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ちょっと凝ったつくりの元町・中華街駅ホームは誰が作った? そして高すぎる天井の電球はどうやって交換しているのか、徹底調査

ココがキニナル!

元町・中華街駅のホームのほぼ中央はかなり天井が高くなっていますが、あの上の照明の交換はどのように行っているのか、行くたびにキニナルので横浜高速鉄道に取材してください。(ロイヤルさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

高さ13.5メートルの天井に設けられた照明には電動昇降機が付いており、電球交換やメンテナンス時には手が届く高さまで下ろして作業している

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ライター:菱沼 真理奈

2004(平成16)年2月1日に開通したみなとみらい線、その終着駅「元町・中華街駅」。1日の平均乗降者数は6万394人(2013年度/神奈川県勢要覧)で、みなとみらい線の駅では横浜駅、みなとみらい駅に次いで第3位。

駅周辺には横浜中華街や元町をはじめ、山下公園、港の見える丘公園、外国人墓地など、横浜を代表する観光スポットや外国人居留地時代の歴史的遺産が点在し、国内外から訪れる観光客にも多く利用されている。

 

全線が地下を走る、みなとみらい線の終着駅「元町・中華街駅」地上出入口(5番・元町口)
 



開放感あふれる壮大な地下空間



中華街マニアの筆者も同駅をしょっちゅう利用しているが、10年前の開通直後、初めてプラットホームに降り立った時の驚きと感動は今でも鮮明に覚えている。
「ここが地下のホームなの!?」 

アーチ型をした吹き抜けの天井は見上げるほど高く、地下駅とは思えないほど明るく開放的な大空間を創り出している。アーチの壁面には居留地時代の雰囲気を伝える巨大な写真が浮かび上がり、過去と未来をつなぐ壮大な時空間を漂っているような気分に。

 

メタリックな輝きに包まれた近未来的な地下空間
 

天井に浮かび上がる居留地時代の街並みと黒船
 

上階のコンコースとプラットホームを結ぶエスカレーター
 

そんな大空間のスケールを肌で体感できるのが、中華街方面のコンコースに続く長いエスカレーターだ。今でもエスカレーターに乗るたびに、何ともいえないスペーシー感にテンションアップしてしまう筆者。エスカレーターの周囲に壁や柱がないので、宙を漂っているような独特の浮遊感があり、眺望もパノラミック。特にコンコースからプラットホームへ下っていく時は、途中で突然視界が開けて大空間がバ~ンと出現し、ちょっとドラマチックですらある。

 

改札口のあるコンコースから
 

下りエスカレーターに乗って
 

プラットホームへ下りていくと
 

はるか下に電車が見え
 

いきなり目の前の視界が一気に開けて
 

プラットホームに到着
 

そして、ふと天井を見上げると、はるか頭上に一列の照明が・・・。
確かに、ここまで高い場所に設置された照明の電球は、ちょっとやそっとでは交換できないだろう。高所用の電球交換グッズ(長い棒の先に電球キャッチが付いている器具とか)や脚立どころでは到底話にならないし、この高さまで足場を組んで交換するというのもかなり大変そうだ。う~ん、どうやっているんでしょう??

 

アーチ中央の一番高い所に並んだ照明器具
 

さっそく横浜高速鉄道本社へ伺って、ちょっとキニナル“その方法”をズバリ聞いてみた。



横浜高速鉄道本社へ突撃取材!



横浜高速鉄道本社は「元町・中華街駅」元町口のちょうど真上(ビル2階)にある。お話を伺ったのは経営管理部総務課長の糸口剛(いとぐち・つよし)さんと、運輸部施設課電気係長兼電力指令長の吉見寿治(よしみ・としはる)さん。お忙しい中、ちょっと唐突なキニナル質問に、笑って快く応じていただき感謝するばかりである。

 

取材に応じてくださった糸口さん(左)と吉見さん
 

ということで、遠慮なくズバリ質問をぶつけると、「照明器具が天井から降りてくるんです」と直球で答えてくださった吉見さん。照明器具に電動の昇降装置が付いていて、電球交換時は操作パネルで照明器具を手が届く高さまで下ろし、交換作業が済んだらまた元の高さまで戻すという仕組みになっているんだとか。
言われてみれば「なるほどね」と納得しつつも、そんな装置があるとは知らなかった。吉見さんによると、同線の新高島駅や馬車道駅の天井照明にも同じ昇降装置が付いているそうだ。

照明の電球は切れていなくても、1年に1回、定期的に交換しているとのこと。交換作業は終電から始発までの間に終えなければいけないため、一度に駅内すべての電球を交換していると間に合わない。そのため、交換作業やメンテナンスは年間を通してブロックごとに順次行っていくという。

 

地下の大空間を明るく照らす水銀灯と蛍光灯
 

ちなみに、プラットホームの天井高(一番高い部分)は13.5メートル。みなとみらい線の駅の中では一番高い天井だそう。
照明器具は特注のデザインで、光源には1台250ワットの水銀灯が使われている。

また、天井ドームの壁画にも蛍光灯で照明を当て、街並みのグラフィックを浮かび上がらせるとともに、白い壁面に反射した光がプラットホーム全体を柔らかく包むことで、地下の密閉感や圧迫感が抑えられているという。プラットホームのひときわ明るい開放感は、照明からも演出されていたのだと納得しきり。

 

乗客が利用する場所だけでなく、壁画にも照明が当てられている
 

やはり、ここまで来たら照明器具が昇降している様子をこの目で見てみたい。無理を承知で「今すぐ見せていただけますか?」とお聞きしたところ、電車の運行時間中はダメだが、深夜のメンテナンス時なら吉見さん立会いのもと見学OKとの嬉しいお返事が。

次回のメンテナンスは約1ヶ月先とのことで、ひとまずそれまで待つことになった。これはかなり楽しみ!



駅全体が「グラフィカルな一冊の本の空間」に



照明のお話を伺ったところで、この機会に、同駅の独特な世界観を創り上げる空間デザインについても取材させていただいた。

みなとみらい線の5駅(横浜駅を除く)は、各駅に異なるデザインコンセプトがあり、それぞれに建築家やデザイナーが違うのも特徴だ。
ここ元町・中華街駅のコンセプトは「グラフィカルな一冊の本の空間」。駅空間のコンセプトデザインは、グラフィックデザイナーの松田行正(まつだ・ゆきまさ)氏と編集者の鈴木明(すずき・あきら)氏、駅舎の設計は建築家の伊東豊雄(いとう・とよお)氏が手がけている。

 

地下2階のコンコースもアーチ型天井の開放的な空間
 

駅のプラットホームやコンコースには1メートル角の陶板(大型タイル)3500枚が張り巡らされ、明るく輝く純白の空間をデザイン。陶板には居留地時代以来の街並みや文化・風俗を伝える図版が、デジタル処理の写真製版によって焼き付けられている。

駅内に散りばめられた全194点の図版は、横浜開港資料館の所蔵史料提供・監修によるもので、駅全体が開港当時からの歴史博物に関わるガイドブックの役割を果たす、つまり「本の駅」という訳だ。

 

プラットホームの壁一面に広がる居留地時代の街並みの風景
 

プラットホームの壁一面には居留地時代の様子を伝える60枚の絵ハガキをつなぎ合わせて配し、ひとつながりの街並みのように構成。海側(北側)の壁面には海岸通や大さん橋などの港の風景、陸側(南側)の壁面には元町・中華街、前田橋・谷戸橋など駅の上を流れる堀川の風景を配置。地下駅では見られない地上の風景と、それぞれの地区への方向を暗示しているという。

 

コンコースの壁面にも多彩な図版が配されている
 

中華街口付近の壁面には、戦前の中華街の街並みや祭りの風景が
 

コンコースや改札口付近には、日本で初めて取り入れられた横浜発祥のモノやコトの図版を配置。鉄道や乗り合い馬車といった乗り物、ガス灯や下水道といった都市計画にまつわるモノ、電話や新聞といったメディア、職業や施設、食べ物やスポーツに至るまで、居留地時代から先進的な文化を取り入れてきた横浜の姿が博物館のように紹介されている。

 

こちらは電話機。何ともクラシカル
 

当時のミルクホールの広告。ちょっとカワイイ
 

そのほか、コンコースの階段やエスカレーター付近には、戦前の絵はがきや写真から人の姿を切り抜き、当時の生活の様子を表現した等身大の人物写真も。洋装の夫人や和装の庶民、馬を引く子どもや甘酒の売り子など、登場する人物は全部で32人。「駅のあちこちで、いろんなイデタチの昔の人に出会えて、ちょっと面白いですよ」と糸口さん。

 

階段の途中で遭遇したイケメン
 

駅の中を歩き回っていると、階段の途中やエスカレーターの壁に突然人の姿が現れ、思わず「おおっ」とのけぞってしまうはず。ほぼ等身大なのでリアル感もたっぷり。探検気分で全員探してみるのも楽しいかもしれない。

 

このオジサマはかなりインパクトがあった