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石油コンビナートの津波被害対策ってどんなもの?

ココがキニナル!

根岸地区には数多くの石油タンクがあります。大震災で6mの大津波が想定されていますが、横浜では、どのような対策がなされているのでしょうか。(nagatoshiさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

消防法には石油コンビナートの津波による被害対策の規定がありません。しかし、横浜市消防局では現在できる範囲で津波対策は行っています。

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ライター:吉澤 由美子

東日本大震災では、石油コンビナート等の屋外貯蔵タンクが甚大な被害を受けた。タンクの中でも、引火点の低い第1石油類(ガソリンなど)を貯蔵するタンクで漏洩が起これば火災へとつながる可能性は高い。

気仙沼では、湾内の石油タンク等の破壊による漏洩油と漂流物が火種となって漂着、着火し広範囲に延焼した。焼失面積は約10万平方メートル。鎮火したのは地震から12日後の3月23日だった。

横浜港には、根岸臨海地区と京浜臨海地区に751もの屋外石油タンクがある。
 


住宅地に近い根岸臨海地区のタンク群


その中で、特に根岸臨海地区は住宅地に近い。間門の交差点近くにあるファミリーマートとJX日鉱日石エネルギー(株)根岸製油所のタンクまでは120メートル程度しか離れていない。

東日本大震災を踏まえ、行政では災害対策を見直している。その中で、石油コンビナートの津波対策に関して、どのような検討や対策が行われているのか、横浜市消防局で横浜市消防局予防部指導課消防司令長の畑友彦さん、同危険物係消防司令補の川田千年さん、同危険物係消防司令補の高瀬彰久さんにお話をうかがった。
 


左から、川田さん、畑さん、高瀬さん




横浜港にある屋外貯蔵タンク



石油コンビナートは貯蔵量によって、第一種特定事業所と、第二種特定事業所にわけられ、この特定事業所は、横浜地区全体で29社(京浜臨海地区に21社、根岸臨海地区に8社)ある。

現在、京浜臨海地区と根岸臨海地区を合わせて、液体の危険物1,000キロリットル以上を貯蔵する特定屋外タンク貯蔵所は315基で、うち根岸臨海地区にあるのは184基。

この屋外貯蔵タンク、実は地面に置かれているだけで固定されていない。タンクが空っぽでも満タンでも、地震が起きた時に自重で動かないよう設計されているのだ。

そのためタンク下の地面は液状化を防止するための基礎、地盤の強化などの対策をすでに行っており、東日本大震災でもタンクに関しては液状化による漏洩や火災等は起きなかった。
 


タンクは固定されていない


ところが、東日本大震災では5~10mという津波によって屋外貯蔵タンクが浮くことがあると判明した。

ただし、東日本大震災の津波で流出した屋外貯蔵タンクに1,000キロリットル以上のものはなく、1,000キロリットル以上のものでなんらかの被害があったのは、漂流物による破損や配管の破損によるものだった。

東日本大震災後、石油コンビナートの津波対策はどのようになっているのだろう。



国の石油コンビナート等における津波対策



総務省消防庁では、昨年12月、「東日本大震災を踏まえた危険物施設等の地震・津波対策のあり方に係る検討報告書」の公表が行われた。
その中で屋外貯蔵タンクの津波による被害対策については、以下の2点があげられている。

1.津波によりタンクの付属配管が移動して流出事故が起こったことから、津波深度3mを越える1,000キロリットル以上の屋外貯蔵タンクに緊急遮断弁を設置。
2.津波被害シミュレーションを活用した被害想定を行った上で津波の発生を念頭に置いた応急措置を予防規程に明記する。

具体的な対策は、この内容に則ってこれから決められていく。
 


大小や屋根のあるなしなど、さまざまなタンクが並ぶ


津波の高さは場所によって大きく違ってくる。護岸の高さなど地理条件の違い、引き波でタンク周辺の地面が洗掘(せんくつ)される可能性、タンク内部に水が入ることなども含めて、現在、国から示される津波被害シミュレーションを基に、各事業所が緊急時の対応に関する検証を行う予定になっている。

それをもとに、津波対策が行われることとなる。