神社なのに100年以上前からある立派な釣鐘? 都筑区南山田にある「山田神社」とは?
ココがキニナル!
都筑区南山田にある「山田神社」には、お寺にあるような大きな「釣り鐘」があります。釣り鐘は神社ではあまり見ないと思いますが、どのような由来のある釣り鐘なのでしょうか?(ねこぼくさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
1910年に近隣の神社が合併し、妙見社という神仏習合の神社が建っていた場所に山田神社が建立された。釣鐘は妙見社のころから設置されていた。
ライター:小方 サダオ
元日の山田神社を訪問
山田神社の釣鐘は正月の参拝者が鳴らす、という。
そこでその音を聞いてみたいと、元日に訪れてみた。
松飾りの施された鳥居
前回は長い参道と静かなたたずまいが印象的な山田神社であったが、今回は参道には大勢の参拝者の行列ができていて、その様子は一変していた。
そして行列の先の社殿の方からは、「ゴーン」という釣鐘の大きな音が響いている。
参拝者たちの長い行列
梵鐘堂の前に行列ができている
鐘突きの様子※クリックすると動画が再生されます
鐘をついていた子ども連れの若い男性の参拝者に伺うと「鐘がつけて、お寺と神社の両方の雰囲気が味わえるので、毎年参拝に来ています」と答えてくれた。
社殿の前に吊るされた鈴が”ガラガラ”と鳴り、”パンパン”と柏手が打たれる。
そこに梵鐘の”ゴーン”という重厚な響きが混じる・・・。異質な雰囲気ではあるが、神仏習合時の神社の雰囲気はこのような感じだったのかもしれない。
神道と仏教の両方の神のご利益を得られそうな感じもした。
社殿前に並ぶ参拝者
そして社殿内では、ちょうど歳旦祭が始まった。
総代の栗原貞夫(くりはら・さだお)さんと服部睦義(はっとり・むつよし)宮司にご挨拶をすると、歳旦祭の様子を拝見させていただくことにした。
約10名の氏子が本殿前に並び、太鼓を鳴らした後、宮司の祝詞がはじまった。
続いて宮司が大麻(おおぬさ)という道具で本殿や参列者をお祓いした後、祝詞を唱え、参列した3町内の氏子たちが宮司から榊の枝を受け取り、町内の無事を祈願し本殿にお供えをした。
色とりどりの野菜が奉納された本殿
総代の栗原さん(左から4番目)と服部宮司(一番奥)と氏子の方たち
厳かな雰囲気を持つ神道の儀式の中、外から響いてくる力強い梵鐘の音が、山田神社ならではの歳旦祭のありがたみを感じさせた。
次に歩いて10分ほどの距離にある長泉寺を訪れた。
「妙見山長泉寺」とあり、この地一帯が妙見信仰の地であったことが伺えた。
妙見山長泉寺
長泉寺の梵鐘堂
そして後日、総代の栗原さんに、改めて妙見信仰などについて、お話を伺った。
まず釣鐘が神社にあったことに関しては「山田村には神社の合祀前、妙見社と神明神社がありましたが、この2社の別当寺(神仏習合に基づき神社に付属して作られた寺)が、長泉寺であったことが関係しているかもしれません」
「釣鐘に関しては、1代目は盗賊に盗まれたと言われ、2代目は社殿に安置されているものです。そして3代目は元来表面の文字が薄く、あつらえたものではなかったため、これを下取りとして代わりに現在の4代目を京都の半鐘屋より購入しました」と答えてくれた。
また神仏習合時代に神社にあった釣鐘は、明治の神仏分離令によって破棄される場合があったにもかかわらず、妙見社に残されていた理由に関して伺うと「その理由は分かりません」と答えてくれた。
山田神社の神池に関しては・・・
山田神社の神池
「明治時代、神社が合祀する時に、諏訪神社の神蛇が服部神官の夢枕に現れ、棲息する池を求めたため、山田神社の鎮座する山に掘った池です。水量が豊富でいくらでも湧水が出ました。以前は周囲にあった田んぼに亀が住みついていて、その亀を神の使いとして神池に放していました。また、山田神社には亀の絵馬が多く奉納されています」と答えてくれた。
またこの地が妙見信仰の地である理由を伺うと「理由は分かりませんが、このあたりは緑豊かな地であったため、昔は星がよく見えました」と答えてくれた。
山田神社に奉納されていた絵馬の複製
ここが自然に恵まれた場所で、夜空に現れる星々を身近に感じられたことで、北辰妙見信仰が盛んな地となったのかもしれない。
取材を終えて
仏教では梵鐘の音を聴くことによって、浄化され煩悩の執着を断ち切ることができる、といい、神社の鈴も祓い清める効果がある、といわれる。
山田神社は神仏習合の時代の、霊験あらたかなパワースポットといえるのではないだろうか。
神仏習合時代の神社の名残りを残す山田神社
ー終わりー
おとべえさん
2016年10月03日 00時32分
山田神社は眼病の平穏に結びつく(眼病治療にご利益がある)...という信仰があって、江戸時代には大勢の人が参拝に訪れたていたと子供の頃に聞きました。近年ではその信仰も廃れてしまったみたいですが。神池は子供の頃「亀の子池」と子供達は呼んでいて、近所で捕まえた小さな亀(ゼニガメなど)を池に離していました。懐かしいです。
∵さん
2016年01月23日 20時01分
この辺りは中原街道の改良で、この10年くらいでかなり変化した一角ですね…(百石橋とのちめ不動の間の交差点とか、最近だと勝田橋の付け替えなど)。前を通るとき、いつも立派な鳥居だなあ…とは思いつつスルーしていました。奥はかなり深いようで、探索に行くが楽しみです。
notarotachiさん
2016年01月20日 11時58分
神奈川県には鐘のある神社、結構多いとおもいます。県央ではよく見かけますし、市内では泉区でも見つけました。分布がわかればおもしろい結果が出そうですけど、調べるのは大変そうですね。