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クイーンズスクエア横浜のパブリックアートが造られた理由とは!?

ココがキニナル!

クイーンズスクエア横浜のエスカレーターの横に、でかいパブリックアートがありますが、なんであんなものを造ったんでしょうか?(はまろうさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

「みなとみらい21 街づくり基本協定」で新しい建築物を建てるとき、その場にアート作品を設置することが定められているから!!

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ライター:吉川 ゆこ

何だこりゃ…とクイーンズスクエア横浜を訪れた人の多くが思ったに違いない、地下1階から4階までの壁一面を使ったアート作品。アメリカのコンセプチュアル・アーティスト、ジョセフ・コスースの「The Boundaries of the Limitless」がそれだ。
 


御影石でできている作品。横幅14m、高さ22mととにかく巨大


エレベータを使って上に下に。
周辺にいた人と話してはみたものの、誰もその作品の意味を理解してはいない。

ネオン管で外国語が浮かび上がっていて、その上に日本語訳が記されている大きな作品を見上げても、やはり答えは返ってこなかった。

そこで、クイーンズスクエア横浜が誕生した1997年当時を知るT・R・Y90事業者組合事務局の浜崎文典事務局長に話を伺うことにした。
 


「景観、そして人。みなとみらいには他のどんな街にもない魅力がある」と熱く語る浜崎事務局長




わからないからおもしろい



―まず、アート作品をクイーンズスクエア横浜内に設置したのはどうしてですか。
それは「みなとみらい21 街づくり基本協定」で、新しい建築物を建てるとき、その場にアート作品を設置することが定められているからです。ここには全部で9点設置されています。

―そこでコスースの作品ですが、初めて目にした方にとっては驚くくらい大きいですね。
ちょっとイメージしてください。コスースの作品があのスペースに設置されていなかったとしたら、どうですか。

―ただの、だだっ広い壁があるだけという状態になりますね。
そうでしょ。あれだけ大きなスペースに何も装飾しなければ寂しいですし、かといって少々の作品ではスペースに負けてしまいますよね。「あのスペースにふさわしい作品をつくれるのはコスースしかいない!」と、作品の選定に携わっていた方が白羽の矢を立てたそうです。

―そうした経緯があったにせよ、コスースの作品はどうもわかりづらいという声を耳にします。
そりゃもう、設置した当時は問い合わせが殺到しましたよ。「あの作品は何の意味があるのか」と。それから、原文はドイツ語で書かれているのですが、「和訳が違う」というご意見も多かった。ドイツ語の先生にちゃんとお願いして和訳しているのですが。

―そう伺っても、どうも日本語訳にたどたどしさを感じますが。
その答えになるかどうかはわかりませんが、どうもコスースは原文の言葉の意味や並びに忠実な日本語訳をと望んでいたようです。たとえば英語の「I Love You」を日本語訳すると「私はあなたを愛している」ですが、原文の言葉の並びに合わせると「私は 愛している あなたを」となる。だから、何となく落ち着きのなさを感じるのかもしれません。
 




【日本語訳全文】

樹々は成育することのない
無数の芽を生み、
根をはり、枝や葉を拡げて
固体と種の保存にはありあまるほどの
養分を吸収する。
樹々は、この溢れんばかりの過剰を
使うことも、享受することもなく自然に還すが、
動物はこの溢れる養分を、自由で
嬉々とした自らの運動に使用する。
このように自然は、その初源から生命の
無限の展開にむけての序曲を奏でている。
物質としての束縛を少しずつ断ちきり
やがて自らの姿を自由に変えていくのである。



―これは詩ではなくドイツの詩人、フリードリッヒ・フォン・シラーがデンマーク王子アウグステンブルク公にあてた手紙『人間の美的教育について(の手紙)』の一部を抜粋したものだそうですね。なぜ、手紙の一部を作品に?
それはコスースのみが知っていることですからわかりません。ただ、コスースはコンセプチュアル・アートの大家です。コンセプチュアル・アートは、その作品を見る側に『これは何なんだ!?』と思わせ、議論させることが一つの目的だそうです。だから、その作品の意味を理解するのではなく、見る側がいろいろと思いをめぐらせて、自分なりに解釈すればいいんじゃないかな。

―それこそが、コンセプチュアル・アートだと。
そうだと思います。コスースの作品は、今も見る側にインパクトや疑問を投げかけている素晴らしい作品だと思います。

―それだけ興味をもたれているということですからね。
クイーンズスクエア横浜が誕生してすでに14年が経っているのに、こうして興味を持たれるなんて嬉しいですし、これが作品の力なのだと思います。

日本語訳を読んでみると、自然や動物、そして人の共存や循環といったことについて書かれているのかなと感じた。これが詩ではなく手紙とは何ともロマンチックだ。