホームページに“洞門山という名前は守る会の活動を始めるに当たり命名したもの”とあった。

 

鎌倉市の観光商工課が発行している鎌倉の地図※クリックして拡大
 

赤丸の辺りが洞門山。

北鎌倉駅の北西側の山ノ内(やまのうち)地域で、八雲神社から線路沿いに大船方向へ延びる小高い山が洞門山と呼ばれる場所だ。

そして、同会のホームページによると、開発計画は、洞門山の約半分の面積(999.77平方メートル)を対象にして、樹木を伐採し住宅地として造成される、というもののようだ。
ちなみに、同会のホームページは2009(平成21)年が最終更新となっており、ホームページ上から連絡をしてみたが、残念ながら連絡が取れなかった。

 

線路沿い大船方面から見た洞門山
 

洞門山は、小高い岩山で上部には樹木が生い茂っている。見た限りでは、開発が進められている様子はない。

では、現在、その住宅開発計画はどうなったのだろうか?
鎌倉市と地域の方々にお話を伺った。



住民の反対を受け廃止に

 

まずは鎌倉市役所で
 

住宅開発計画について、開発審査課の加藤さんに伺った。

加藤さんによると、この住宅開発計画(洞門山と呼ばれている場所)は、民間の開発計画者から住宅地造成の相談があり、2010(平成22)年4月1日に「鎌倉市まちづくり条例」「鎌倉市開発事業における手続及び基準に関する条例」に適合しているということで、市から開発の許可が下りた。しかし、同年12月17日に廃止になったとのこと。

着手前に廃止になったため、具体的な開発計画者などの計画に関する資料は一切残っていない。しかし今回の場所のすぐ近くにある同じ山ノ内地域では住宅地として開発された地区である。

 

他社が開発した住宅地の様子
 

地図で確認すると赤丸のところ。青丸が洞門山の辺り※クリックして拡大
 

ここは、2001(平成13)年4月26日に許可が下り、同年10月1日に宅地造成が完成した戸建て住宅地。もともと、いくつか住宅があった場所に、追加するような形で宅地造成された場所であり、とくに大きな反対もなかったようだ。

続いて、開発計画と保全については、鎌倉市まちづくり景観部まちづくり政策課が担当とのことなので、同部署の下澤敦(しもざわ・あつし)課長補佐にお話を伺うことに。

そして、保全に向けての活動については、開発計画が中止になり環境が保全されたということで「北鎌倉・洞門山を守る会」は解散しているので、同会の活動に参加された住民の方のお話と、過去に報道された新聞記事を参考とさせていただいた。

 

線路横から見た洞門山の様子。美しい小高い山である
 

まずは、まちづくり政策課の下澤課長補佐によると、洞門山住宅開発計画は、2007(平成19)年10月ころ、民間の開発計画者から宅地造成に関する相談が始まり、翌2008(平成20)年3月に宅地造成計画の手続きが始まったとのこと。

 

洞門山沿いの道は長閑に散歩を楽しめる
 

仮に計画が実行されると、住宅地になる山の斜面はコンクリートの擁壁で覆われ、自然豊かな小高い山はなくなって北鎌倉のたたずまいが損なわれることになる。隣接する八雲神社との一体感も失われるなどの理由で、近隣住民を中心に反対運動が起こり「北鎌倉・洞門山を守る会」が発足した。

そして、署名運動や鎌倉市になじみがある宇崎竜童さんのチャリティコンサート(2009〈平成21〉年9月3日)が同会の主催で行われ、その収益金と募金の合計257万円が鎌倉市緑地保全基金に寄付された。

 

洞門山は地域住民の活動によって開発を免れた
 

それを受けて、市では開発計画者側に対し、保全について検討するよう協力要請を行った。

開発計画者側は、保全を検討するのと並行して宅地造成計画の手続きも進めていたため、開発計画は2010(平成22)年4月にいったん許可がおりた。だが、同年12月の市議会定例会に「北鎌倉・洞門山を守る会」から提出された「北鎌倉の景観(洞門山)保全についての陳情」が、全会一致で採択され、計画は廃止となった。

翌2011(平成23)年1月、計画が廃止になったため鎌倉市と土地所有者側の協議が行われ、土地所有者側から全面的な保全に協力する意向が示され、保全が確定。鎌倉市が住宅開発計画のあった場所を2014(平成26)年度までに順次買い取り、保全対策を行っていった。

保全対策は、みどり課が担当した。
みどり課の加藤さんによると、岩山なので落石の危険がないように岩盤にネットを張る安全対策を2015(平成27)年3月に完了したそうだ。

 

しっかりとネットが張られている
 

ネットで保護しているのは「地層が珍しいので見えるようにしてほしい」という市民の方の声もあったためで、現在は中へは入れないが“外から自然を眺めてもらう”という考えのもと、安全対策を行っているそうだ。

続いて、外から自然を眺められるという洞門山の様子を見ていくことに。
住宅開発計画が廃止となった今、住民の方々はどう思っているのだろうか。