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横浜中華街に再び太極拳おじさん登場!中華街で中国武術事情を探る・その2

横浜中華街に再び太極拳おじさん登場!中華街で中国武術事情を探る・その2

ココがキニナル!

前回の記事で横浜中華街の中国武術事情を追うべく武術用品取扱店へ突撃を開始した太極拳師範ライターが、まだ潜んでいるに違いないコアな世界を目指してすすむ!(ライター・結城靖博のキニナル)

はまれぽ調査結果!

横浜中華街で盛んな中国武術は、少林拳のような激しいものではなく、圧倒的に「太極拳」であるらしい。また、武術用品取扱店からは、中華街の歴史の面影が立ち昇ってきた。

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ライター:結城靖博

高級志向のプライドを感じるチャイナハウスカモメ
 
天宝堂をあとにしてさらに南門シルクロードを南下していくと、右手に太極拳ウェアを店先に吊るした店舗をみつけた。

 


店の前で太極拳ウェアがしっかり存在を主張している

 
おおっ、これはいいゾ!と一瞬思うが、通りから店全体を眺めてみると、どう見てもここは服飾専門店だ。
 


おまけに2階は占いの店。右手の階段がその世界へと客を誘う

 
とはいえ天宝堂の例もある。中に入ってみるまではわからない、と期待半ばで店に足を踏み入れてみると・・・
 


絢爛豪華なチャイナドレスがズラ~リ

 
やっぱりそこは、チャイナドレスがずらりと並ぶ服飾店だった。でもその手前には、ちょっとカンフーウェアっぽいものもあるので、気を取り直して店の方に声をかけてみる。


店は天宝堂からも近い

 
対応してくださったのは、30年ほど前の創業時から店に携わる女性店長の野山春子(のやまはるこ)さん。
まずは最初に気になったことを尋ねた。店名表示が「KAMOME MARKET」「カモメ市場」「チャイナハウスカモメ」といろいろなのはなぜ? そのわけを伺うと、この店の歴史が見えてきた。
 
初めは服飾専門店「チャイナハウスカモメ」としてスタートしたが、一時期、時流に乗ってさまざまな中国雑貨も扱うべく、店名を「カモメ市場」に(KAMOME MARKETはその英語表記)。とはいえ中華街には中国雑貨店があふれ、売り上げは徐々に縮小傾向に。そこでまた創業時の方針に返り、屋号も「チャイナハウスカモメ」に戻したという。以後、本格的なチャイナ服の専門店に特化して現在に至る。とはいえ、店の奥を覗くと、おや?と思う光景も。
 


店の奥はパワーストーンの店・喜石(キセキ)

 
「でも、この店も中華街では数少ない高級パワーストーンの店なんです。廉価なお土産用ではなく本物志向だからこそ、あえて通りから見えにくい奥に構えているんですよ」と野山さんは言う。
本物志向――そのプライドはもちろん主力商品のチャイナドレスにも貫かれている。一点一点お客さんのスタイルに合わせて採寸し、丁寧に仕上げる。さらに、チャイナドレスに欠かせない刺繍も、客のニーズに応じてオリジナル・デザインを中国に発注。
 


人気の桜柄の和風チャイナドレス。裏に刺繍を施すのも珍しいという

 
そうした一点物へのこだわりから、リピーターの客が多く、常連の中には、中国での映画祭で着るために日本ならではのデザインを注文した女優さんもいるという。
 
 
 
高級チャイナ服店の中国武術用品事情は?
 
なるほど、なんだか凄いなぁ・・・。しかし今回の取材目的はあくまで武術用品。そちらのほうは?と尋ねると、そのこだわりが、今、武術ウェアにも広がりつつあるとのこと。
 
太極拳ブームからか、最近は武術ウェアを求めて来店する人も増えてきた。その方々に、晴れの競技大会のための一点物の表演服を提供すること。今後はそちらの展開にも力を入れていきたいという。
「今用意できる一点物のもとになるウェアがこれです」と見せてもらったシルクの太極拳スーツ。「ここにオリジナルの刺繍を中国で入れて一生モノの表演服に仕上げるんです」
刺繍入りの値段が5万8000円(税別)ナリ。
 
自分が持っている太極拳ウェアと一桁違う!その高級ウェアを、せっかくだからとお願いして着せてもらったうえ、店長に写真まで撮っていただいた。恐縮デス。
 


高級表演服を着て太極拳のポーズ「単鞭(ダンビェン)」を決める筆者

 
ちなみに、武術ウェアで最近売れ筋のものはこれだ。綿・麻混合で涼しくて着心地が良く、昨年の夏によく売れたそうだ。
 


カモメブランド・オリジナルの綿・麻混合太極拳ウェア

 
ほかの武術用品といえば、カンフーシューズと太極扇ぐらい。いわばこれも服飾品の一部だ。つまり、あくまで服飾専門店である。だが、他店で入手できない高品質なオリジナル・ブランドにこだわる武術ウェアの店、という意味では、ここも中華街で特筆すべき中国武術用品取扱店の一つだろう。そんなことを思いつつ、白い太極拳スーツを汚さないように恐る恐る脱いで店をあとにした。
 
 
 
嗚呼、エバーグリーン貿易よ、カムバック!
 
実は、今回の取材で真っ先に訪れたかったのは、長安道沿いの激レア武術用品専門店「エバーグリーン貿易」だった。この店には筆者も以前からよく通い、店主とも顔なじみだ。武術愛好者なら知る人ぞ知る老舗にして、中華街で今やほぼ唯一と言っていい武術用品専門店である。


店舗は横浜中華学院の敷地内

 
ところがこの店、今年2019年3月一杯で、約半世紀の歴史に幕を閉じることになった。同店が入っている建物が横浜中華学院の敷地内にあり、同校が建て替えて別の用途に使用することになったのだ。同じビル内の右隣りにあった重慶飯店(じゅうけいはんてん)別館は昨年の7月で店をたたみ、すでに工事に入っている。
今回取材を申し込んだものの、頑固一徹(だからこそ信頼がおけた)老店主から取材を断られた。でも、あの独特なオーラを発する店舗の雄姿だけでも、まだそこにあるうちに紹介しておきたいとお願いし、外観だけだが撮影の許可をいただくことができた。
 


「シンディケート」の文字がドキリとさせる店舗外観

 


「功夫武術用品センター」の表示が武術愛好者の心を揺さぶる

 
店主曰く、「一応中華街のなかで別の場所も探しているけど、自分ももう歳だし、今の時代、こういう専門店は難しいよ。だから次に店を開ける場所が見つからなくてもいいと思ってるんだ」。
 
実に残念なことだが、これも今の中華街の現状の一つと思い、記録にとどめておく。
 
 
 
取材を終えて
 
2回の掲載に及ぶ横浜中華街のなかの武術用品取扱店の取材でわかったこと――もちろんその一つは、取材の目的である中国武術事情だ。どうやらこの街では、中国武術といっても圧倒的に太極拳が主流であるらしい。とはいえ武術事情の貴重な情報も得られたので、今後は店舗取材からリアルな武術の現場へ視点を切り替えたい。中国武術事情探訪は続くのである。
 
いっぽう、武術用品を取り扱う店が雑貨店や服飾店であり、また歴史を重ねた店が多かったことから、別の発見もあった。それは、本来の横浜中華街は単なるグルメタウンではなく、中国から日本に来た人々が中心になって、長い年月の中でさまざまな工夫を凝らしながら生き続けてきた「生活の街」だったということだ。
 
取材させていただいたお店の経緯を尋ねると、そんな中華街の歴史の面影が色濃く立ち昇ってくるようだった。
 
 
ー終わり―
  
  
取材協力
 
天宝堂 シルクロード館
住所/横浜市中区山下町80
電話/045-641-6333
営業時間/午前10時30分~午後9時(土・日午後10時)
定休日/無休
公式サイト/http://www.tenpodo.com
 
チャイナハウスカモメ
住所/横浜市中区山下町187
電話/045-641-4404
営業時間/午前10時~午後8時
定休日/無休
公式サイト/http://www.f-kamome.co.jp

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  • 結城さん、取材がとてもよかったです。伊東俊彦(楊名時太極拳大和教室)

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