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横浜生まれのプロレスラー、鈴木みのるさんを徹底解剖!【後編】

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横浜生まれのプロレスラー、鈴木みのるさんを徹底解剖!【後編】

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2018年06月20日

ライター:山口 愛愛

前編では、厳しい横浜高校時代の練習からパンクラス王者まで上り詰め、その後引退を決意するまでを語っていただいた。
後編は再びプロレスに戻り、高山善廣(たかやま・よしひろ)さんの言葉で見出したプロレススタイルや震災復興支援、大海賊祭について熱い思いを打ち明けてもらう。
 


プロレスの知らない世界がまだあった

 
 
 
高山善廣が教えてくれたバルタン星人の生き方

 
―プロレスに戻ってからは、プロレスリング・ノアや全日本プロレスなど戦場を変えながらトップレスラーとしてベルトをつかんでいきますが、広い世界を見たい思いで渡り歩いたのでしょうか。

そういうことにしていますけど、実際は同じ団体に長くいることは大変なんですよ。こいつを使って商売しようというプロモーターという人たちがいるんですが。

一年間は商売できた、2年目は違う形でできた、3年目になってくると、また違う人で商売しようかなと。お金を動かす人はそう考えるんですよ。
そういうタイミングで、たまたまほかの団体の人が声をかけてくれて。ラッキーですよね。そこの位置にいられるってことは。
 


同じ団体に長くいることは大変

 
―声がかかる選手でい続けられる秘訣はどんなところだと思いますか?

15年前にプロレスに戻った時に、高山善廣がいたんです。彼が教えてくれた、これだ! っていう考え方があって。スーパーヒーローには必ず悪役がいる。でもスーパーヒーローを倒せるチャンスは少ないじゃないですか。「だからバルタン星人になればいいんだよ」って彼がいうんですよ。

「バルタン星人ってさ、最初から平成のウルトラマンにも出てくるんだよ」って。全部のシリーズにいるんですよ。どの団体にも必要とされるレスラーになりなさいという意味で。昔のレスラーでいうと、スタン・ハンセンとかブルーザー・ブロディとかアブドーラ・ザ・ブッチャーに俺たちがなろうと。

ヒーロー側から見ると悪役なんですけど、こっちから見ると悪いのは向こうなんですよ。
まさに僕が「大海賊祭」というように、漫画の『ワンピース』だって海賊なんだから本当は悪者じゃないですか。でも悪者側から見た世界を描いているので、誰も彼らを悪者とは扱わない。だから好きなんですよね。

見る立場、見方を変えてしまえば違うじゃないですか。だから俺は間違っていない、やりたいようにやる、というのを教えてくれました。
 


チャンピオンカーニバルで2連覇を果たしたときの記念写真

 
―現在、頸椎の損傷でリハビリ中の高山さんを募金などで支援する「TAKAYAMANIA」の実行委員として奔走していますが、高山さんとの試合の思い出はどんなことですか?

あいつはすべてが規格外。足を持ち上げるだけでもすごい重いんですよ。パンチも、ものすごく痛い。デカいな、スゲーなと。

タッグを組んでいるときは俺が好き勝手にやるとあいつが全部調整をしてくれる。何も考えないで良かったですね。僕がほかの団体に入ってその立場にならなくちゃいけなかったとき、あのころの高山のようにやろうと思っていました。

あいつとは意気投合するのが早かったですね。普段から仲が良いんですよ。
性格的にはちょっと違うんですけれどウマが合う。俺がやんちゃ坊主であっちは肝っ玉母ちゃん。親子みたいな感じですね。母ちゃんが「お前殴られてきたのか、やり返してこい」って。「俺、勝ったぜ」って言えば「あぁそうかい、いいから早く飯食え」みたいな。そんな間柄ですね。
 


鈴木さんが中心に活動している「TAKAYAMANIA」の募金は高山さんの治療費に使われる

 
―舞台を移しながら活躍されていますが、ご自身が主催する東日本大震災復興支援チャリティー興行などのチャリティーイベントにも尽力していますよね。

チャリティーイベントの新宿フェスをやって、自分たちでもっとやりたいと、仲間のレスラーに声をかけました。それが広がって動いて、宮城県の本吉町(もとよしちょう)に行ってチャリティー試合をやりました。気仙沼や仙台市は有名なタレントさんとかが来るんですけど、その間にある小さな本吉町は炊き出しもない状況で。

―なぜそこまでやろうと思ったのですか?

実は震災の日に現地にいたんですよ。石巻市の体育館で試合があって、ちょうどバスで向かっているときに塩釜の手前ぐらいで震災にあって。ぶっちゃけ、ちょっと死にかけたんで。絶対この街に帰ってこようという思いがあったんです。

瓦礫に押し潰されている手とか、身体が切れている足とか、その前で泣きながら引きずり出そうとしているお母さんとか、たくさん見ましたよ。

そのときはチャリティーやろうとかいうよりも、どうしよう・・・という思いですよ。
震度7に直撃しましたけどみんな無事だったので、何か役割があるんだなと思いましたね。何かを伝えなければいけないと。
 


勝手な使命感を持ちました

 
―惨状の中で助かったという気持ちが強いんですね。

海から5kmぐらい上流に漁船があるんですよ。十何メートルの津波が来たと言われていますが、現地の人の話を聞くと、実際はそんなもんじゃないらしく。周りには30メートル位の山があるんですけど、てっぺんだけが緑であとみんな枯れて茶色くて。地元の人があそこまで潮がきたっていうんですよ。相当なものですよ。

―現地にいたからこそ、復興への特別な思いがあるのですね。

帰りに道の駅にトイレ休憩で寄ったんです。そしたら20代ぐらいの青年が話しかけてきて、「昨日、石巻にプロレスを見に行く途中でこんなことになっちゃって。街は僕らが何とか直すから、もう一度、街を元に戻したらまたプロレスを見せに来てください」って言われたんですよ。彼はまだ家族と連絡が取れていないと言っていましたけど。

その時に、こいつにプロレスを見せに来ようと決意したんです。実際に彼が来れたかどうか分かりませんけどね。

だから、ほかの人よりも強い思いが少しあったんですね。周りから言われることもありましたが、俺がこんなことやっていいのかなんて気持ちもなかったです。普段から俺は批判の対象で、この業界でも悪者で、Twitter開けば文句ばっかりくるんで、意外と大丈夫なんですよ。だから何のブレもなく行けました。
 


Twitterのフォロワー数は10万人を超える

 
―被災地での興行をやってみていかがでしたか?

体育館が震災直後には遺体安置所になって、夏に行った時には物資置き場になっていたので、駐車場にリングを立ててやりました。告知はせずに。告知するとプロレスの好きな人が都心からきて迷惑かけちゃうじゃないですか。地元の方に協力をしてもらってチラシを避難所に配りました。いっぱい、600人ぐらい来ましたよ。炊き出しの手伝いや物資を配ったりもして。

お笑いのあるプロレスから、真剣勝負まで5試合くらいやりました。
そしたら大爆笑しているお客さんを見て泣いているお母さんがいて。話しかけたら震災の後一度も笑わなかった人がこんなに笑っているのを見て、思わず涙が出てしまったと。その方はご家族を亡くされたらしくて。

「ありがとう、ありがとう」と言われて、本当に行ってよかったなと思いました。みんなが笑ってくれた、声を出してがんばれって言ってくれた、それでいいんで。

―それは被災地の方の大きな力になったでしょうね。

でもまだ約束は果たされてないんです。その時に、あなたたちが街を復興させたら、僕らを興行でまた呼んでくださいって約束して。いつか呼ばれたいです。そのときが本当に復興した姿なのかなと思っています。
 


震災支援はやってよかったと思っています

 
 

 

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