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宮内庁御用達?戸塚区にある陶器メーカー「大倉陶園」、高品質へのこだわりとは?

ココがキニナル!

高級食器の大倉陶園が横浜市にある会社だと知りました。高級な理由とかいろいろ聞いてきてください。(Ichiさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

世界トップレベルの陶磁器食器を作りたいという創業者の思いを引き継ぎ、他社にない技法を継承し、美術的価値の高い製品を作り続けている。

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ライター:河野 哲弥

良きが上にも良きものを



矢崎さんによれば、株式会社大倉陶園は1919(大正8)年、旧・日本陶器のグループ会社として創業したそうだ。

この旧・日本陶器とはノリタケカンパニーリミテドの前身で、住宅設備メーカーのTOTO、セラミック製の絶縁体を製造する日本ガイシなど、陶磁器をサービスに応用した各企業とともに「森村グループ」を形成している。
 


大倉陶園創業時の理念を記した手記(同社資料より)


さて、創業者の1人である大倉孫兵衛(まごべえ)の手記を読んでみると、「商売以外の道楽仕事として、良きが上にも良き物を作りて」の一文が見受けられる。どうやら、創業当初から「美術陶磁器」路線を目指していたようだ。

この点について矢崎さんは、「優れた職人や技法など、良い物なら何でも、採算性を考えずに取り入れたと伝わっています。ほかのグループ企業が収益を上げていたからこそ、可能だったのかもしれません」と話す。
 


通常は非公開の展示室にて。奥の人物は孫兵衛の子息、大倉和親(かずちか)氏


そんな大倉孫兵衛・和親親子が特にこだわったのが、後に「オークラのホワイト」と呼ばれる、陶磁器の色の白さだ。その秘密は、陶磁器に含まれる主原料の1つ「カオリン」にあり、不純物が多いとそれだけ雑色が出てしまうのだという。
 


左端の白い固まりが「カオリン」


純度の高い「カオリン」は、鉱脈の中に点在しているため、機械ではなく人の手で採掘する必要があるそうだ。

こうして、世界に通用するようなメイドインジャパンの高級洋食器を目指した大倉孫兵衛氏だが、創業2年後となる1921(大正10)年、製品の完成を待たずに亡くなってしまう。
その翌年に出された「白磁薄肉彫蓋付菓子鉢(はくじうすにくほりふたつきかしばち)」が、同社の初窯作品となってしまった。
 


オークラのホワイトは、この菓子鉢から始まった(画像提供:大倉陶園)


ともあれ、卓越した職人技、1460度という高温を維持する設備と燃料費、素材などのさまざまな要素が、質問にあった「高級な理由」なのだろう。

しかし、それだけでは、愛好者が求めてやまない「何か」を説明するのに不十分と思える。次はいよいよ、その職人技の秘密に迫ってみたい。