〈はまびとnext〉あざといは正義? インフルエンサー・嬉野ゆみ。その素顔に迫る【前編】

ココがキニナル!
19歳で起業し社長としてインフルエンサーマーケティング事業を展開。その会社を売却後は自らフリーランスのインフルエンサーとして活動している嬉野ゆみさん。いったいナニモノなのか、その人物像を紐解く!
ライター:はまれぽ編集部
「誰もが主役」をコンセプトに、横浜にゆかりのあるチマタの人にスポットライトを当てて特集する『はまびとnext』。その記念すべき第1回目のゲストは、インフルエンサーとして活躍する嬉野ゆみさん(23)。
大学在学中の2016(平成28)年1月に19歳でSNS運用コンサルティング、インフルエンサーマーケティング事業会社を設立。しかし、そのわずか3年後の2019(平成31)年1月に同社を売却する・・・
いったい何があったのか。また、そもそもインフルエンサーマーケティングとは何なのか。自らがインフルエンサーとして表舞台に出てきた理由とは・・・
キニナルはまびと、嬉野ゆみさんの半生に迫る!
嬉野ゆみ
生年月日:1996年7月24日
血液型:A型
出身地:横浜市都筑区
今回インタビューをおこなったのは、はまれぽのイチオシ店「CRAFT KITCHEN Mid.Ru(クラフトキッチン ミドル/以下、ミドル)」。

横浜の人気おしゃれダイニング「ミドル」



2019(令和元)年12月某日、ミドルに姿を現した嬉野ゆみさんは、どこか緊張した面持ちだった。インフルエンサーとして日々、自らを世の中に発信している人間だ。その姿には少し意外な印象を受けた。
インフルエンサーと嬉野ゆみ
緊張を和らげてもらうため、まずは飲み物を勧めた。
「どうしよっかな・・・」
しばし悩んだ末、彼女は「自家製レモンスカッシュ」(380円/税別、以下同)を選んだ。インスタグラムを主戦場に、日常的に“ばえる(映える)”写真を撮影しネット上にアップしている彼女である。
せっかくなので、“ばえる”ようにドリンクの写真を撮ってもらった。
「自家製レモンスカッシュ」(撮影:嬉野ゆみ)
このような“インスタ映え”を含むSNS活用のコンサルティングやインフルエンサーマーケティングが、彼女の経営していた会社の事業だという。まずはそこから、詳しく話を聞いてみた。
――具体的にどんな仕事なんですか?
「企業の公式アカウントの運用をするんです。代行ですね。それと、そういったSNSの活用法を企業にアドバイスするっていう、コンサルティングもしていました」
報酬はピンキリだったというが、当時SNS活用のアドバイスをしている企業があまりなかったこともあり、ビジネスとしては成立したという。だが、SNS活用における相応のスキルなり、ある程度の実績が認められない限り、そううまくはいかない気がする。

「そこで重要なのが、インフルエンサーです」
もう一つの事業、メインとなる「インフルエンサーマーケティング」が、その点を補うという。インフルエンサーとは、いわば、“影響力のある人”だ。
「はっきりした定義はありませんが、今だと大体フォロワーが5万人以上いる人をインフルエンサーと呼びますね」
そして、ひと口にインフルエンサーといってもその種類はさまざまだという。
「例えば、化粧品に強い人とか食べ物に強い人とか、その人自身のライフスタイルにファンがついている人とか、いろんなタイプのインフルエンサーがいます」

約1000人のインフルエンサーと業務委託契約をしていた
商品やサービスをPRしたい企業は、従来の宣伝広告に加え、こうしたSNSで影響力を持つ人を活用して情報を発信する。企業の広告活動は多くの場合、広告代理店を通して行われる。嬉野さんの事業は、広告代理店からの依頼を受け、業務委託契約をしているインフルエンサーの中からニーズに合った人を紹介し、仲介料を得るというものらしい。
「インフルエンサーの世界観とか、ついているファン(フォロワー)の層とかと、企業のニーズとをマッチングするんです。影響力が大きいほど企業からの報酬単価も上がります」
それがいわゆる「インフルエンサーマーケティング」だ
しかし、「影響力=フォロワーの数」という単純な話では決してないらしい。「ここが重要」とばかりに嬉野さんの口調に熱がこもる。
「フォロワーが多ければ良いということではなくて、普段どういった投稿をしているかとか、それに対する『いいね』やコメントの数などの“質”が問われるんです」
例えば、水着の写真ばかりをアップしている人やディズニーにばかり行っている人など、人目を引くキャッチーな投稿でフォロワーがたくさんついている人もいる。しかし、そういうインフルエンサーではなく、普段から何かについて細かく情報を発信している人を企業は求めるのだという。

「写真のクオリティももちろん大事」と嬉野さん
「でもそれ以上に、何かをレポしているような文章っていうんですかね・・・普段の投稿から、何かに特化して細かくコメントしている人が重宝されます」
そういうインフルエンサーには自然と、フォロワーからの「いいね」や具体的なコメントが多く寄せられ、いわゆるエンゲージメント率(直訳すると「絆」=フォロワーの反応の度合いを表し、影響力を示す指標)が高いために企業は起用したがる。

「インフルエンサーそれぞれの特徴を見極めてマッチングします」
そうして投稿の内容やフォロワーの反応などの“質”を総合的に加味してクライアントに紹介することで、徐々に信頼を獲得していった。
多くのインフルエンサーは、“需要と供給”を理解して発信することができるのだという。
「何が求められていて、何を発信したらフォロワーや『いいね』の数が伸びるのか、何をすればどんな反響があるのか」そういったことを論理的に考えてSNSを活用することができる。
約1000人にもおよぶインフルエンサーと業務委託契約をし、たくさんの投稿を見て分析してきた嬉野さん。自然と自身にもSNS活用スキルが身に付き、それが前述のコンサルティング事業にも結び付いたということだ。
「何かあったかいものを・・・」
わずか3年で会社を売却
彼女は「アールグレイ」(300円)を注文した。
すっかり緊張もほぐれたのか、「ミルクを足してください」とあどけない笑顔で付け加える。
順調にいっていた会社経営。売り上げは最高で月に1000万円を超え、自身への報酬も月100万円に達した。しかし、2019(平成31)年1月に彼女は会社を売却する。そのことが、彼女自身がインフルエンサーとして表舞台に出てくることへ繋がるのだが・・・
「アールグレイ(ミルク追加)」(撮影:嬉野ゆみ)
――なぜ会社を売却したんですか?
「うーん、そうですね・・・自分にしかできないことをやりたいって思ったんです」
自分にしかできないこと。
彼女は19歳にして起業し、経営者として歩んできた。そのこと自体、彼女にしかできないことではなかったのか。
「まあ、それもそうなんですけど・・・」
どことなく歯切れが悪い。
彼女は、会社を作り経営すること、すなわち経営者こそが、社会を変えられる、影響力のある人間だと信じてきたという。
「でも、インフルエンサーを1000人抱えているといっても、・・・私にフォーカスされることはないんですよ」
今やトップインフルエンサーともなると、個人だけで、一つの会社よりもお金を生み出し社会への影響力もある。そんな人に、自然と憧れるようになった。
――自分も表に出て有名になりたくなった、ということですね?

「そうですね。ひとことで言うとそうです」
彼女は恥じらいながらそう言って笑った。
しかし、その笑顔の裏には、会社売却の理由と密接に関わる、ある人物との別離があった。そして、その人物の存在が、嬉野ゆみさんの人生のターニングポイントに大きく影響していた。
高校2年生の秋――。彼女は大きな転機を迎える。








