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横浜・桜木町駅にある東横線廃線跡地の遊歩道計画は今どうなっている?

横浜・桜木町駅にある東横線廃線跡地の遊歩道計画は今どうなっている?

ココがキニナル!

桜木町駅付近の東横線の廃線跡地に遊歩道が計画されていますが、進捗が気になります!あと、遊歩道はどこまで続く予定なのか、旧高島町駅ホームはどうなるのかも調査願います(こーちゃさん、xvさん)

はまれぽ調査結果!

最終的に遊歩道は横浜駅まで続く予定だが、昨年7月の一部供用開始以降、延伸工事はまだ未着手。その間に二度行われた供用部分での活用実験をもとに、現在、残る箇所のデザインが検討されている。

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ライター:結城靖博

昨年2019(令和元)年7月16日に一部供用を開始した際、さっそく供用箇所を取材した(『東横線跡地の遊歩道、一部供用開始の現場を散策』)横浜~桜木町駅間の東横線廃線跡地遊歩道計画。
その後半年以上が経ち、今どのような状況なのか? まずは現地の様子を取材することから始めた。



現地の変化は測量機器の有る無しだけ!?



初めに東横線廃線跡地遊歩道の整備計画全体をおさらいしておこう。

 

赤いラインが完成された暁の遊歩道全道のり(
© OpenStreetMap contributors
 

横浜駅から桜木町駅を結ぶ全長約1.8km。普通に歩いて30分足らずか。ほどよい距離の散歩道と言えそうだ。

 

青いラインが昨年7月に供用開始した箇所(
© OpenStreetMap contributors
 

だが供用が実現された箇所は、わずか140メートルほど。全体の10分の1にも満たない。
それから8ヶ月後の2020(令和2)年3月半ば、天気も上々の桜木町駅西口広場に、筆者はふたたび足を運んだ。

 

遠く赤丸の円内に遊歩道へ続く階段とスロープが見える
 

ちなみに、この改札を出た西口広場から階段・スロープまでの距離は、やはり約140メートル。

 

供用部分の階段を上がると、見慣れた光景が広がっていた
 

人影が見えたのが少し嬉しかったが、遊歩道自体には8ヶ月前と変化を感じられない。

 

と思ってよく見ると、橋の向こうに三脚が
 

8ヶ月前の同じ場所には、ない(2019年7月取材時の写真)
 

近づいて見ると、道路工事現場などでよく見かける測量機器だった
 

しばらくすると測量技師らしき人が現れた
 

話を聞いてみると、未整備側のほうにも機器の三脚があって、向かい合わせにして距離や角度を測っているのだという。
「詳しいことはわかりませんが、遊歩道延伸工事のための基礎調査だと思います」とのこと。

供用済みの遊歩道上で8ヶ月前になかったモノは、この三脚ぐらいか。だが、基礎調査が行われているというだけでも「事は進展している」と言えなくもない。

フェンスの向こうの未整備区間に目を向けると、やはり見慣れないものがあった。

 

それは点々と置かれた大きな白い袋
 

未整備区間の仕切りフェンスにはこんな看板も
 

対してこちらは2019年7月の写真
 

8ヶ月前の未整備区間は線路脇に草がぼうぼうで、仕切りフェンスに看板もない。

測量技師の方によれば、今未整備区間には2つの業者が入っていて、自分たちは測量を請け負い、もう一方は「維持補修」の作業をしているそうだ。フェンスの看板はそちらの業者のもの。維持補修の具体的な作業は「草刈り」であるらしい。白い袋の中には刈った草が入っているとみられる。
技師さん曰く「早く草刈りが終わってほしい。そうすると測量がはかどるんだけど・・・」。
確かに、看板には「令和2年2月28日まで」とある。草刈りは少々遅延しているようだ。

いずれにしても、遊歩道の延伸工事はまだ未着手とはいえ、このようにそれに向けた準備は着々と進んでいることがわかった。



遊歩道を利用する市民の方々に話を聞く



供用箇所を再訪したのは平日の昼下がり。3月中旬ながら4月のようなポカポカ陽気で、気持ちのいい一日だった。
だがいっぽうで、新型コロナウイルスがさらに感染を拡大し、市内の小中高校がいっせいに休校している最中でもある。

そんな日の140メートルの遊歩道に、楽しげに駆け回る二人の子どもと、それを見守る若いお母さんがいたので、声をかけてみた。

 

元気に駆ける女の子。遠くに男の子の姿も見える
 

お母さんに話を聞くと、学校が休みで子どもたちが発散できる場所がないので、ここに来ているという。家が近くのため、休校になってからは天気のいい日に週2回ほど訪れているそうだ。お子さんは、上が9歳の女の子、下はまだ2歳の男の子。
「ここは人が少ないし、車の往来もなく広々としているので、安心して遊ばせられる」とお母さんは言う。もともと男の子のほうは電車が大好きで、以前から電車を見によくここへ連れて来ていたそうだ。

 

今日もいろいろな電車が目の前の線路をひっきりなしに通過する
 

「長いときで1時間ぐらい遊ばせている」という母子が帰った後、遊歩道をのんびりと歩く年配の女性が目にとまる。

 

女性はブラリブラリといかにも「お散歩中」の風情
 

行き止まりを確認して戻ってきた女性に声をかけると、快く取材に応じてくれた。

 

「毎日が日曜日なんでね」と笑う女性
 

お年を聞くと76歳。あんまり天気がいいから、南区の自宅から地下鉄に乗って散策に来たそうだ。
ここに遊歩道ができたことは知っていたが、上がってきたのは初めてとのこと。「きれいだし、眺めもいいし、気に入った」という。特に橋からの紅葉坂の眺めに惹かれたようだ。

 

「紅葉坂をこんな角度から眺めるなんて、なかなかできないものねぇ」と
 

「また、ちょくちょく来ることにするわ」と言って女性が去っていった後、紅葉坂の写真を撮っていたら、背中で「紅葉坂だよ!」と言う男性の声が聞こえた。
「それは知っていますが・・・」と思いつつ振り返ると、人のよさそうなおじいさんがニコニコしながら立っていた。

お年を聞くと先ほどの女性とほぼ同じ75歳。近くの病院に通うため旧東横線高架下の道をよく歩いているが、高架上の遊歩道の存在は今日初めて知ったそうだ。
「昔から横浜に住んでいるが、ここがこんな風になっているとは驚いた」という。
「すっかりこの辺りは変わっちまったなぁ。高架の上にはまだ廃線の線路が残っているのかと思っていたよ」

 

「昔はこの向こうに三菱の造船所が広がっていてねぇ」と感慨に耽(ふけ)る男性
 

かく言う男性も、かつて海岸通りにあった三菱倉庫に勤めていたという。「あそこも今は県警のでっかいビルが建っちゃってねぇ・・・」と話がどんどん転がっていきそうだ。

お話を伺ったお礼を言うと、男性も先ほどの女性同様、上がってきたスロープのほうへまた戻っていった。

 

スロープのほうへ後戻りしていく男性
 

そういえば、若い母子も「階段でバギーカーを上げられないから」と、スロープを使って帰っていった。供用開始部分は、紅葉坂側の端に階段しかないことが、ちょっとネックなのかもしれない。

そんなことを思いながらそろそろ現地に別れを告げようとしていると、学生服姿の男の子がスロープを上がってきたので声をかける。
通学の効率だけを考えれば、高架下の歩道を通るほうが早いに決まっているのに、なぜわざわざ上を通るのか不思議に思ったからだ。

 

しかも重たそうなリュックを背負って
 

話を聞いてみると、中学2年生の彼は、朝は高架下の道を通るが、帰りはいつも上の遊歩道を通るという。

 

「なんで?」と問うと、おもむろにポケットからカメラを取りだす
 

そして、カメラに保存されていた電車の写真を見せてくれた。少年は学校帰りにここで電車を撮るのを日課にしている「撮り鉄君」だったのだ。

 

今日も電車に向かって少年はカメラを構える
 

コロナによる外出自粛も影響しているとは思うが、決して人通りが多いとは言えない。とはいえ、各人各様の理由でさまざまな人がこの140メートルの道を利用していることを見届けて、遊歩道の取材を終えることにした。