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磯子区杉田に江戸時代観光地として有名だった「杉田梅林」があった?『杉田』という横浜発祥とされる品種の梅が?今でも『杉田』という梅が植えられている?(白マントさん・はんちゃんさん・三日坊主さん)

はまれぽ調査結果!

16世紀の後半に、小田原城主北条氏の家臣・間宮信繁が、村民の副業として梅樹を植えさせた。妙法寺には今も原木が残る。

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2017年02月18日

ライター:紀あさ


「梅一輪一輪ほどの暖かさ」

松尾芭蕉の弟子、服部嵐雪(はっとり・らんせつ)の句をふと口ずさみたくなる、春の始まり。江戸時代には「杉田の梅林」として知られたという磯子区杉田を訪れてみよう。

詳細を聞こうと調べていくと、杉田には梅に関する団体が実にたくさんあることが分かった。「杉田梅愛好会」、「杉田梅保存会」、「杉田梅復活推進委員会」、「杉田・梅塾」、「梅っ子応援隊」、「うめりんこクラブ」などなど・・・。
 


いかに杉田で梅が愛され続けていたのか

 
「杉田梅復活推進委員会」の一員であり、梅の木の特長や育て方などを学ぶ私塾「杉田・梅塾」の代表を務めており、「杉田梅愛好会」の立ち上げ時のメンバー でもあった、料理研究家の市原由貴子(いちはら・ゆきこ)さんを訪ねてみることにしよう。



杉田の梅の歴史

杉田・梅塾が拠点とするのは「杉田梅の木坂ハウス」。
 


磯子区杉田9丁目にある

 
ハウスを取り囲むこの枕木の塀に見覚えがある読者はおられるだろうか。なんと、この場所はかつて東京モノレールの走行実験が行われていた場所なのだ。
 


敷地の中に入ればすぐ梅の木がお目見え


梅、梅


自然光溢れるログハウスで


出迎えてくださった市原さん

 
杉田梅は、天正年間(1573~1592年)に、小田原北条氏の家臣・間宮信繁(まみや・のぶしげ)が杉田一帯の領主だったころに、村民の副業として梅実をとるために、梅樹を植えさせたことに始まったと言われている。

やがて周辺の村々にも広がり、元禄のころ(1688~1704年)には、3万6000本もの梅が村里を満たした。当時は「東京湾に入ってくる船が、観音崎沖までくると杉田の梅の香がした」とも言われていたそう。
 


観音崎から杉田までは直線で約20km (Google Mapに筆者書き込み)

 
その後、明治時代の中ごろから杉田梅林は衰えを見せ始める。暴風、塩害、樹木の老衰、そして戦争。戦後になって梅林復興を試みられたこともあったが、宅地造成が優先された時代の流れの中で、杉田梅林はその姿を消し、杉田梅は「幻の梅」となっていった。しかし、杉田以外に杉田梅の残された土地があった。それが小田原の曽我梅林(そがばいりん)だ。

「1880(明治13)年に、小田原の旧家・穂坂家の穂坂銀太郎(ほさか・ぎんたろう)が杉田の梅の苗木を小田原の曽我に植樹したところ、曽我の梅林のほとんどが杉田梅で埋まるほど育ったそうです」と、市原さん。

「杉田は海に近すぎる土地で、田畑には適さなかったけれど、梅ならばよく育ちました。小田原もまた似たような土地です。厳密なことをいうと、『杉田梅』という呼び名は杉田を出てはじめて、小田原の人に呼ばれるようになった名称です」
 


穂坂銀太郎のひ孫が語った話がおさめられた『祝福の梅話』より

 
日本人が日本のお米をわざわざ日本米と呼んだりしないのと同様に、杉田の人は地元の梅に「杉田梅」と は名付けていなかったそうだ。

かつて杉田梅林には、「浪花」、「薄紅梅」、「種割」、「青梅」、「豊後」、「五良左衛門」など数種類の品種が存在したが、穂坂さんにより小田原に受け継がれたのは、そのうちの「五良左衛門(ごろうざえもん)」。

そのため現在「杉田梅」と呼ばれているのは、あくまでも「五良左衛門」のこと。そのため、「『杉田梅』ではなく、『杉田“の”梅』と呼んだ方が正確なのでは」という人もいるのだそうだ。
 


小田原・曽我梅林での写真

 
現在、小田原の農家は農協の推奨種の梅などが主流で、「杉田の梅」の割合は減った。しかし、今なお、小田原に住む穂坂家の子孫が「杉田梅」を守り抜いているそうだ。

梅の実は異種の梅と受粉する可能性もあるため、梅の純正種を残すためには種子からではなく接ぎ木で育てる。市原さんの所属する杉田梅復活推進委員会は、毎年小田原の曽我梅林から杉田梅の長枝を仕入れ、台木に接いで育てている。
 


接ぎ木2年目の梅、まだ背丈よりちっちゃい

 
多い年には100本ほどの接ぎ木用の長枝が小田原から杉田に来るのだそうだ。

小田原北条氏の家臣が杉田に植えた梅が、小田原で育まれ、また杉田へ。世代を越えた往来で、いつか杉田が再び「杉田梅」の街になる日がくるかもしれない。
 
 
始まりの1本、杉田梅の原木に出会いに・・・キニナル続きは次のページ≫
 

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