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防空壕できくらげ栽培?川崎市麻生区の秘密栽培所を訪ねてみた

防空壕できくらげ栽培?川崎市麻生区の秘密栽培所を訪ねてみた

ココがキニナル!

川崎市麻生区のきくらげを作っている防空壕がキニナル(ス さんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

購入した土地でたまたま防空壕を発見。戦時中に掘られた防空壕跡を有効活用するために、きくらげ栽培は始められた。戦跡を後世に伝える遺構として残しながら、環境を活かした農業が行われている栽培所だ!

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ライター:のなかあき子

川崎市麻生区のJAセレサモスに、防空壕で栽培された「防空壕きくらげ」が出荷されているという。凄みのあるネーミングだが、一体どんな人が育てているのだろうか。戦後防空壕にこもり続ける元日本兵か、その子孫が裸電球の下で製造しているイメージしか思い浮かばないのだが・・・。
 
 
 
さりげなく通学路に「防空壕」
 
「防空壕きくらげ」を扱うのは、川崎市麻生区にある、農産物直販所のJAセレサモス。生産者とコンタクトをとりたい旨を伝えると、快くつないでくれた。
栽培所の最寄り駅は小田急線「栗平」駅。南口から徒歩10分ほどのところに、防空壕きくらげの製造現場はあるという。
  


急行停車駅だがとても静か

 


住宅の先に見えるあたりに防空壕がある

 
5分ほど歩いたが、コンビニひとつなく、農地と住宅が続くのんびりした地域だ。防空壕の方面に歩いている途中にお寺があった。駐車場の出入り口らしき場所から、何台も車が出て来るのを見ると、そこそこ大きなお寺のようである。
 


なんとなく目に入ってきたお寺の掲示板

 


お寺沿いの道を進む

 
緑の強い香りに混じり、湿ったような土の匂いも漂っている。
たぶん、防空壕が近づいてきたのではないか?
ほどなく現れた擁壁の上に、なにやら怪しい箱が積まれている。とりあえず通り過ぎてみて、振り返って撮影した。
 


これは・・・間違いなく怪しい

 


ズームすると「きくらげ」と書かれた箱が!

 
近くに学校があるのだろうか、中学生が笑いながら通り過ぎていった。のどかな道沿いに「防空壕きくらげ」の生産現場はあるようだ。
 
 
 
購入した土地で防空壕を発見
 
写真を撮っていたら「防空壕きくらげ」の生産者であり、日興建設の代表取締役、小山仁美(こやま・ひとみ)さんが声をかけてきた。防空壕にこもる日本兵の子孫・・・ではなく、爽やかな女性だった。
小山さんは、6年前に、防空壕があるとは知らずに土地を購入。穴を発見し、何かだろうと思い覗き込んだら、奥に空間が広がっていたという。
 


発掘当時の写真パネルを持つ小山さん

 
「近所のお年寄りに聞いたら、旧日本軍が作った防空壕だとわかりました」と小山さん。ここの近所でも、ほかに3ヶ所防空壕があったそうだ。日興建設の創業者が縄を伝って中に入ったところ、入り口こそ狭いが、中は思いのほか広いことが発覚。出るときに苦戦したそうだが、ハシゴを使ってなんとか脱出した。
 


来る途中の脇道の先にも、防空壕があったとか

 
防空壕が見つかると、土地の価値が下がるので、埋め戻すケースも多いという。しかし小山さんは「当時の誰かが、こんなに一生懸命掘ったものを埋め戻してはいけない」と感じ、遺構として残すことにした。そして防空壕の土をどかし、コンクリートで補強し、鉄筋を入れて整備した。
 
さて、建設業とは別に、個人的に米粉ドーナツの製造販売をし、JAセレサモスで販売している小山さん。納品時にしいたけを出荷している人と話をした際に
防空壕で何か作れないかと相談したところ「しいたけを栽培してみれば?」と勧められた。その人から菌床を譲ってもらい、指導を受け、防空壕でしいたけ栽培がスタート。
 
「半年ほどしいたけを栽培していたんですが、間引きが必要だし、スペースもとるので大変だったんです。同じ環境できくらげも栽培できると知り、栽培を始めたら、しいたけよりも作業的に楽だとわかりました」と小山さん。
しばらく並行して栽培していたが、しいたけときくらげでは、適する温度が若干異なる。しいたけ栽培はやめて、きくらげに特化することにした。