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横浜市には打つ手はあるか? ごみ屋敷の実態に迫る!【後編】

ココがキニナル!

鶴見区のゴミ屋敷がテレビに取り上げられていました。その実態と、ゴミ屋敷に対する横浜市の対策が気になります/ゴミ屋敷対策条例ができたみたい(ぽんちょりんさん/八景のカズさん/ホトリコさん)

はまれぽ調査結果!

市は2016年にごみ屋敷対策条例を施行、公益に反する場合は代執行もある。ごみ屋敷の住人の心理には世界観があり、初期段階で周囲が気付く必要がある

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ライター:小方 サダオ

前編は、投稿にあるごみ屋敷の住人に話を伺い、その当事者の素顔について迫るべく、徹底取材を行った。また、ごみ屋敷の片付けを行った経験をもつ便利屋さんに、多くの話をお伺いした。その結果、ごみ屋敷の住人は特殊な心理的感覚を持つことが予想できた。

 

投稿のごみ屋敷は1階部分がごみで埋まっていた
 

そこで後編では、「片付けられない人の心理」を理解するヒントはないか、心理的なアプローチを含めて整理収納を代行する仕事をしている人に話を伺うことにした。



片付けられない人の心理とは



「片づけ上手塾エグゼカレッジ/フェリシア・ラボ」を運営する、高橋和子(たかはし・かずこ)代表理事と藤井暁子(ふじい・あきこ)理事に話を伺った。同塾は「物を整理する心」が育つようにと、心理面を重視して整理収納術を教えるサービスを行っており、テレビや雑誌などからも多く取材を受けている。

 

高橋代表理事(左)と藤井理事
 

「約7年前から整理収納代行をする会社を立ち上げました。片付けられなくなる理由で多いのは、離婚、独立、身内の死、子どもの親離れによって生き甲斐がなくなるなどの環境の変化です。そのほかには、体調が悪くなる、認知症の初期症状など、病気が関係したきっかけもあります」と高橋さん。

「ごみ屋敷状態になっていたある一軒家のお宅の場合、5人で片付けサービスを行い2日かかったことがありました。その方は、近親者が亡くなった上に、夫と離婚し、買い物依存症になってしまい、モノが増えていきました」と高橋さんは話す。

 

環境の変化が原因になることも(フリー画像)
 

「片付けができない人以外に、外からモノを拾ってくる人もいます。モノを溜め込んでそれが積み重なることで安心感を得る人を、業界では『ホーダー』と呼びます。実際に、ごみを拾ってくる人の中には『リサイクルをしている』と認識を持っている人もいます。壊れた自転車を拾って『修理すれば使える』と主張するのですが、修理をする気はないようで、もったいなくて拾ってくるだけなのです」と藤井理事はいう。

「また、テレビで見た内容を走り書きしたメモやもらったフリーペーパーなどの紙類を大量に溜める人もいます。『いつか使うかもしれない』との考えで、その人にとっては大事な情報で無駄なモノではないのです」とのこと。

「ほかには、他人の捨てたモノまで欲しいというモノに対する執着心が強い人もいます。そういった人にとっては、一般的にごみとして捨てられているものでも、ごみという認識はありません。自分独自のルールと世界観があり、理論武装をしていますので、知的レベルが高い人が多いのではないでしょうか」と藤井理事は話してくれた。

 

独自の世界観で理論的に主張する人がいるようだ
 

「精神科医の元で治療を受けたり、私たちが行うようなカウンセリングを受けたりすると、相手との信頼関係が築けます。そうすると、こちらからのアドバイスに理解を示すようになり、本人の意思で捨て始める場合もあります」

「しかし、自分の意思で捨てるには、家族からの依頼ではなく、本人からの依頼である必要があります。本人に片付ける意思があることが前提になり、片付けることが快適で、気持ちがいいということに気付き、この状況から抜け出したい、という思いがないと難しいのです」と話す。

ここで投稿のごみ屋敷の現場の写真を見せると「こちらの場合もそうですが、ごみ屋敷になってしまう場合、その当事者にごみを溜めてしまう傾向があったと思います。その傾向を周囲が初期の段階で気付いて、対処する必要があったと思います。ごみを溜め始める兆候を『芽』の段階で摘むことが大事で、大量のごみが外にあふれるような『開花した状態』になってしまうと対処が難しくなるのです」と話してくれた。

 

ごみが大量に増える前に対処するべき
 

「周囲が気付きづらい場合もあります。独り暮らしの老人などは、他人が気付きづらいのでごみを溜めてしまう可能性があります。また認知症の初期症状として片付けられなくなる場合もあります。食べ物を買うなど『物を得る』ことは、本能に近い一次的な行動のため問題なくできても、『買った物を片付ける』という二次的な行動ができなくなる場合が多いのです」と答えてくれた。

実際に二人は、片付けられない問題で悩んでいる人の相談に乗っていることもあり、お話しからごみ屋敷の住人の心理を垣間見れた気がした。特に“メモなどの紙類を溜める人”に関しては、投稿のごみ屋敷の男性のクセであるメモを取る行動を思い出させ、片付けられない人たちには共通点があることを感じさせた。