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横浜市内に民家の井戸はどれくらいある?

ココがキニナル!

横浜市内の一般家庭が庭などに飲料用の井戸を掘るにはどうすればいいですか?(費用や、届出など)(jckさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

自宅の庭に井戸を掘るためには申請は必要なし。ただし地下水の飲用はオススメせず。費用は民間業者で110万円ぐらいかかる。井戸の数は約2681個以上

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ライター:すがた もえ子

キニナル投稿を見ていたら「井戸を掘るにはどうしたらいいか」という内容の物が目に留まった。

震災の時に緊急時の水を確保する手段のひとつとして、災害用井戸が一躍注目を集めたが、そういえばどうやって井戸を掘るんだろうか? 水道設備の行きわたった昨今「今度うちに井戸を掘るんだ~」という話は聞いたことが無い。

 

自宅に井戸!?
 

そもそも掘ればどこからでも水が出るんだろうか。考えてみたらものすごくキニナってきたので、調べてみることにした。



個人で井戸が掘れるのか!?



というわけで、地下水に関する業務を執り行う横浜市の環境創造局環境保全部水・土壌環境課にお話を伺うことに。

 

水・土壌環境課の入っている中区にある関内中央ビル
 

残念ながら写真はNG
 

今回は水・土壌環境課の担当係長と、横浜市健康福祉局健康安全部生活衛生課生活衛生(以下、保健所)の係長にご対応いただいた。

まずは率直に「自宅に井戸を掘るためには、何か許可が必要か?」と伺うと「家庭で井戸を掘る場合は、同課で管理している井戸の対象外になってしまいます」という答えが返ってきた。

 

法令等の地下水採取規制の比較(横浜市HPより)
 

水・土壌環境課が取り扱っている地下水採取に対する規制は、「横浜市生活環境の保全等に関する条例」と「工業用水法」と「温泉法」の3つがある。「横浜市生活環境の保全等に関する条例」と「工業用水法」は水・土壌環境課の所管、「温泉法」は各区生活衛生課(保健所)の所管になる。

そのため事業に用いる井戸水ではない家庭用の井戸は市の条例から除外され、家庭で井戸を掘る場合は申請する機会がないのだとか。

ただし、使用した水を排水する場合は、公共下水道に接続するための土木的な基準や、排水の水質の基準、排水処理料金(一般的にいう下水道代金)、そのほか公共水域(河川など)への排水の水質基準などの適正な手続きが必要になるという。

それでは「井戸を掘りたい人は勝手に自宅の庭などに掘ってしまってもいいのか?」と伺うと、規制のしようがないというお答えが返ってきた。

 

手押しポンプの井戸のイメージ(画像/ Rs1421:Wikimedia Commons)
 

規制がないからといって井戸をたくさん掘ってもいいかというと、そういうわけでもない。多くの人が井戸を掘るという事態になれば市も対策をとる必要があるが、現状は特に対策をとるような段階ではないということだった。

市民が井戸を掘り、生活用水として利用すれば水道代の節約というメリットがある。飲料用にも利用すれば、水道代はほとんどかからないのではないかと思うのだが、「保健所としては地下水を飲料用として飲むことをおすすめはしていません」と、担当者は語る。

 

市としては生活用水利用をすすめている(画像/ Corpse Reviver:Wikimedia Commons)
 

横浜は都心部でもあり、地下水脈の周辺環境(工場など)が、地下水にどういう影響を及ぼしているのか分からない状況だという。環境創造局では定期的に地下水の水質検査を行っているが、時々基準値を越える規制物質が検出されることがある。地下水を利用している井戸が周辺にないか地区の保健所へ問い合わせをすることがあるそうだ。

市としては周辺環境の影響もあり、飲料用として地下水の水質を安定させることは難しいと考えている。化学物質を扱う事業者などから化学物質が地下に浸透した場合に、地下水に影響を与えることもあるためだ。

 

1939(昭和14)年に描かれた病原菌が井戸を汚染しているイラスト(フリー画像より)
 

細菌的なものであれば基本的に煮沸をすれば大半は殺菌できるが、一方で化学物質は、煮沸しても飲める水としての保証はできない。保健所にもまれに地下水の飲用について相談があるが「“おすすめできません”と回答をさせていただいています」とのこと。

周辺環境の影響もあるので「処理していない地下水を飲用していいかどうかの判断が難しいためです」と保健所の担当者は語る。目に見えない化学物質などは検査しないと分からないからだ。

相談窓口は、保健所というより各区役所の福祉保健センターにある生活衛生課で相談を受けることが多いそうだ。

 

地下水は飲料用にはオススメしていない
 

地下水を飲料用とするためには、適切な方法で浄化処理をし水質検査をする必要がある。飲料用として適しているかを判断するには、51項目の水質項目をクリアしないといけない。

 

水質項目の一部(横浜市HPより)
 

浄水処理をしない地下水は、調査時点で水質項目をクリアしていても、検査時の水質がずっと続くという保証はない。

また、地下水の水質検査は行政では行っていないため、検査を行う場合は民間の調査機関に調べてもらうことになる。

 

市のHPに掲載されている水質検査機関はこちら
 

水質検査については、厚生労働省から水質検査機関として登録を受けている民間業者や公益財団法人などがあり、飲料用として井戸水を利用したい場合はこうした調査機関で水質検査を行い、飲用基準をクリアすることが必要となる。

飲料用利用となると保健所へも申請が必要であるが、飲み水以外のトイレなどの洗浄水などのみの利用であれば保健所への申請は必要ない。しかし、第三者に井戸水を供給する場合、事業用としての井戸を掘るための申請や義務付けが発生する。

マンションなどで入居者全体で地下水を利用したいという場合は「供給」(事業用)にあたるので、掘る段階で「横浜市生活環境の保全等に関する条例」に基づいて、水・土壌環境課へ申請が必要になる。

自治会で井戸を掘り、災害時にみんなで使いたいという場合も事業用にあたるので申請が必要になる。飲用利用となれば保健所へも申請が必要だ。
こういったマンションや町内会で井戸を掘るのは、震災以降増えているのだという。

 

老人ホームなどの施設の場合は申請が必要
 

横浜市では老人ホームや福祉施設をはじめとした施設で、地下水を浄化処理したうえで飲用提供している場合があり、その場合は、月1回の頻度で水質検査を行い、安全性を確認している。

飲料用として使用したい場合は、独自にろ過設備や消毒設備を設けて水質の維持管理が必要となり、その水質管理の検査のために、ろ過して消毒した水を調査する。水道水と同じぐらいの水質でなければ保健所の許可は降りないのだ。

 

水道水と同じレベルが必要
 

事業用の飲用水として申請し、許可されているのは現在横浜市内で90件の施設がある。



災害用井戸とは?



市内には災害応急用井戸という地域の一般家庭にある井戸の水を、災害時に生活用水(非飲用)として利用することを想定した制度がある。

 

災害用井戸協力の家
 

横浜市民防災情報 「わいわい防災マップ」(横浜市HPより)
 

震災時の災害応急用井戸の管轄は保健所が行っているが、それはあくまでも震災時のトイレなどの洗浄水などとして利用するためのもので、飲料用ではない。
横浜市内で現在2681件の災害応急用井戸があり、横浜市のホームページにある防災マップにも載っている。

 

横浜市内の災害応急用井戸の施設数は2681施設(取材時)
 

横浜市の災害応急用井戸の取り組みは1995(平成7)年の阪神大震災以降行われており、井戸を所有している方が自主的に災害用井戸に登録している。災害用井戸として登録されていない井戸も存在するので、実際には、市内には2681件以上の井戸が存在しているということだ。