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打撃投手とは? ベイスターズを陰で支える吉見祐治さんの仕事に迫る!

打撃投手とは? ベイスターズを陰で支える吉見祐治さんの仕事に迫る!

ココがキニナル!

横浜DeNAベイスターズにはどんなスタッフがいる?どのようにしてチームの力になっているの?裏方さんの仕事がキニナル(はまれぽ編集部のキニナル)

はまれぽ調査結果!

打撃練習のピッチャーを務め、チームを支える吉見祐治さん。チームサポーター(打撃投手、ブルペン捕手)のリーダーとして、選手やスタッフとのコミュニケーションを欠かさず、熱い思いで投げ込んでいた

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ライター:山口 愛愛

現役時代とは真逆の打たれて喜ばれる仕事

2018年シーズンは惜しくもクライマックスシリーズ進出を逃し、来季に向け立て直しをはかる横浜DeNAベイスターズ。チームが一枚岩となって戦うために欠かせないのが選手を支えるスタッフ、いわゆる裏方さん達の存在だ。

過去にも、取材当時は用具係だった入来祐作(いりき・ゆうさく)さんや野球振興部に所属していた北川利之(きたがわ・としゆき)さん。今でも現役で活躍する、クリーニング士の関村英樹(せきむら・ひでき)さんなどを取材させていただいたが、今回は選手の練習を直接サポートする打撃投手の吉見祐治(よしみ・ゆうじ)さんにお話を伺った。
 


横須賀市長浦町にある横浜DeNAベイスターズ総合練習場へ!

 
戦闘服のユニホームをまといグラウンドで汗を流しているのは選手だけではない。筒香嘉智(つつごう・よしとも)選手や宮﨑敏郎(みやざき・としろう)選手などの強打者と最も多く対戦している投手といえば、誰を想像するだろうか? 他球団のエースではない。チームサポーターの「打撃投手」だ。

打撃投手とは、主にフリーバッティング(打撃練習)の時に打者にボールを投げるのが仕事。実戦に近い形で生きたボールを投げる専門職だ。現在チームには8人の打撃投手が在籍し、そのリーダーを務めるのが元横浜ベイスターズ左投手の吉見さん。
 


1978年、和歌山県生まれ。「チームサポーター兼チーム付ゲームアナリスト」を担当

 
吉見さんは、2000(平成12)年に東北福祉大学からドラフト2位で横浜ベイスターズに入団。即戦力の本格左腕として期待され、2002(平成14)年はチームが最下位で苦しむ中、11勝を挙げるなど活躍した。2010(平成22)年のシーズン途中に千葉ロッテマリーンズにトレードで移籍し、その年に日本シリーズにも登板した。2013(平成25)年に戦力外通告を受けたのち、阪神タイガースに移籍するも2014(平成26)年に引退。

「14年間、プレーできて幸せでした。今後は野球界で何かしら恩返しをしていきたい」との言葉を残してユニホームを脱ぎ、翌年から打撃投手として再び横浜のユニホームに袖を通した。
 


背番号115。背番号3桁は育成選手かスタッフとなる

 
「自分はあくまでも裏方。選手のサポート役として投げるのが仕事です。自分が対峙(たいじ)して手伝った選手が活躍して、チームが勝ってくれることが一番のやりがい」と吉見さん。

打撃投手はホームゲーム時に1人の打者に対し30球~40球、4人の打者に投じる。単に投げるだけではなく打者が気持ち良く打ち返し好感触をつかむために投げる役だ。4人続けて投げることがほとんどで、球数は120~150球にも及ぶ。
1試合完投するくらいの球数を約20分で投げ込むことが、ほぼ毎日。地味で過酷な仕事だ。
 


取材日は宮﨑選手や柴田竜拓(しばた・たつひろ)選手らに投球
 


選手の練習をいろいろな場面でサポートしている
 

ほかにも外野の球拾いや準備や片付けと仕事はいろいろ
 

就任した直後は、現役時代とのピッチングの違いに難しさを感じたという。
吉見さんは「一定に打ちやすく投げるという大変さは、見ているだけではわからなかった。現役時代に打たれないように投げていたのを、打ってもらって喜ばれるというのは正反対。100%気持ちを転換しましたね」と語る。ピッチャーの本能を押し殺しバッターが打ちやすく投げることを心がけているのだ。
 


打者と呼吸を合わせ、黙々と投げ込む
 

投げ終わった後は息が上がり汗びっしょり

 
吉見さんは打撃練習の前に必ず打者とコミュニケーションを取るようにしているという。
「今日はこういうバッティングをしたい、こういう風に打ちたいということを感じて、『わかった、この辺にこういうボールな』なんて会話が生まれていくんです」。
選手によって投げる場所や球のスピードを変えて気を付けている。「スライダーなどと球種を求める選手もいるので、選手から求められることはしっかり答える」のが吉見さんの役目だ。
 


選手が話しやすい雰囲気を作ることも大切

 
“選手がどのような目的意識を持ってバッティング練習をしたいのか”を引き出すために、日々表現や伝え方を変えて会話するのが吉見さん流。
「例えば、今日はどうやってバッティング練習を料理しようか。強めに炒めるのか、じっくり煮込むのか、揚げていくのかなんて聞き方で、言葉を引き出してあげたり。話しているときの選手の口調や表情から調子がわかることもあるんです」とアプローチを変えて選手の状態を読み取っていた。

常に選手への気遣いは忘れない。「調子が悪そうな選手には、人のいないところで話しかけるようにしています。コーチではないのでアドバイスとまではいかないけれど、元野球選手だったので気持ちを察し、自分のときはこんな風だったよ、とか経験談を話すことはたまにありますね」。
選手にとって、精神的フォローを自然にできる吉見さんの存在は大きいようだ。
 


「選手が気持ち良く練習できるように徹しています」

 
「選手目線でわかることもありますけど、この立場になってわかることも多いので、選手目線になりすぎないように、どちらの目線もミックスしながら助言できればなと思っています」。