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投稿エッセイの部屋「ヒトイキ」
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おばあちゃんのけんちん汁

大島真治(26)

 正月に富山の実家に帰り、久しぶりに母の手料理を食べた。我が家の味付けは総じて濃いめで、ご飯がよくすすむ。社会人になってから健康診断で食生活の注意を受けるようになり、最近は薄味の食事を心がけていた。揚げ物は控え、「減塩」表記のある商品をすすんで買うようにした。しかし、やはりそれでは物足りず、母の味付けが恋しくなることがあった。

 だから正月の数日間は非常に満足した。そんな私だが、唯一、薄味の大好物がある。それが、祖母の作るけんちん汁だ。これが我が家の中では異例なほど薄味で、でもしっかりと旨味がきいていてとてもおいしい。

 子供の頃は、「野菜ばかりで味の薄い汁」としか思っておらずあまり好きではなかった。でも成長するにつれ、濃い味のおかずばかり並ぶ食卓には、なくてはならない存在だと思うようになった。高校の頃は、何杯もおかわりして祖母を喜ばせた。

 そのけんちん汁を、もう何年も食べていない。母にはあのけんちん汁は作れない。作っても、やはりあの味にはならない。「レシピ通りに作っている」と母は言う。でも、やっぱりちょっと違うのだ。

 またあのけんちん汁が食べたい。だから、祖母には早く元気になってもらいたい。

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