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「ぴあ」がみなとみらいに1万人規模のアリーナを建設するって本当?

ココがキニナル!

みなとみらいに建設予定のぴあが計画しているライブ会場について詳細が知りたい/ぴあが計画している1万人規模のライブ会場の場所はどこ? 詳細調査をお願いします(神奈川の玉子さん、よこはまいちばんさん)

はまれぽ調査結果!

東京オリンピック開催による影響で、ライブ会場不足という問題が発生。2020年春に「ぴあ」が単独でみなとみらいに大型アリーナを建設することになった

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ライター:ワダ リョータ

2017(平成29)年7月20日、チケット販売大手のぴあ株式会社(以下、ぴあ)が2020年春の開業を目指し、横浜・みなとみらい地区に収容人数が1万人規模の大型ライブアリーナを建設・運営することを発表した。同年3月にはZepp横浜が同じ2020年春をめどに開業することも発表されており、横浜市民としてもとてもキニナルニュース。

というわけで、東京・渋谷にある「ぴあ」に話を聞いてきた。

 

ぴあの入っている渋谷ファーストタワー
 

ぴあの総合受付は3階
 

3階で降りたらすぐに目に飛び込んできたのは、雑誌『ぴあ』の表紙でお馴染みの及川正通(おいかわ・まさみち)さんの描いた数々のイラスト。

 

受付には及川さんの描いた表紙イラストが飾られている
 

1972(昭和47)年2月に月刊誌として創刊した『ぴあ』は、1975(昭和50)年より表紙に及川さんを起用。以降、2011(平成23)年7月の休刊まで表紙を描き続け、「同一雑誌の表紙イラスト制作者として世界一長いキャリア」としてギネス世界記録にも認定されるほど。約39年間、文字通りぴあの「顔」として親しまれた。

若い人のために簡単に説明すると、雑誌『ぴあ』は、映画、演劇、音楽ライブなどの上映、上演情報を網羅し、見たいもの、行きたいところを「検索」できる"使える"雑誌として人気に。
また、小さなライブハウスや名画座の場所、おすすめのフードスポットや駐車場を人気エリアごとに掲載する詳細な地図『ぴあMAP』のコーナーも人気で、当時の若者たちの"文化・街歩きの道しるべ"として、なくてはならないアイテムだった。

 

最終号の表紙(2011年7月)
 

会社としてのぴあは、1984(昭和59)年に、コンピューターを使ったオンラインチケット販売「チケットぴあ」を開始。出版社がチケット販売!? と世間を驚かせるも、周知の通り今ではぴあの基幹事業となっている。

今回は、 エンタテインメント事業開発室の鈴木悠太(すずき・ゆうた)さんと 広報室の糸井章悟(いとい・しょうご)さんが取材に対応してくれた。

7月20日の発表を受けて、マスコミからの取材が続いているそう。基本的に広報室の担当者だけが対応していたが、横浜の地元メディア「はまれぽ」からの取材ということで、エンタテインメント事業開発室の鈴木さんにも同席していただけた。

 

受付の及川さんのイラストの前でパチリ。鈴木さんと糸井さん(右)
 

 
 

ライブ会場が不足する"会場不足問題"に対応 

まず今回の経緯を尋ねると、「2014(平成26)年くらいから2020年の東京オリンピックに向け、さまざまな施設の建て替えや閉鎖などが集中したことによるライブ会場不足が業界内でも話題になっていまして、それに対応しなくては、という声が社内でも少しずつ高まっていました」と鈴木さん。

渋谷公会堂、日比谷公会堂など、ライブ会場改修のための休業や閉鎖が相次ぎ、 2014年に国立競技場の取り壊しが始まったころには、ライブ会場不足が本格的に問題視されていた。

糸井さんは「"会場不足をなんとかしたい"というスタッフが、いち早く情報収集していたこともあり、横浜にいい土地があるという情報を掴んだことが、今回のプロジェクトに繋がっていきました」と話す。音楽ファン、音楽関係者双方のニーズに応えた形だ。

 

和気あいあいとした雰囲気で取材はすすむ
 

民間企業が単独で1万人規模のアリーナを建設し運営するのは、国内でも初の事例で、大きなトピックだ。なかなかハードルが高そうな話だが、利用者のニーズに応えることをまず考えるぴあの社風に拠るところが大きいようだ。ぴあの歴史を振り返るとそれがよく分かる。

鈴木さんは、「雑誌『ぴあ』は、映画の上映、音楽ライブ、演劇の公演など、どこで何が行われているか? という読者ニーズに応えたものでした。そして、公演などのチケットを誰もが便利に買えるようにするためにネットワークを使った『チケットぴあ』を誕生させました」

「今回も、ライブ会場不足という問題を解消すべく生まれたプロジェクトなのですが、これまでと同じようにユーザーや利用者のニーズに応えるというチャレンジなのです」と話す。

 

ぴあの社風が生み出したプロジェクト
 

糸井さんは「これまでに作られたアリーナ施設は、スポーツ利用を主軸にしたものがほとんどなので、 ライブで使用する機材の搬入・搬出の手間がものすごくかかりました。今回の計画では、大型搬入トラックでもステージ裏に直接停められるようにするなどの工夫も考えています」と明かした。

鈴木さんも「音楽利用に特化したアリーナとして音響にはきっちりコストをかけ、いい音を楽しめる空間を提供していきたいと考えています」と教えてくれた。

 

これが完成予想図。音楽利用に特化したアリーナとなる
 

音楽利用に特化したアリーナが横浜にできるなんて、市民にとってはなんとも誇らしい限り。国内外問わずミュージシャンの間で評判が上がれば、来日アーティストによる世界初公開の舞台演出にこのアリーナが選ばれるなんてことも期待してしまう。

続いて、数々の取材でまだ話していない「はまれぽ」だけに話せる情報を聞いてみたところ鈴木さんは、「実は、ほかのアリーナに比べて、飲食スペースなどをかなり充実させようと考えています」と教えてくれた。

「どういったコンセプトにするか具体的にはこれから検討しますが、公演のない日にも一般のお客さんが楽しめるように、ギャラリー的なものとか、音楽にまつわる飲食の常設店舗などをデッキの部分や周辺に設けようと考えています」とのことだ。

 

建設予定地はみなとみらい地区38街区(クリックで拡大)
 

みなとみらい地区には、ランドマークホール、パシフィコ横浜、赤レンガパークなど、さまざまなタイプのイベントスペースが集まっていて、都市型フェスの開催も視野に入れているのでは? なんて聞いてしまったが、やはり具体的なことは何も話せない状況だった。最後に横浜市民へのメッセージをお願いした。

糸井さんは「横浜市都市整備局ともいろいろとお話をはじめているところですが、横浜市さんもエンタテインメント関連に非常に関心が高く協力的なので、文化情報発信拠点として地域の皆さんも含めて一緒になって何か考えていければいいいですね」

続いて鈴木さんは「今後も進展があり次第速やかに情報発信していきますので、ぜひチェックしてください。ライブに必要不可欠な音響や飲食など、文字通り『音を楽しむ』環境をみなさまに提供できるよう、頑張ります」と話してくれた。



新しいアリーナはみなとみらい地区の集客装置

それでは、横浜市はこのアリーナの建設にどのようにかかわっているのだろう? というわけで、横浜市都市整備局都心再生部みなとみらい21推進課にも行ってきた。

 

関内の横浜市庁舎内にある「みなとみらい21推進課」へ
 

「元々この区画はトヨタさん、日産さんの中古車販売で暫定利用していた場所なのですが、この度、ぴあさんによる本格利用という形になりました」

こう語るのは、取材に応じてくれた横浜市都市整備局都心再生部みなとみらい21推進課課長補佐の中尾光夫(なかお・みつお)さん。横浜市としても、ぴあの単独運営については「一大事業となるのではないでしょうか? ぴあさんも大きな一歩を踏み出したんだなと思いますし、一音楽ファンとしても期待しています」とエールを送る。

 

中尾さん(左)と同課の福田大(ふくだ・だい)さん
 

元々みなとみらい地区は、オフィスビルを建てていくところから街づくりを推し進めていたが、現在は次のステップとして「観光・MICE(マイス:学会や国際会議、展示会を伴うビジネストラベル)」にも力をいれて街づくりを進めているという。

人口も増加傾向にあって、神奈川大学のキャンパスもこのエリアに移転が決まっているので、人の流れも2020年までにはずいぶん変わってくるだろうとのことだ。

 

神奈川大学もみなとみらい地区に移転 (イメージ提供:神奈川大学)
 

中尾さんは、「数年前は土地もなかなか売れず苦戦していたのですが、2014(平成26)年に資生堂さんに手を挙げていただきまして、それ以降、京急さん、LGさんと続き、開発の連鎖、いい循環が生まれているんです」と、ここ数年で、活気づいてきた様子を明かしてくれた。

「三菱みなとみらい技術館」やセガのエンタメミュージアム「オービィ横浜」、日産グローバルの「ギャラリー」など、さまざまな企業のそれぞれ特色のあるアトラクションなどが集まり、優良企業によるエンタテインメントの要素も充実。そんな中で今回の大型ライブアリーナの誕生は、みなとみらい地区への集客装置として、さらに横浜を盛り上げていくことになりそうだ。