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単独全国初制覇! 横浜市青葉区の桐蔭学園ラグビーの強さの秘訣とは?

単独全国初制覇! 横浜市青葉区の桐蔭学園ラグビーの強さの秘訣とは?

ココがキニナル!

昨年のラグビーワールドカップ開催でラグビー人気が盛り上がる中、1月7日に横浜の桐蔭学園が全国高校ラグビー大会で初の単独優勝を飾った。その強さの秘訣はなに?(はまれぽ編集部のキニナル)

はまれぽ調査結果!

スローガン「一心」のもと、あらゆる状況を想定して準備し、基本プレーをより厳しいレベルで徹底したことが、桐蔭学園ラグビー部の強さの秘密だった。

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ライター:星野 憲由

この春。新型コロナウイルスの猛威で、スポーツ界に明るい話題がなかなか入ってこない。しかし、今年の頭、横浜を熱狂させるチャンピオンが生まれたことを思い出して欲しい。



高校ラグビーで全国制覇を成し遂げた桐蔭学園



2020(令和2)年1月7日、大阪の花園ラグビー場で開催された第99回全国高校ラグビー大会において、青葉区にある桐蔭学園ラグビー部が、奈良の御所(ごせ)実業に23対14で勝ち、9大会ぶり2回目の優勝、そして初の単独優勝を飾ったのだ。これにより、春の全国選抜大会、夏の全国7人制大会に続き、2019年度の高校ビッグタイトルの3冠を手にしたことになる。

 

桐蔭学園ラグビー部の優勝を祝う優勝旗や優勝カップなど
 

高校ラグビー界は西高東低と表現され、関東のチームは勝てないと言われ続けていた状況の中、「全国大会決勝の常連校」「東の横綱」と呼ばれるまでになった桐蔭学園ラグビー部。なぜそこまで強くなれたのか、その強さの秘訣を調査したいと思う。
ということで桐蔭学園ラグビー部に取材を打診すると、試合に出場していた3年生は卒業になり新しいチーム作りを行っている時期でタイミング的には微妙だった。しかしチームを日本一に導いた藤原秀之(ふじわら・ひでゆき)監督が取材を受けてくださるということで、お邪魔させてもらった。



桐蔭学園校内はラグビー部優勝ムード全開!



桐蔭学園に到着すると、大学が併設されていることもあり、広い。そして下校中の生徒が何人も、筆者に「こんにちは!」と明るく挨拶をしてくれる。礼儀正しい生徒がスポーツ強豪校には多くいるようだ。
そんなことを思いながら歩いていると掲示板が目に止まった。

 

ラグビー部優勝を伝える記事が掲載されている
 

校内は、ラグビー部の優勝お祝いムードのようだ。
そして、目的地の校舎に到着。校舎はSF映画に出てきそうなモダンなデザインだった。

 

SF映画に出てきそうなデザインの校舎
 



優勝を手にした藤原監督の指導方針とは



応接室に通されると、間もなく藤原監督が現れた。さすが日本一を掴み取った監督だ。すさまじい迫力に圧倒される。

 

藤原秀之監督
 

藤原監督は、1968(昭和43)年生まれ。大東文化一高時代は全国選手権優勝を経験し、日本体育大学に進学。1990(平成2)年より桐蔭学園高校保健体育科教諭、ラグビー部コーチに就任。2002(平成14)年からは監督に就任し、2020(令和2)年で18年目。1996(平成8)年度に全国大会に初出場し、優勝2回(2010年度、東福岡との両校優勝)。今や「東の横綱」と呼ばれるまでに同部を育てた。

では、藤原監督に桐蔭学園ラグビー部の強さの秘密を伺っていく。

――本日は、お時間を作っていただきありがとうございます。そしてラグビー部の全国優勝おめでとうございました。この強い桐蔭学園ラグビーを作り上げた指導の基本とはどんなものなのでしょうか?

初めて準優勝したのは、14年前(40期)。そこから指導の方針は一貫しています。ただしベースは変えませんが、バージョンアップはしています。
うちは、ラグビーに対して、ベーシックなスキルを伸ばすことを重視しています。部員たちは高校を卒業し、将来的に日本代表を目指す者もいるでしょうし、地域のラグビークラブの指導者になる者もいるでしょう。選手として進化するにも、指導者として正しい知識を教えるにしても、どの道に進むにしても、基本はベーシックです。だからベーシックなものを身につけてほしいと思っています。

 

ベーシックを極めた先に手にした全国大会優勝旗
 

――おそらく他校も基本を大切にした指導をしていると思いますが、桐蔭学園ラグビー部は、全国優勝を手にしました。そこには、何か大きな違いがあると思うのですが、いかがでしょうか?

他のチームと正確な比較をしていないので、一概には言えませんが、ベーシックの質、こだわりについては、他のチームより強いかもしれません。キャッチの仕方、パスの仕方ですね。それに付随して技術や体力、ジャッジなどもありますが、それでもこの2つができて、初めてラグビーになります。

――もう少し具体的に伺ってもよろしいでしょうか?

例えばキャッチですが、アーリーキャッチというものがあります。ボールに向かって早く手を伸ばし、体より前でボールを受け取ることで、相手から一歩早くボールをキャッチする技術です。でも普通に手を出してボールを取りに行けば、ボールが向かってくるスピードと相反するので、ボールを弾きやすくなりますよね。
そこで、野球のグローブをつけてキャッチボールをするイメージでキャッチします。技術的には、手首を柔らかくして、手を下から上げるようにして掴みます。そういったベーシックなワンプレー、ワンプレーを徹底する指導を続けています。

――ワンプレーを徹底させるには、毎日、同じ練習を繰り返すのでしょうか?

テクニック、スキル、ジャッジなど、その日、その日で練習の内容は変えています。そのため基本的に曜日ごとに練習メニューは違います。一度に同じ練習を繰り返し集中してやることはありません。選手がその技術に対して練習が足りないと感じたら、それは自主練習をすればいいことです。同じ練習を何日も続ければ、確かに技術自体は身につくかもしれませんが、それは練習上手を作ってしまうだけです。実戦で活かせる技術にはならないと思っています。



昨年と今年の大きな違いはリスクマネージメントの充実度合



――昨年までは決勝へ進出しても優勝を掴むことはできませんでしたが、今年は優勝できました。これまでの練習と変わった点はないのでしょうか?

これまでも技術的な部分やメンタル的な部分が足りなかったということはないと思っています。むしろ違っていたのは、リスクマネージメントだと思います。今まで通りのことをしても今まで通りの結果しか出ません。結局、練習やミーティングを進化させないと、チームも進化しないのです。

 

花園ラグビー場で校歌斉唱にのぞむ桐蔭学園ラグビー部
 

――決勝では、前半でミスが続き、このまま崩れてしまうのではと感じましたが、後半は持ち直して逆転優勝しました。これもリスクマネージメントによるものでしょうか?

実は、前日のミーティングで、大量得点される状況は想定していました。
戦術的に、大量得点のビハインドで前半を終えることは想定内でしたので、自分も、選手も焦りはありませんでした。後半になって、自分たちのペースで試合を進めていけば、取り返せるという手応えはあったはずです。前半は、自分たちより、相手のほうが出来が良かった。たまたま点を取られたのも、こちらのミスですから。力負けして、やられたという感じではないんです。こういった決勝戦のようなビッグゲームほど、点差が開くこともありますし、何が起きるかわからない。だからこそ、すべてのリスクマネージメントをやりました。今回の大会に向けて、特にここに力を入れていたと思います。

 

高校ラグビー3冠がすべて揃った
 

――今年度は、その改善が的中して全国制覇を成し遂げました。来年については、今年の指導や方針を継続するということでしょうか?

今年のノウハウのママとはいきません。選手も違うので、指導法も変わってきます。基本は変わりませんが、常にリニューアルをして、進化はさせます。昨年のままでは、進歩がありません。ライバルが進化して挑んでくるのですから、こちらも進化しなければ、勝てません。