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鶴見区・第一みゆき商店街はかつて横浜市のモデル商店街だった!

鶴見区・第一みゆき商店街はかつて横浜市のモデル商店街だった!

ココがキニナル!

水道道の東高校入口交差点近くにある「Miya」の焼き鳥が美味しく、いつも人がいる繁盛店です。店頭に大きく「第一みゆき商店街」とありますが、どうしてお店はMiyaだけなの?(ととろんさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

現地を訪ねてみると確かにシャッターも目立つが、お店は「Miya」だけではなかった。そこはかつて「横浜市のモデル商店街のひとつ」とまで呼ばれた歴史ある商店街。その場所の現在を、突撃レポートする!

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ライター:結城靖博



最初に訪れたのは日曜日の昼下がり





グーグルマップで検索すると「第一みゆき商店街」の場所はすぐに突き止められた。
 

「第一みゆき商店街」の位置


地図で見ると、東横線の菊名あるいは妙蓮寺駅かJR横浜線の大口駅が最寄り駅のようだが、どこからも同じぐらい少し離れている。まずは、ルートがシンプルそうな妙蓮寺駅を選んで訪ねてみた。


東横線・妙蓮寺駅正面口


改札を出てから右へ曲がると、すぐ旧綱島街道の商店街通りに出る。そこを右折すると、まもなく水道道(すいどうみち)と交差。その交差点を右に折れてひたすら水道道を歩けば、やがて「東高校入口」交差点にたどり着く。ざっと徒歩20数分の距離だ。


信号のある交差点が「東高校入口」交差点


その手前左に、「第一みゆき商店会」へと誘う看板を発見!矢印にしたがって左の道に入ってみると・・・


そこはとっても狭~い私道なのだが


ここを通り抜けると・・・


ジャーン!目の前に「第一みゆき商店街」の看板が現れた


この大きな商店街の看板の下にあるお店が、キニナル投稿者「ととろんさん」が教えてくれた焼き鳥とお惣菜の店「Miya」だ。


そしてMiyaの左には「しおばら洋品店」が店を開けていた


とりあえず、お店はMiyaだけではないことを確認。だが、この2店舗以外は・・・


ここも



そこも



また、ここも


ことごとくシャッターが下りていた。

「だがしかし!」と、また思う。これまで何ヶ所も商店街を取材してきた経験から、この状況は日曜日だからなのではないか?と。
多くの地域密着の商店街では、意外と日曜日を定休日にする店が多い。

「これは、あらためて平日に来てみなければ正しい情報は伝えられない」と判断し、とりあえず初回の現地訪問は、その後、商店街の地理的な把握と、さらにこのエリアの周辺取材に注力することにした。

とはいえ、商店街の通りには、もう一ヶ所この日もしっかり営業中の店があった。


Miyaと同じ通り沿いにドーン!と構える銭湯「いやさか湯」


狭い通りながら、店先には車もバイクも自転車も一杯。露天風呂や食堂もある大型銭湯だ。昔ながらの銭湯とスーパー銭湯の中間的な存在で、地元の人々に親しまれているようだ。

下の地図が初回の取材で確認した「第一みゆき商店会」のエリア。


© OpenStreetMap contributors)



商店会のエリアは外灯の柱に商店会の表示がある場所と定めた


すると地図で示したように、商店会は二筋に分かれることがわかった。水道道と並行する赤色の東西に延びる通りと、オレンジ色の南北に延びる通りだ。

便宜上、赤色の道をヨコ通り、オレンジ色の道をタテ通りと呼ぶことにするが、ヨコもタテも距離にして約140メートル前後と短い。



初回訪問時に発見した周辺地域の魅力




商店街の近辺を散策してみると、ぜひとも紹介しておきたい場所が数ヶ所あった。


まずは商店街のヨコ通りの西端と交差する「入江川せせらぎ緑道」


この緑道は、生活排水などによって汚れてしまった入江川(いりえがわ)に、かつての親水空間を取り戻すために造られた人工の小川と遊歩道だ。

起点はここより少し東側にある東寺尾1丁目の宝蔵院(ほうぞういん)付近。そこから西へ続く小川は、この辺りで神奈川区方面へさらに西へ進む流れと、馬場1丁目方向へ北上する流れに分かれる。商店街と交差する緑道は北上する側の川筋だ。


水道道沿いの緑道入り口に建つ立札


小川に流れる水は神奈川下水処理場で高度に処理されたもので、小魚やザリガニ、鯉やカモなどの姿も見られ、沿道には四季折々の花が咲く。20~30分で歩ける距離の緑道は、地元住民たちのかっこうの散歩道になっているようだ。

なお、この緑道は建設大臣賞「甦る水 100選」にも選定されている。

そして、この緑道の西隣りにあるのが、曹洞宗の禅寺「徳雄山 建功寺(とくゆうざん・けんこうじ)」だ。


水道道に面した参道を入るとすぐ現れる山門


この寺院は、小田原北条氏に仕えた五代目寺尾城主・諏訪右馬之助(すわ・うまのすけ)が1560(永禄3)年に開基した古刹だ。山門の背景に迫る鬱蒼とした木々がいかにも禅寺らしい佇まいを醸し出しているが、門をくぐるとさらに心惹かれる。


左右に祀られた石仏に手を合わせつつ、その先の階段を上り2つ目の門をくぐると



緑のトンネルのような参道がさらに続く



右手の斜面の上を見上げると、鐘楼を囲む竹林が美しい



そして3つ目の門をくぐると



禅寺らしい瀟洒な趣の本堂が現れる



本堂の右隣りには参禅道場もある


ここ建功寺では一般の人も参加できる日曜坐禅会も催されている(ただし、コロナ禍のあいだは中止されている場合もあり、寺院に確認が必要)。

住宅地が広がる水道道沿いに、こんなに緑豊かで奥深い異空間があるとは知らなかった。ちょっと驚きである。


水道道沿いからの寺院入り口の眺め


さらにもう一ヶ所、紹介したいスポットがある。そこは、商店街から少し歩いた場所に位置する「馬場花木園(ばばかぼくえん)」だ。

歩くといっても商店街ヨコ通りの東端からせいぜい4~5分の距離。


左へ入る道が商店街東端の入り口。花木園は正面の坂を上っていく



道は右に巻きながらずっとなだらかな上り坂が続く


距離的には短いが、上りなので少々きつい。


やがて住宅地の突き当たりに、こんもりとした森が姿を見せる



左手に入り口がある



入り口脇に掲げられた案内板


ここは、気軽に無料で入れる市民の憩いの場だ。


とはいえ園内へ入ってみると



中にはよく整えられた美しい庭園が配置され



その奥には居心地良さそうな芝生広場があり



さらに東屋(あずまや)や



立派な古民家が建っている



こちらは東屋内に展示されていた生け花


もうひとつの茅葺屋根が美しい古民家は「旧藤本家住宅 主屋(しゅおく)」(東屋も藤本家のもの)で、江戸末期から明治初期にかけて港北区篠原に建てられた農家を移築したものだという。


主屋の中は見学もできて



この地域の自然や歴史を伝える展示スペースもある


このほか茶室や休憩所などもあるが、もちろん「花木園」の名の通り、四季折々の草花や花木を楽しめる場所も各所に整備されている。


入り口に設置されている案内図


週末だったこともあるのか、園内は家族連れをはじめ多くの人々でにぎわっていた。無料の公園とは思えないほどよく整備されたこの場所も、建功寺同様、驚きの空間だ。

だいぶ横道にそれてしまったが、充分に商店街を取材できなかった日曜日の昼下がりは、思いもよらぬ収穫を得たひとときでもあった。


© OpenStreetMap contributors)




というわけで、あらためて平日に商店街へ突撃!




二度目に訪れたのは木曜日の午後。さっそくまず初めに「Derica Miya」を訪ねると、


やはり今日もお店の前にはお客さんの姿が


お客さんが去ったあと、店の奥に声をかけると、中にいた年配の女性から「商店会のことなら隣りの会長さんの店に聞いてみて」と言われる。


そこは初回訪問時も開いていた、向かって左の「しおばら洋品店」


素直に言われるまま、この店を訪ねる。

すると、店の奥にいた店主・塩原秀雄(しおばら・ひでお)さんが、にこやかに取材に応じてくれた。

塩原さんは取材時の2021年10月現在、御年86歳。商店街は今から約50年前にできて、その5年ほど後にここに店を構えたという。


塩原さんはテーブルの引き出しから「あるもの」を出して説明してくれた


ちなみに上の写真左奥にいらっしゃるのは、奥様。二人で店を切り盛りしている。


引き出しから出した「あるもの」とはコレ


現在「第一みゆき商店会」に加入する店舗のリストだ。全部で28店舗。そういわれると、この狭いエリアにも関わらずなかなかの数と思えるが、「加盟は続けていても実際はシャッターを下ろしている店が多い」という。

「昔は大いににぎわった商店街だった。洋品店だけでもうちを含めて4軒もあったけど、うち以外はみんな閉めてしまった。周辺に大規模スーパーができて、初めに食料品店が商店街から姿を消し、それが客足を遠のかせるきっかけとなって、他の業種の店もなくなっていく。日本中どこにでもある商店街の実情だよ」と塩原さんは言う。


初回取材時のヨコ通り東端からの商店街の景色


「それと後継者の問題だね」とも。塩原さんのお店もご子息は学校の先生になり、跡は継がないという。

「自分の代で終わりだろうが、90歳まではやりたい。この商売が好きだからね」と言う塩原さんはまだまだお元気だ。

ちなみに、「第一みゆき商店会」の名前の由来を尋ねたが、「初代会長が初めにここに『第一マーケット』を作ったから、『第一』はそこから取ったんだろうけど、『みゆき』の理由はわからないな」とのこと。


確かにMiyaとしおばら洋品店が入る建物には「第一マーケット」と記されている


塩原さんにひとしきりお話を伺った後、右隣りの「Derica Miya」へ「会長さんから話を伺ってきました!」と言って再び訪ねる。すると、奥から店主の宮川好美(みやがわ・よしみ)さんが現れて、同店と商店街について詳しい話を聞かせてくれた。


好美さんと奥様の記念のツーショット!


「Derica Miya」がこの場所に店を構えたのは、実はそれほど昔ではない。今から4年ほど前のことだ。だが、宮川さんとこの地域との関係は古い。

元々は、1973(昭和48)年に水道道沿いの現在のMiyaの真向かい辺りに「向谷(むかいや)ストア」ができた。宮川さんはそこで精肉店を開き、店頭で焼き鳥の販売も始める。

当時、この水道道沿いの向谷ストアと第一マーケットはライバル同士の関係で、しのぎを削っていたという。昭和40~50年代のことだ。
「その頃は、『第一みゆき商店会』は『横浜のモデル商店街』とまで言われていたんですよ」と宮川さんは言う。それほど、にぎわっていたのだそうだ。

いっぽう向谷ストアは1990(平成2)年に「スーパーサンライズ」に変わり、そこに以前から入っていた店舗のいくつかが継続して営業を続ける。宮川さんの精肉店もその一つだったが、ほかに鮮魚店・青果店・製菓店・食料品店等、何店舗もあったという。

ところが、そのサンライズが2017(平成29)年に「スギ薬局」に変わる。これを機に宮川さんの精肉店も閉じることになるが、評判が高かった焼き鳥だけでも続けてほしいという地元住民の声にこたえて、現在の場所(つまりかつてはライバル地区だった商店街の中)に「Derica Miya」を構えることになった。


元「スーパーサンライズ」だった現在の「スギ薬局」


そんな宮川さんは1942(昭和17)年生まれの79歳。この店は現在奥様とご子息のお嫁さんとで切り盛りしているが、「嫁はあくまで手伝いで、店を継ぐのはむずかしい」と言う。

「自分が元気なうちはやっていきたいが、ここまで長く続いているのも妻と嫁の人間性のおかげかな」と宮川さん。「それとなにより、焼き鳥を始めて以来ずっと使っている遠赤外線を発生する特別な製造機のおかげですよ」とも。

ではでは、その評判の焼き鳥を試食させていただくことにする。


店頭には焼き鳥以外に揚げ物などのお惣菜も並ぶのだが



おすすめの10本入り焼き鳥サービスパックを購入



元々精肉店なので食材の良さは当然として、焼き鳥店の地力がわかる「タレ」を所望


「うちの焼き鳥は冷めても美味しいんですよ」とご主人。「でも、できればチンしたほうがもっと美味しいわよ」と後ろから奥様の声。

帰宅後、奥様のご指示にしたがって、チンして試食してみた。


左からタン・トリ・レバー・つくね・トリネギ


大きさもなかなかで、この倍の本数で税込950円は安い!

しかも、購入後時間が経っていても、どの串の肉も柔らかく、タレも深みがあり香ばしい。地元住民から営業継続のラブコールが湧いたのも無理はない。よくあるスーパーの前の焼き鳥販売店とは、ちょっとレベルが違う。

焼き鳥を入れたレジ袋を提げてMiyaをあとにすると、第一マーケットのはす向かいにある和菓子店「三吉野(みよしの)」へ向かう。


ここは日曜日の初回取材時には閉まっていたお店だ



ご対応いただいたのは店主の柏倉正七(かしわぐら・しょうしち)さん


御年81歳。1978(昭和53)年からここで営業を続けている。「常連のお客さんが多いけど、案外引っ越して来たり引っ越したりで、お客さんは入れ替わってるよ」と柏倉さんは言う。

伺ったときは午後2時過ぎ。


ショーケースの中はすでにスカスカだった


「うちの仕事はお昼まで。それまでに多くが売れてしまって午後からはほとんどお客が来ない」という。営業時間も午前8時からと早い。

「長年続けてきたけど、もうあと1年ぐらいが目一杯かな。女房と二人でやっているけど、暮れは忙しすぎてもう体が持たないよ」

「正月用の餅は、ついた後切らなきゃなんない。この切る作業がつらいんだけど、今の人は切った餅じゃないと買わないんだよね」お子さんは皆女性で、「暮れだけ手伝いに来るけど、後継ぎにはならないよ」という。


店内右横にはこんなパック入りの商品を並べたコーナーもある


「すあま」や「草もち」「おはぎ」などもすご~く気になったのだが、やはりおすすめは大福らしく、あと残り一つになった草大福のほか、以下のものを購う。


草大福と豆大福と団子2本


草大福(左上)と豆大福(左下)が各110円、練りアンの団子が1本70円(各税込)。やはり帰宅後に家で食したが、大福も団子も餅がビロ~ンと伸びるほどものすごく柔らかく、また餡も甘さ控えめで、飽きの来ない味わいだった。

三吉野を去ったあと、焼き鳥と和菓子の袋を提げて、ヨコ通りをざっと歩いてみる。


三吉野の2軒右隣りには宝飾店の「水晶堂」がある。ここは営業しているようだ



水晶堂のはす向かいにはカラオケ店「ぶらり」がある。ここもシャッターの様子から夜には営業しそうだ


この地点から東に向かって進んでいくと、


右手にスナック「るぼわーる美樹」がある。ここも夜には営業しているみたい



さらに進むと、右手に見えるここは介護施設のようだ



だが、その左手にはこんな盆栽のお店も開いていた



その先には、やはり夜には開くであろう居酒屋「庄ちゃん」があり



「庄ちゃん」の先に例の銭湯があり



さらに進むとこんな感じになる


道の端はどん詰まりで、つまりヨコ通りの東端、左折すれば馬場花木園がある通りに行き着く。その手前にある建物は民家風の佇まいなのだが・・・


建屋の中に「あぷぷれ」という看板を出す店を発見



明らかに営業中なので「何の店やら?」と思いつつ中へ入る



声をかけると、店の奥から女性が現れた


まだ30代の松岡絵美子(まつおか・えみこ)さん。このお店のオーナーだ。


ここは手作りのパンと焼き菓子、それに小物雑貨を販売している店だった


小物雑貨は地元に住む作家さんたちが作るものを置いているという。

松岡さんご自身さんは学校も就職先もずっとお菓子に関わってきて、そのためにフランスに留学した経験もあるという。お店の名前がフランス語なのもうなずけた。

ちなみに「あぷぷれ(à peu près)」の意味は「だいたい」。小学生の男の子二人を育てながら店を切り盛りする松岡さん。どうしても学校行事や送り迎えなどで店を空けなければならない時もあり、それで「だいたい」なのだという。

だが肝心のパンやお菓子作りは「だいたい」ではない。食材は国産小麦にこだわり、自家製天然酵母をたっぷり使用している。人気のライ麦パンのライ麦使用率は普段は35%、土曜日には80%のものも出すという。


確かに一番人気のライ麦パンはすでにこの日品切れになっていた。残念!



でもタルトもおすすめと言われる。「栗のタルト」、美味しそうだ!



また、手作りならではのオリジナリティ溢れるクッキー類も人気だという


筆者は「栗のタルト」と「くるみのタルト」(各税込250円)、それに


ポップに「おすすめ!」と書かれていたメランジェ(税込300円)を購入し


取材後試食したが、メランジェはライ麦ならではのしっかりした皮の中に、レーズン、ナッツがいっぱい。そこに伊予柑ピールの酸味が絶妙に効いている。また、タルトの中身も具だくさんだ。いずれも食材の自然な風味を生かした優しい味わいだった。

他の店でパンとお菓子作りの職人として働いていた松岡さんは、いつか自分の店を持ちたいという夢を、ここ第一みゆき商店会の中で4年前に実現した。


店内には商店街の周辺情報をいっぱい掲げたコーナーもある


「店をオープンした時は、会長のしおばら洋品店のご主人がとてもよく面倒をみてくれて、商店街中を案内してくれました」と松岡さんは言う。

高齢化が進み、古くからある店はどこも後継者不足で店を閉めていく中で、松岡さんのような若い人が新しい空気を運んできてくれたことは、それはそれは会長さんも嬉しかったことだろう。


店の奥にはイート・イン・スペースもある


「○○君、いる?」と言って松岡さんの息子に会いにひょっこり現れた女の子が、ここでしばらく、まるで自宅のようにくつろいでいた。


取材中、親子連れや女性のグループなど、ひっきりなしにお客さんが訪れる



その中の一人、右のお客さんは


カウンター越しに、松岡さんとずう~っとおしゃべりを続けていた。30年ほど前から商店街の近くに住む彼女は、この店ができてから週に一度は来ているという。

取材目的を告げた筆者を前にしているせいもあるのか、話題の中心は、おおむねこの商店街の中の噂話だった。


店の外に出た後も、まだ延々とお二人の会話が続く


「どの駅からも歩いて数十分と離れているけれど、その分、地域に密着した温かさがある。商店会の人もお客さんも、みんなアットホームですよ」と語っていた松岡さんの言葉が、この二人の光景を見ていて納得できた。



その後、タテ通りへ突入!




ここまで訪れた店はすべてヨコ通りだった。まだタテ通りが残っている。そこで、「あぷぷれ」を出た後、第一マーケットまで戻り、その角を右折してタテ通りに入る。


二度目の取材時のタテ通りの様子


上の写真は、第一マーケットの角から望んだ光景だ。


入ってすぐ目に付くのは左手にある「ニコニコ薬局」だが



そのはす向かいに「三次(さんじ)青果」がある


ここは、松岡さんとお客さんとのおしゃべりの中で、「この商店街の要(かなめ)は、やっぱり三次さんよね」と言っていたお店だ。安くて新鮮な野菜が評判だという。なので、ぜひとも取材をしたかったのだが・・・


店内はレジ待ちの行列ができていて大忙し


とても取材をできるような状況ではないので遠慮するが、この光景を見ればいかにお店に活気が溢れているかわかるだろう。店内を覗くと店員さんたちも多く、その年齢層にも幅があるように見えた。


「三次青果」からもう少し進むと、左手にクリーニング店が開いていて



その右隣りに「厨chocu(くりやチョク)」というお店があった


実はここは「あぷぷれ」の松岡さんが紹介してくれた「商店街の中でも比較的若い人が経営している」お店で、「とっても美味しくてしょっちゅう買いに来る」というおススメのお惣菜屋さんなのだが、残念ながらこの日は定休日だった。


「厨chocu」の少し先の並びにあるここは、一体なんのお店かな?


と思ったら、それも松岡さんが教えてくれた。この店は駄菓子屋さんなのだそうだ。ここでも、店の前に立つご近所さんと店内の年配の女性店主が、親しげに長話を続けていた。


さらに進むとT字路に突き当たる。目の前にあるのは「馬場どろんこ保育園」



保育園のはす向かい、つまりタテ通り北端の右角に酒店があった


「リカーショップ宇井」。この日はシャッターが下りていたが、松岡さんによればここも営業しているとのこと。

ざっと、これがタテ通りの様子だ。


リカーショップ宇井の前から振り返ったタテ通りの眺め


上の写真を見ると、「ぱっと見」では通りは閑散としているようにも見える。だが「三次青果」をはじめ、この筋もまだまだ商店街として生きている。


今回取り上げた主だった店舗(© OpenStreetMap contributors)


記憶を頼りに作成したものなので、若干位置は正確さを欠く。もしかしたら「いやさか湯」はもう少し東寄りだったかもしれない。




取材を終えて




「あぷぷれ」の松岡さんは、お姉さんのご主人がスペイン人だそうだ。その彼がここを訪れた時、「なんだか自分の故郷の『村』のようだと言っていた」という何気ない一言が、とても印象に残った。

「第一みゆき商店街」は確かにあった(今回の記事、場としては「商店街」、組合名としては「商店会」と使い分けています)。
実情は「まぼろし商店街」シリーズで紹介してきた各地同様、周辺にできた大規模スーパーや後継者問題を抱えて規模を縮小している。

だが、この商店街を「まぼろし」とは呼びたくない。店舗数が減っているとはいえ、この通りには生活感がある。それは、記事の前半に紹介した緑道や寺院、庭園など、周辺地域の「住宅地」としての環境の良さとも関係しているのかもしれない。

地域そのものの生活が息づいていれば、「身の丈に合った地元商店街」は生き続ける。そう信じたいと感じる取材だった。


―終わり―


取材協力

しおばら洋品店
住所/横浜市鶴見区馬場1-7-26
電話/045-573-1589
営業時間/7:30~18:30
定休日/不定休だが主に日曜日

Derica Miya
住所/横浜市鶴見区馬場1-7-26
電話/045-571-5950
営業時間/11:00~18:00
定休日/火曜日

三吉野
住所/横浜市鶴見区馬場1-5-16
電話/045-582-2259
営業時間/8:00~18:00
定休日/日曜日

あぷぷれ
住所/横浜市鶴見区馬場1-9-37-D
電話/045-517-2992
営業時間/10:00~18:00
定休日/日・月・祝


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  • 自分は日曜日にしか行けないのですが、平日は活気が有るのですね。記事に載っていた入江川緑道は、北に向かう流れではなく南に向かう流れです。親子連れがザリガニ等を釣って楽しんでたり、近所の人達の憩いの場ですね。

  • わたしは1992年からウイングヒル菊名に住みました.事情で2000年に離れましたが、とてもいい住居環境でした。ただ事務所が生麦でしたので、日常の生活が送れなかった事が残念です.

  • またまた良く調べましたねー落ち着きますね〜ゆっくり行きたいところです!

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