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イトーヨーカドー本牧店裏にある謎の巨大なスペースは?

ココがキニナル!

イトーヨーカドー本牧店の裏に、隔離されたような短い”道路?交差点?”があるのですが、アレは何でしょうか。(マリンルージュさん/バンビさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

米軍の接収地時代には家族住宅が建っていた場所。区画整理において換地を集めた結果生まれた土地。現在はロケ地などとして使用されている。

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ライター:小方 サダオ

土地の所有者を探す



そこで土地の所有者を法務局で調べてみたところ、登記簿には、所有権は大蔵省(現・財務省)とあったため、財務省関東財務局横浜財務事務所を訪れた。
 


横浜地方法務局


担当者に現在の利用法に関して伺うと「一般的に未利用国有地は、地元地方公共団体(今回のケースでは横浜市、神奈川県)による公用・公共用での活用が優先される方針となっているため、今後の本地の処理方針については、現在、関係者間で協議を行っているところです。ただし、処理方針が決定されるまでの間は、国の財政収入確保の観点から、要望のあった者に対して、条件付で一時的に有償での貸付を行っています」と答えてくれた。
 


小港町二丁目100番の登記簿


担当者によると、この土地は、土地区画整理事業(道路、公園、河川等の公共施設を整備・改善し、土地の区画を整え宅地の利用の増進を図る事業)の結果生まれたもので、当時の状況については事業を行った横浜市が把握している、とのこと。そこで横浜市のホームページを確認してみた。

「この区画整理事業は、『新本牧地区土地区画整理事業』と称され、1981(昭和56)年度~1988(昭和63)年度に施工された。本牧地区は、1945(昭和20)年9月に米軍受託施設用地として接収され、1982(昭和57)年5月に日本政府に返還された。
 


接収地内の集合住宅の写真


しかし返還前には国有地、民有地が混在し、その位置も一体性がなかったため、返還後の土地利用は土地区画整理事業(集約換地=土地区画整理する前の宅地に換えて新しく配置される宅地のことを換地といい、複数の散在する換地を、土地の利用目的に合うように、特定区域に1ヶ所にまとめられること)を行う必要があるとして、市が昭和40年代以来、働きかけを行ってきた。

最終的には、1978(昭和53)年3月に地権者としての国(大蔵省)の区画整理事業へ同意があり、都市計画決定(1978〈昭和53〉年5月告示)がなされた。

土地利用計画は、センター地区、表通り(沿道)地区、集合住宅地区、低層住宅地区、サービス・工場地区の5 種類があり、これらの中から、権利者が将来の生活設計、土地活用の方法にあわせて換地の行き先を選択して換地の位置が決定された」とある。
 


小港町二丁目100番付近の衛星地図(Google mapより)


こうして1988(昭和63)年、大型商業施設・マイカル本牧などで知られる、新本牧地区が誕生した。

問題の土地は、散在する換地を、一定目的のために1ヶ所にまとめた結果できた集約換地された土地なのだ。



ロケーション・コーディネートの会社に話を伺う



ところでこの土地をロケ地として使用するのは、作者側として特別な理由があるのか知りたくなり、ドラマ『ようこそ、わが家へ』の関係者に、フジテレビの広報を通じて聞いていただいた。

すると広報の担当者は「制作者側がドラマのオープンセットを建てたいと希望した際、こちらの場所には過去にスペシャルドラマなどで使用された実績があったため、受け入れていただいたものです」と答えてくれた。
 


このロケ地は過去にドラマなどで使用された実績があるという(画像提供・フジテレビ)


インターネットで調べると、この場所は以前からもロケ地として使用されていて、ロケーションのコーディネートは、株式会社パシフィックハウスという会社が行っていることが分かった。

そこで代表の持田慶太(もちだ・けいた)さんに取材を申し込んだところ、系列会社の中区長者町にある、パシフィックスタジオという音楽スタジオで話を伺うことになった。
 


中区長者町にある、パシフィックスタジオ


ビルの中に一歩入ると、パチンコ店が目立つ外の喧騒とは別世界であった。上から太陽光が差し込む吹き抜けの空間に、ピアノとDJブースが目を引く、バーが併設されたラウンジで、話を伺うことにした。
 


太陽光が差し込む吹き抜けのラウンジ
 

パシフィックハウスの持田さん
 

まずは問題の空き地と投稿の“短い道路”に関して伺うと「あの土地は、映画やドラマなどの映像撮影のためのオープンセットスタジオとして『本牧バックロット』と名づけ、2005(平成17)年の12月から使わせてもらっています。約5000坪の敷地面積の土地が並んでおり、合わせて1万坪(約3万3000平方メートル、横浜スタジアムの約1.25倍)近くになります。また“短い道路”は、ロケのために当社でご用意した道路です」と答えてくれた。

 

パシフィックスタジオには、リハーサルスタジオとレコーディングスタジオがある


「本牧バックロット」と映像業界における撮影スタジオの現状に関して伺うと「以前私は東京で別の仕事をしていました。10年ほど前にテレビ朝日に依頼され、オープンロケ(屋外に設けたセットでの撮影)のできる用地を探していたところ、以前から本牧を訪れていた際に、お祭りなどが行われていたあの空き地が目にとまりました」

「そこで横浜市と本牧まちづくり委員会とともに、関東財務局に相談し、オープンセット用のスタジオとして使用させてもらうことになったのです。その後、横浜でロケーション・コーディネートの会社を立ち上げました」

 

オープンセット用のスタジオ(画像提供・フジテレビ)
 

「2009(平成21)年、中田宏(なかだ・ひろし)前市長の時のちょうど市政として『映像文化都市形成』を掲げていた時のことです。本来は国際大学が建つ予定でしたが、市としても本牧が映像制作推進の街として世界に打って出る可能性に賭けたのです」

「当ロケ地では、ドラマやCMやミュージックビデオなど、年に何十本もの作品が撮られています。ロケ地としてはTBSの緑山スタジオや東映のスタジオなどがありますが、『本牧バックロット』では使用者を特定しない、色のついていない全局が使える撮影所となることを願っています」
 


ロケ地のセットが周りの風景に溶け込んでいる(画像提供・フジテレビ)


「ロケ地に関してですが、街中でロケは難しいのです。街の風景は変わりますので、以前の撮影風景と変わってしまったり、使用許可も取りづらい場合もあります。そのためオープンロケの形で街を作るしかないのです」

「しかし現在東京では、オープンロケのためのスタジオの数が足りていません。映画やドラマなどの撮影の際、重要なのは同時録音を行うため、周囲の音が入りづらい、封鎖された空間であることです。『本牧バックロット』は面積が広く、出入り口が1ヶ所で閉鎖性があり、理想的です」

 

本牧バックロットはオープンロケにとっての理想的なスタジオだ(画像提供・フジテレビ)
 

「またスケジュールの過密なタレントにとっては、ロケ地が都内から近いことも重要です。本牧までは都内から1時間以内で到着します。当地は高速道路を下りてすぐなのも助かります。さらに周辺からの苦情など、セットトラブルを回避することが重要になってきます。本牧の場合は、周辺の方たちの協力のおかげでトラブルはほとんどなく、感謝しています」

「今まで『本牧バックロット』はジャニーズなど、主役級のトップタレントのドラマでオープンロケとしてよく使用しています」