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根岸住宅地区が返還されたらどうなるの?

ココがキニナル!

米軍根岸住宅地区が返還予定と聞きましたが、その後あの土地はどうなるのでしょうか?(カタリナさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

今年3月を目途に地権者グループがまちづくりのための協議会設立に向け準備中。また、市と協議しながら新しいまちづくりの計画を検討している段階。

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ライター:松野 孝司

神奈川県は沖縄、青森に次ぐ“基地県”だった



神奈川県の米軍基地の面積は20.8k㎡、基地数は14カ所で、沖縄、青森に次ぐ“基地県”でもある。

沖縄では、普天間基地移設問題などで、基地撤廃や県内移設反対という民意が明らかになっているが、神奈川では、なぜ基地があるのか、基地で何が行われているのか、近隣住民が何を思い、どのような生活を送っているのか、基地は本当に必要なのか、といったことについて普段の生活であまり語られていないように思える。

さて、神奈川県にある14カ所の施設のうち、横浜市内には現在のところ
(1)鶴見貯油施設 
(2)横浜ノース・ドック
(3)上瀬谷通信施設
(4)深谷通信所
(5)根岸住宅地区
(6)池子住宅地区及び海軍補助施設
の6カ所の米軍施設がある。
 


横浜市内には6カ所の米軍施設がある(横浜市政策局基地対策課HPより)


もともとこれらは、第二次世界大戦後に進駐した連合国軍による接収から始まり、その後「日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約(旧安保条約)」批准を受けて、米軍がそのまま利用していたものだ。

今回のキニナルの依頼でもある「根岸住宅地区」を例にとると、接収されたのは昭和22年の10月16日。以来、現在まで60年以上も米国の管理下に置かれていることになる。
同地区は、在日米海軍の住宅施設とされ、米軍人やその家族の住居約400戸の他、消防署、教会、小学校、保育園、診療所などがある。

もちろん横浜市も神奈川県も様々な機会を通じて国に対して早期全面返還を要請していたというが、沖縄の基地問題を見ても分かるようにこの種の問題は一朝一夕で進まない。

ところが平成16年10月、日米合同委員会において、6施設(小柴貯油施設、富岡倉庫地区、上瀬谷通信施設、深谷通信所、根岸住宅地区、池子住宅地区及び海軍補助施設の横浜市域の飛び地)合計約376haを対象とする返還と池子住宅地区及び海軍補助施設の横浜市域への住宅など建設の方針が合意された。

さらに平成17年10月には、一部返還とされていた小柴貯油施設の陸地部分全域等の返還が合意され、市内米軍施設総面積約528haの約8割にあたる、約419haの返還が合意された。その後、平成17年12月には小柴貯油施設(制限水域の一部を除く)が返還され、平成21年5月には富岡倉庫地区が返還されている。

こうして時系列を追ってみると、ここ数年で事態が一気に進んでいるという印象を受ける。



国有地、市有地、民有地が混在するゆえに課題も



こうした流れを受け、横浜市では平成16年10月「横浜市返還施設跡地利用プロジェクト」を設置し、返還施設の跡地利用について検討を続け、平成18年6月には、「米軍施設返還跡地利用指針」をまとめた。

それによると、根岸住宅地区は、「ヨコハマの歴史・文化を伝える庭園散策空間」をテーマとした“まちづくり”が行われるというのだが、具体的にはどんなものなのだろうか。そこで横浜市政策局基地対策課に突撃取材を試みた。
 


現在の「根岸住宅地区」
パンフレット「かながわの米軍基地」(平成23年3月発行)より

 

赤枠内が「根岸住宅地区」
横浜市米軍施設返還跡地利用行動計画」より


「根岸住宅地区の特色や隣接する根岸森林公園の環境を活用しながら、接収の歴史・文化を伝える憩いの空間の形成を目指しています」というのは井上義晃担当課長。

具体的には米軍住宅地である西側部分は、接収の歴史・文化を伝える空間として、米国風住宅地の景観や雰囲気をできるだけ継承したり、隣接する根岸森林公園との一体利用をも視野に入れているという。
 


横浜市が計画している「ヨコハマの歴史・文化を伝える庭園散策空間」
米軍施設返還跡地利用指針」より


しかし、その実現のためにも同課が第一に考えているのが“地権者の想い”だという。

根岸住宅地区は国有地や市有地もあるが、やはり民有地の率が大きい。

接収も返還も日本と米国(連合国)の間で決まったことで、一般の地権者にとってはどちらも寝耳に水の出来事だ。その点では沖縄の米軍基地問題と根は同じだ。こうした背景を考えると、一般の地権者の気持ちに配慮するのは当然なのかもしれない。

「市としてはそうした歴史的背景を踏まえ、地権者の皆さんと協力してまちづくりを進める方針です」(井上課長)
 


「根岸住宅地区」の地権者の割合
パンフレット「かながわの米軍基地」(平成23年3月発行)より