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「はれのひ」騒動で新成人を救済した「いわきや」と「丸昌」。成人式当日の様子は?

「はれのひ」騒動で新成人を救済した「いわきや」と「丸昌」。成人式当日の様子は?

ココがキニナル!

振り袖業者「はれのひ」の被害に遭った新成人を、成人式当日に受け入れることを決めた地元業者「いわきや」と「丸昌」の当日の様子は?(はまれぽ編集部のキニナル)

はまれぽ調査結果!

業界全体が一丸となって救済処置をとり、「いわきや」は10名、「丸昌」は13名の新成人を受け入れ、着付けとヘアメイクを行った。

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ライター:はまれぽ編集部

2018(平成30)年1月8日、一生に一度の成人式に起こった「はれのひ」騒動。はまれぽでは問題の業者を直撃したが、関係者は依然として行方不明のままだ。

正確な数字は不明だが、一部報道によると「はれのひ」の被害者は約200名。100名ほどの新成人が式典に参加することを諦めたそうだ。
また、涙を飲んだ新成人が多数いる中で、被害に遭った新成人を救おうと試みる動きがあったことも忘れてはいけない。

今回は、成人式当日に救済処置をとったという地元・横浜の「いわきや」と「丸昌」に、当日の様子と騒動の一部始終をうかがった。
 
 

老舗呉服店いわきや


 
まずお話をうかがったのは、着物の小売・卸業を行っている株式会社「いわきや」。保土ヶ谷区天王町に本店を構え、振り袖の販売レンタルスタジオを手掛ける、1897(明治30)年創業の老舗呉服店だ。
 


相鉄線「天王町」駅より徒歩3分

 
取材に対応してくださったのは、いわきや4代目女将、我妻(わがつま)あけみさん。
成人式当日は救済処置の先陣をとり、新成人を送り出してからはテレビなどのメディア対応を行い、休む暇なく成人式の片付けに勤しんでいた。
 


4代目女将の我妻さん

 
「今回の事件は、業界の恥です。この混乱と業界に対する信用を取り戻すために、出来る限りのことはお話させていただきます」と、快く取材に協力してくれた。

はじめに、はれのひ株式会社についてうかがうと、「提携のヘアメイクさんに対して、2017(平成29)年成人式分のお支払いをされていないという話は聞いたことがあります。短期間で多数の店舗を展開しておりましたので、経営について業界内では話題に上がっていた記憶がございます」とのことだった。
耳にするのは、あまり良い噂ではなかったという。そんな中での、今回の騒動である。

我妻さんは、「私共は毎年、新横浜プリンスホテルで着付けを行っております。実は、成人式前日の2018(平成30)年1月7日、新横浜プリンスホテルの成人式担当者さんから『新横浜国際ホテルで着付け予定の業者が前日の準備に来ていないので、もしかしたら明日、皆さんにご協力していただくことになるかもしれません』と相談がありました」と、成人式前日の出来事を話してくれた。

前日、当日と着付け会場の準備や管理をされていた、いわきや横浜本店の矢野武志(やの・たけし)店長から、当時の裏話や貴重な写真を提供していただいた。
 


2018(平成30)年1月7日、成人式前日の「はれのひ」着付け会場の様子
(写真提供:いわきや)

 
驚くほど何もない。後片付けが終わったかのような状態だ。
一方こちらは、いわきやの着付け会場の様子。
 


会場の奥には振り袖の箱が置かれている(写真提供:いわきや)

 
畳が敷き詰められ、いくつもの鏡が設置されている。ほとんどの業者は前日から会場入りし、ほぼ徹夜で会場準備を行っていたそうだ。
全くなにも用意されていない「はれのひ」の会場と比較してみると、事態の深刻さが一目で分かる。

 


写真右側が「はれのひ」の着付け会場へ入るドア(写真提供:いわきや)

 
写真左側は別の着付け業者で、着付け会場に設置する畳やハンガーなどの準備がされている。通常であれば、着付け会場の入り口は写真左側のような状況になるそうだが、写真右側の「はれのひ」は何も準備されていない。
 


前日、ヘアメイクスペースの準備をしている「いわきや」の様子(写真提供:いわきや)

 
矢野店長によると、「2017(平成29)年当時、はれのひの着付け会場は畳を敷いていました。関係者に聞いた話ですが、はれのひの社長は前々から『2018(平成30)年は畳ではなくシートで対応する』と言っていたそうです。通常、シートの上で着付けを行うことは考えにくいです」という。
 


横浜本店の矢野店長

 
これらのことを踏まえ我妻さんは、「新横浜プリンスホテルと新横浜国際ホテル、垣根を越えてご相談くださった担当者さんに、『当日何が起こっても、新横浜全体で乗り切りましょう』と伝えました」と、当時の決意を語ってくれた。

そして、成人式当日。
SNS上で、草履とバッグが届いていないという被害者の声が多数あったため、午前6時30分ごろ、「『はれのひ』の事でお困りの方、草履バッグのセットであれば、3セットほどお貸出し出来ます」とSNSに投稿。

続いて午前7時30分ごろに、「『はれのひ』の事でお困りの方は、一部分レンタルに対応できる場合がございます。お問い合わせは イワキヤ女将 我妻まで!」と、ご自身の携帯番号を載せてSNSに投稿した。
 


いわきやTwitter(@IWAKIYA1)より

 
SNSに自身の個人情報を載せることに抵抗はなかったのかと問うと、「後先考えていられる状況ではありませんでした。わたくしに直接連絡をいただくことで、現場の状況を加味して受け入れ可否を即答できると判断してのことです。おかげさまで、お困りの方からの連絡以外入っておりません」と回答してくれた。

そう話す我妻さんの顔は、とても頼もしく優しかった。さすが女将だ。

当日受け入れの問い合わせは親御さんからの連絡が多く、電話口では、「お母さん、もういい! もういいって・・・」と、娘さんの悲痛な声も聞こえたという。

「当日はお振り袖が手元にある方のみ、新横浜プリンスホテルで午前11時ごろから受け入れを開始しました。また、急きょ本店の方へ1人社員を戻し、お店を開けてお振り袖のレンタルも承りました。いわきやは、着付け師とヘアメイクさん合わせて約200名体制で、もともとご予約の方の状況を見て、合計10名のお嬢さん方の準備をお手伝いさせていただいた次第です」
 


常時数百枚の振り袖を用意している

 
「直接お話をする時間はありませんでしたが、同会場で着付けをした同業者全体で70名程の方を当日受け入れたと聞いております。業界の信用問題に関わる大事件でしたが、真剣に頑張っている人たちがほとんどだということを知っていただきたいです」と我妻さんは話す。

また、息子さんである5代目が取り仕切る横須賀店でも、同様に救済処置を行ったそうだ。中には泣いて喜ぶご両親も少なくなかったとのこと。
 


「たくさんの方々のお支度のため、行き届きませんこと、多々あったかと存じます」

 
最後に我妻さんから、今後振り袖の予約を考えている方々へ、「とにかく、焦らないでください。成人式の前々日に来ていただいても大丈夫です。成人式に出席されるお嬢さん、そしてご両親に心の余裕がある時に下見にきてください。ちゃんと縁のある振り袖に出会えますから」と力強いメッセージをいただいた。

また、いわきやでは、卒業式用の袴や小袖を半額でレンタルするサービスを行うそうだ。