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川崎のコンビナート地域の液状化問題は解決されたのか?

ココがキニナル!

東日本大震災で川崎市のコンビナート地域では深刻な液状化現象があったと聞きます。なぜ起きたのか、現在どうなっているのか、今後の対策はどうなのか…ぜひ調べてほしいです。(satomiさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

東扇島の西側は地盤がゆるいため、液状化が起きたと分析されている。現在は復旧しており、今後は「東日本大震災対策検討部会」において検討予定

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ライター:吉澤 由美子

東日本大震災は神奈川県にもさまざまな被害をもたらした。液状化現象もそのひとつ。横浜市では港北区小机町や金沢区柴町という住宅街で液状化の深刻な被害が出た。

川崎市でも、臨海地区で広範囲に液状化が発生。臨海地区には、危険物を保管しているタンクや倉庫、工場がある。

あれから1年。今回の液状化で、いったいどんな被害が出たのか、そして今後、予想される地震に対してどんな検討や対策を行っているのか、川崎市役所で詳しいお話をうかがった。

川崎市の液状化についてお話くださったのは、総務局危機管理室広域計画担当課長の増子講一さん、港湾局港湾経営部整備計画課課長の中井川吉春さん、港湾局港湾経営部整備計画課授業計画担当課長補佐の小松正さん。
 


左から、小松さん、中井川さん、増子さん




川崎市の臨海部で起こった液状化現象



液状化は、強い地震によって地盤が一時的に液体のようになる現象。地下水位が高い砂地盤で起こりやすい。埋め立て地や川の近くだけでなく、水田や池を埋め立てた場所などにも液状化の危険性がある。
 


川崎市直下の地震が起きた場合の液状化危険度分布※川崎市地震被害想定調査報告書(平成22年3月)
http://www.city.kawasaki.jp/53/53bosai/home/lib/higai/pdf/ekijyouka_zensi.pdf


液状化が起こると、地面の裂け目から砂まじりの水が噴き出す、基礎の浅い建物が沈む、倒れる、傾くといった被害が起こる。また、地中にある比重の軽い構造物(下水管や浄化槽等)が地上に浮き上がってくることもある。

水が噴き出した後は水分の抜けた分だけ地盤は固くしまり、全体に沈下する。固い地盤まで深く基礎が打ち込まれている場合は、建物には被害がなく、沈下した地面との間に隙間ができる程度で収まる。
 


東扇島の液状化現象跡 ※画像提供:横浜地方気象台


東日本大震災後、川崎市は早い段階で市道など公有地の液状化の調査を行った。その結果、臨海部の公園内と道路、緑道に陥没や亀裂、段差が生じているなど液状化の被害を確認した。
 


東扇島の公園の地割れ ※画像提供:横浜地方気象台


石油コンビナート等災害防止法に基づく通報義務がある施設からは、川崎臨海部の石油コンビナートにおいて16基の屋外タンクで浮き屋根などが破損したという通報があったが、これはいずれも液状化によるものではなく、長周期地震動に伴うスロッシング(タンク内部の液体が起こす液面揺動)による被害と分析され、対策が検討されている。

一方、臨海部にあって通報義務のない民間企業の敷地については「私有地には立ち入る権利がない」として未調査だったが、昨年8月に川崎臨海部立地企業117社に対してアンケート調査を行い、92社から回答があった。

液状化現象があったと答えたのは7社で、発生箇所は、川崎市川崎区東扇島に集中していたが、いずれも建物への被害はなかった。また、事業活動に影響がなかったのが4社、影響はあったがすぐに復旧できたのが1社で、影響があり復旧に時間がかかったのは2社であった。
 


東扇島の中心にある川崎マリエン10階展望台から眺めた西側


東日本大震災以前に「液状化対策を行っていた」のは19社。液状化対策を行っていない場合も、「構築物は基礎地盤まで杭を挿入しており液状化は問題ない」としたのが33社、「液状化しないと判定されたため」が10社、「想定していない(液状化しないも含む)」が15社、「対策を検討中もしくは今後行う予定」が3社だった。一方、「対策及び費用面で困難」と答えたのが8社、「優先順位が低い」も3社あった。

東日本大震災で広範囲に液状化現象を起こしながら、建物には液状化による被害がなかった川崎市臨海部。

今回のアンケートでは多くの企業が被害情報の提供などについて賛同している。これを受けて川崎市では、今後、被害情報を行政と企業などにおいて共有できる仕組みを作るべく関係機関と検討をはじめている。